こんにちは。
フリーアナウンサーの三島澄恵です。
高校生最後の私の朗読の音声と、今は亡き恩師の声が入ったカセットテープ。
福岡から東京に仕事の拠点を移した際、お守りのような気持ちで実家から持ってきたテープで、いつかデータ化しようと思いながら、なかなか手をつけずに今日に至りました。
高校生の頃、放送部の課題で添削テープというのがありました。(上の写真左のカセットテープ)
毎日、アナウンスや朗読の原稿を読み録音したものを顧問の先生が聞き、添削の音声が録音されたものを家に帰って聞き、また自分の声を録音して提出していたテープです。
今聞けばまだまだ若くて青い私の朗読。
声も滑舌も表現も高校生。
そんな私に恩師が最後に残してくれたのは
「とっても良くなりましたよね。自然に出ているし。不自然なところが無いです。このように自分の声が十二分にあるんですから、表現を小さくするところは小さくしても十二分にやっていけるんですから変に声を作らない方がいいんですよね。これを基本に置いてください。」
という言葉でした。
この歳になり改めて聞く恩師の言葉。高校生の頃にはわからなかったこともよくわかります。
自然に話すこと、その時に持つ自分の声や表現力を十分に生かすこと。
私も生徒のアナウンスや朗読指導では恩師と同じことを何度も伝えてきました。大人のスピーチトレーニングでも、自然な話し方やその人がその時に持っている良さを生かしてもらうように伝えています。
表現力は年齢や経験で変わっていきますが、誰もが今その時に持ち合わせているもの。それを大切に表現して欲しいと思うからです。
私は高校生で放送部に入ったことで、アナウンスや朗読を学び始めました。入部当初は右も左もわからず、恩師に教わるがままに練習をしていましたが、高校2年生の時には、NHK杯全国高校放送コンテストのアナウンス部門で全国2位(高校野球でいう甲子園)を頂けるほどに上達させてもらいました。
何より、アナウンスを仕事にでき、今も続けられているほどの基礎を教えてくれました。
どんなこともそうかもしれませんが、自分が持っている力を発揮するには、
導いてくれる人、
気づかせてくれる人、
引き出してくれる人との出会いがあるように思います。
それは、自分にとって良き出会いと思えるものはもちろんですが、とても辛い思いや悔しい思いなどの出会いがそうなることもあると思うのです。
私にとってそれは、高校時代の放送部の顧問の先生でした。
そして今改めて思うのは、私が恩師から受けたように、みなさんの話し方の魅力を引き出せるように今後も精一杯取り組んでいこうということです。
余談ですが、恩師が残してくれた言葉には、実は、とても耳が痛いものもありました。それは、話し方と私の性格のこと。話し方はその人そのものが出ます。表現を磨いて行くには、自分と向き合うことも大切なのです。
そのことについては、また改めて。
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