もし、私が〇〇なら・・・#話し方の心得3

先日、知り合いの大学教授にお声がけを頂き、教授のゼミ生の皆さんに「面接に効く『話し方』」をテーマに講義をさせて頂きました。
90分の中でワークを加えながら「どれだけ伝えられるだろうか」と、去年の末からずっと考えて臨んだ講義でしたが、学生さんにも多くの気づきがあったようで、お声がけくださった教授もとても喜んでくださっていました。
ありがたい限りです。


こんにちは。
フリーアナウンサーの三島澄恵です。

実は今回の講義は、普段の研修に比べると少ない時間だったのですが、「話す」「聞く」「強み発掘」という3つを盛り込みました。
普段は、一つに焦点を当てて行くのですが、これから就職活動を行う大学3年生の皆さんには、すぐに実践できるような内容だけに絞込みお伝えしました。

なぜなら、もし私が大学生なら、すぐに役立つスキルを手に入れたいと思うからです。

この「もし、私が〇〇なら」という考え方は、話す内容を考える際の大きなポイントです。


ここで少し私の話ですが、私は講師の仕事を始めて12年程経ちます。
5歳のお子さんから上は70代の方まで、業種も立場も様々な方々です。

例えば、企業研修であれば、コンビニエンスストア・飲食・IT・病院・公的団体・士業、経営者、新入社員、若手社員、管理職など様々です。
今でこそ、リピート率も98%を超え、満足度も95%以上(時には100%)の結果を頂けるまでになりましたが、実は、講師を始めた頃は反省の日々でした。

その中で、最も私に足りなかったのは、受講者のことを想像できず「自分が良いと思うこと」を伝えていただけの内容だったということです。
それから何度もブラッシュアップしながら、今に至ります。

相手に「伝える」ではなく「伝わる」ために話すには、相手のことを想像することが、私は最も重要ではないかと考えています。
ここで言う「想像する」というのは、相手を「理解しようと努める」ことです。

私の場合は、この時に、「もし私が相手の立場だったら・・・」と、
状況や感情なども考え、相手になりきる感覚を持つようにしています。

実は、冒頭の学生さん向けの講義の内容は、
最初「話す技術」のことをメインに考えていました。

これから就職活動を行う上では、
立ち居振る舞い、声の出し方、発音、口調、時間の感覚など、
話す上での基本的なことが役立つと考えたのです。

そして、大まかに作った内容を教授に見ていただくと、
「学生は『自己紹介で何を話せばいいか』と聞いてくるかもしれません」
ということをおっしゃいました。

私はその一言にハッとしました。
確かに、自分について、何を話せばいいのか迷います。
これは何も面接に限らず、自分を紹介するということ全般でもそうです。
まずは、自分の強みを見つけられるような時間を作ろうと考え直しました。

そこでもう一度改めて
「もし、私が、これから就活を控えた大学3年生なら・・・」
この思考に立ち返りました。

就活に対しての漠然とした不安や、周囲の人と比べてできていない自分、やりたいことが明確になっていない自分にばかり意識が行くなど、マイナスな感情が大きいのではないかと思います。
しかも、コロナ禍での就職活動は孤独になりがちです。そこを想像すると、周りの人からの客観的な意見が支えになるのではないかと思ったのです。

自分のことというのは自分がよくわかっているようで、実は、わかっていないことや気づいてないことが多くあります。
周りの人に言われて、「それは長所なの?」と思うことも多いと思います。
周りからの一言は、強みの発見にもなれば、勇気づけや励ましにもなります。

それと合わせて、「話す」「聞く」を並行して講義に組み込めないか?
そう考えて、約1ヶ月間、内容を練り直して臨んだ講義でした。

「もし、私が〇〇なら・・・」
この思考の時に大切なのは、相手の年齢・性別・立場や置かれている状況などを踏まえ、その先に、どんな考えや感情を持っているかです。特に、
悩みや不安がどこにあるのかを考えられると、それを解決したり、サポートできる話ができるようになります。

聞き手は、自分のことを理解しようとして話してくれている人の話には耳を傾けてくれます。完全に理解することはできませんが、話す側が「聞き手を理解しよう」とする意識が「伝わる内容」の第一歩です。


フリーアナウンサー
キャリアコンサルタント
三島澄恵のプロフィールはこちらから↓
https://united-waves.jp
想いをカタチに。人の心をつないでゆく。
ユナイテッドウェーブス合同会社

3分で話せる内容量は? 話し方の心得#2

今日は、明日の講演のための最終的な練習をしています。
ひとまず、時間内に収まりそうで安心しているところです。

こんにちは。
フリーアナウンサーの三島澄恵です。
今年は「話し方の心得」ということで、私が人前で話すときに、どのような順番で準備をしているかの話を綴っています。

さて、前回は人前で話す時に、最初に行っている事を書きました。↓

前回は90分という長い研修をベースに綴りましたが、今回は、3分ほどの短い時間で話す際の話です。この3分程度というのは、式典などでも主催者や来賓の方の持ち時間としてよく設定されている時間です。特に、挨拶をする人が多い場合は、挨拶者一人一人の話が長くなってしまうと列席者は疲れてしまいかねません。
折角、会の成功を願ったり、思いを込めて用意した挨拶だったとしても、聞き手に聞いてもらえていなければ、どんなに良い話をしても本末転倒なことになります。
なので、時間を守って話すということは重要なポイントです。

ちなみに、ハーバード大学の研究で、自分の話をしている時は、脳の快楽中枢が刺激され、話していることに快感を覚えるということがわかっています。挨拶などで3分と決められているのにも関わらず、長い人では10分以上話す人もいますが、(私の知っている人は20分以上話していました)こういう脳の働きが関わっているのだと考えられます。そのため、話している時に感じる時間の進み方を、話し手は自分で掴んでおく必要があると言えます。

3分で話をする時に、話す場によっても違うと思いますが、多くの場合、最初に簡単な自己紹介や、来場者への謝辞などが入ります。そして締めに再度、謝辞を入れることが多いと思います。その時間を30秒程度引き、本題は2分30秒程度で組み立てて行きます。
この時も「誰に」話すかというのは、とても重要ですが、この点は改めて。

3分で話せる分量は、文字数で言えば900文字程度です。400字詰め原稿用紙2枚と4分の1程度です。早口の方は、原稿用紙3枚分(1200文字)くらいになるでしょうが、あまり早口だと聞き手に伝わりにくくなります。早口でも間をしっかり取って話すことを考えると、900文字前後が望ましいと考えます。
ただし、YouTubeなどの動画コンテンツは、少し早口の方が聞き手の集中力を保てると言われているので、この辺りは時と場合によって変える必要があるでしょう。
余談ですが、早口で話すというのは、相手に考える時間を与えたくない時に使われることがあります。例えば、詐欺や悪徳商法などです。ご注意ください。

さて、今回は、リアル空間で話す事を想定した時間と文字数です。
3分 900文字でどの程度話せるのか?
時間の感覚が掴めていない人は、実際にどの程度話すことができるかを知るために、900文字程度で書いてみることをお勧めします。そうすると、どの程度の内容が3分になるのかを知る事につながります。
その際の組み立て方ですが、普段、皆さんがご覧になっているニュースなどを参考にするのも一つの方法です。ニュースの原稿は、結論→詳細→結論という組み立て方になっています。
今は、スマホのアプリや放送局のホームページなどで、ニュース原稿をすぐに見ることができますので、その書き方の型などは参考になると思います。

また、書いた文章を元に、一度、本番を想定して話して時間を計ってください。書いた文章を単に読んでしまうと、900文字は3分に至らないことがあります。単に棒読みではなく、本番をイメージしながら話すということが大切です。

普段から時間と話す分量を意識していると、いざ急に話す時にも時間内に伝えたいことを話せるようになりますよ。



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人前で話す時に最初にすること#1

新年のご挨拶が遅くなりましたが、改めて、あけましておめでとうございます。


さて、今年2022年は、ブログテーマを「話し方のハナシ」に変え、普段、私が話を考えるときに行っていることや、発音や発声の練習など、どうすれば「伝わる話し方」になるのかを綴っていきたいと思っています。
そもそも私は、話すのは得意ではありませんし、歳を経るごとに自分の話し方って下手だなと思っています。(若い頃は、怖いもの知らずだったんでしょう、きっと。)
けれど、そんな私でも、人前で話すと「わかりやすい」「簡潔」「聞きやすい」「良い声」など、ありがたいお声がけをいただきますし、企業研修では、受講後のアンケートで満足度100%を頂いたこともあります。(自分で驚きです)

今日から、話す上で何を最初に始めたら良いのかを順を追って綴っていきますので、何かの参考にしていただけたら幸いです。

今回は、私が人前で話すときに、「最初に何をしているか」についてです。

私が最初に行うのは、「誰に」「どの程度の時間で」話すかを考えることです。もちろん、内容も大まかなことは考えますが、それ以上に、「誰に対して話すのか」「どの程度の時間で話すのか」ここをまずクリアにしています。特に、「誰に対して」という部分は、話す上で最も重要ではないかと考えています。なぜなら、内容・言葉選び・話す口調なども含め、この点がおろそかになると伝わらなくなるからです。この点は、改めてお伝えします。

今回は「どの程度の時間で話すか」についてです。
私は、よく時間を守れずに話しをしている人を見かけます。例えば、イベントでの主催者や来賓の挨拶、質疑応答、スピーチ、講演など、本来は決まっている時間があるにもかかわらず、その時間を気にせず話をし続ける人がいます。
話している本人は気持ち良いかもしれませんが、聞いている人たちは集中力が切れてしまい、結果「伝わらない」と言うことが起きてきます。また、「時間を守れない人」という印象や「約束を守れない人」など、マイナスなイメージを持たれかねませんし、他に話す人がいる場合、その人たちの時間を奪うことにも繋がりかねません。
決められた時間内に、伝えたいことを伝えると言うのは、とても大切なことです。

では、どうやって話す内容と時間を考えているかです。
それは、積み重ねてきた時間の経験と感覚というと答えになりませんので、少し具体的に書いていきます。
私が実際に担当した経営者向けの研修を例にお話ししていきます。
テーマは、「トップに求められる『聞く』リーダーシップ〜自ら気づき、考え、行動する人材育成で組織を強くするために〜」でした。時間は90分です。

私が研修を組み立てる際ですが、90分という時間の場合(これが60分などでも)、最初から10分を引いて考えます。なので、80分の研修というわけです。なぜ、10分を引くかというと、研修前に、企業担当者からの紹介や挨拶などがある場合があるからです。また、研修中は受講者の人たちとの掛け合いなどもあり、予想外に時間を取られることもあります。90分ギリギリで内容を作っておくと、時間オーバーになりかねません。最初から10分ほど余裕を持たせておいて、質疑応答で調整したり、予備の話を用意しておいて調整する方が、時間通りに終えられます。

次に、研修の流れを項目ごとにノートに書いていきます。

1.アイスブレイク
(研修の本題に入る前に場の一体感を持たせたり、緊張を緩めるような内容)
2.プロローグ
 研修の目的や手に入れて欲しいことなど、受講者と目標の共有をする
3.本題
①なぜ、聞くことがリーダーに重要なのかがわかるデータの紹介
(受講者自身は、普段の自分を振り返り気づけるように)
②「聞く」というのは、どういう効果をもたらすのか
③聞き方の基本(ワークを取り入れながら)
4.聞き方ロールプレイング
5.まとめ

ざっと、このような感じです。
この時に、話の展開を5分〜10分という時間を基軸にして組み立てていきます。
例えば、次のようにです。

1.アイスブレイク→5分
(研修の本題に入る前に場の一体感を持たせたり、緊張を緩めるような内容)

2.プロローグ→5分
 研修の目的や手に入れて欲しいことなど、受講者と目標の共有をする

3.本題
①なぜ、聞くことがリーダーに重要なのかがわかるデータの紹介→5分
(受講者自身は、普段の自分を振り返り気づけるように)
②「聞く」というのはどういうことか。どのような効果をもたらすのか→10分
③聞き方の5つの基本(ワークを取り入れながら)→30分

4.聞き方ロールプレイング
①ロールプレイングの説明とポイント説明→5分
②ロールプレイング→20分(10分✖️2回(2人1組の場合))

5.まとめ→時間調整


なぜ、時間を5分〜10分で考えるかというと、人が集中して話を聞ける時間は「10分程度」と言われているからです。特に、話し手が1人の場合は、聞いている人の集中力はさらに下がりやすいです。そのため私は、5分や10分ごとに話の内容を変えたり、ワークを行ったり、受講者に問いかけをしたりしています。

上記の時間は大まかなのもので、1〜2分余裕を持たせて時間配分をしています。もし、どこかのブロックが予定時間よりも多くなったとしても、最終的に調整ができるようにしています。

今回は研修を元に綴ってきましたが、挨拶やスピーチは、もっと時間が短いと思います。3分〜10分程度で話すことが多いのではないでしょうか。そこについては、また次回お伝えしますが、挨拶やスピーチも、まずは、決められた時間の中で「何を伝えたいか」を考え、箇条書きで書き出して行くと、まとめやすいと思います。
また、どのくらいあれば、どの程度の内容が話せるかについても次回以降お伝えします。


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