こんにちは。
フリーアナウンサーの三島澄恵です。
先日テレビでフェイクニュースを取り上げた特集を観ました。
その中で衝撃だったのが、フェイクニュースによって無実の男性2人が、群衆によって焼き殺された事件があったことです。
ある男の人が、無実の男性2人を誘拐犯だとして動画配信を行ったところ、それを信じた人たちが集まり、2人の男性を暴行し、ガソリンをかけて火をつけ殺したというのです。そのフェイクニュースを配信した男は、未だ逃亡中で、なぜ、このようなことをしたのか、その真実は分かっていません。
このフェイクニュースの事件を知り考えたことは大きく2つ。
1つは、情報の裏付けを行うことがどれほど大切なことかということ。
もう1つは、私たちの心に棲む「正義」を正当化する怖さです。
情報の裏付けを取ることは放送局時代、何度も何度も教わったことです。
電話取材だけでなく、実際に会って取材すること。
新聞は1社で無く、数社読むこと。
何かの数字に関してなどは所属していた放送局(NHK)が発表したものであることなど、いつでも「なぜ?」「これは正しいのか?」その疑問を持ちながら番組制作に取り組むことを教わってきました。
なので今でも、インターネット上でまことしやかにつぶやかれる情報も、簡単にシェアをしたりせず一度調べるように心がけています。
2016年の熊本地震の際にも、動物園からライオンが逃げたというデマが拡散されました。
当時、熊本に里帰りしていた私の友人は避難中で、「ライオンが逃げたという情報が出ているけれど本当なの?」とメッセージが届きました。すぐに調べるとデマ情報だとわかり友人に連絡しましたが、被災地は大きな混乱状態で情報も入り乱れていて、どれが本当かデマなのかがわからず、とても不安に感じていたようです。
大地震で避難し、余震が続く不安の中、さらなる不安を煽る嘘の情報を流す人がいることに腹立たしさを覚えますが、その嘘を拡散してしまう危険を、私たち一人一人が持っていることを肝に命じておかなければと、自分にも言い聞かせています。
私がインターネットで情報を得る際は、情報元がどこかを意識しています。国や県などの公の機関であることや、放送局や新聞社であること、話題となっている組織があればその組織の公式のホームページなどを確認するようにしています。
また、facebookやTwitterなどのSNSでつながっている人がシェアしている情報は、それがどんなに信頼している人や親友だとしても、その情報が正しいのか、そうでないのかを念のため一度確認するようにしています。
これから先のフェイクニュースは、ますます見抜くことが困難なものが生まれてくると、私は思っています。
インターネットはとても便利で、世界のどこにいても、誰とでもつながることができるツールです。しかも、様々な情報を簡単に探せます。私が放送局に入った頃には考えられないほど多くの情報を、短い時間で簡単に手に入れることができるようになりました。
けれどだからこそ、それが本当なのか?嘘なのか?を、私たちは見落としてはいけいないのだと思います。
無実の罪だったにも関わらずフェイクニュースによって群衆に焼き殺されてしまった2人の男性。番組では、その内の1人のお母様のインタビューが流れました。
お母様は仕事中にfacebookでその様子を知りかけつけたそうですが、到着した時には息子さんは亡くなっていたんだそうです。駆けつけるまでの間、配信されていたfacebookの投稿に「私の息子です。暴行をやめて」と訴えたそうですが、誰一人として聞き入れてくれなかったそうです。
涙ながらに話しをされるお母様。自分の息子が無実の罪で暴行を受ける姿を見ながらも、止めることができなかった無念ははかり知ることができません。私には子供はいませんが、もしこれが、私の大切な人だったらと思うと胸が締め付けられます。
このような悲劇が2度と繰り返されないよう、私たち一人一人が、嘘を見抜ける力を磨いて行く必要があるのだと、強く強く思うのです。
その情報は、本当ですか?それとも・・・
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