苦手な言葉はありませんか?

こんにちは。 フリーアナウンサーの三島澄恵です。

TEDxKyotoに登壇された一般財団法人ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーション代表理事の諸橋寛子さんのスピーチトレーニングについて綴らせていただいています。

今回は「声に出した時、聞き取りにくい(言いづらい)言葉が無いか?」です。

声に出して練習を始めると、話し手が苦手だと感じる言葉や文脈が出てきます。 なぜかスムーズに言えない言葉、どうしても突っかかる言葉、明瞭に発音しにくい言葉など、黙読しているとスラスラ読めるのに、声に出すとスラスラとは行かないものです。

今回のように自分で原稿を考える時は、苦手な言葉を別の言葉にすることが可能です。また、言葉だけで聞くと聞き間違いを起こしそうな言葉も、できるだけ言い換えることをおすすめします。
例えば、私が放送局で教わった一つは「約」を「およそ」に言い換えることです。 「約」は「100」と聞き間違える可能性があるからです。

ただ苦手でも、どうしても変えられない場合もあります。例えば今回の諸橋さんであれば「父(ちち)」という言葉。自らのお父さんを表現する時の言葉です。

諸橋さんの話し方のクセの一つは、舌先が前歯にあたる点と母音のイとエの発音で口角が下がり気味になるということです。このクセは、諸橋さんに限らず、かなり多くの人に見受けられます。
しかし、諸橋さんは、その苦手な言葉に向き合い懸命にトレーニングを重ねられました。

発音の口の形は、直すのにかなりの労力と時間を要します。なぜなら、呼吸をするかのように当たり前の動きになっているからです。しかも何十年もの間それで過ごしてきたのですから、簡単には行きません。
それは、 姿勢を良くすることに似ているかもしれません。姿勢良くと意識していればその時はできますが、普段の生活に戻ると元の姿勢に戻っているという感じです。

しかし、諸橋さんは違いました。たった1ヶ月ほどの間で、苦手だった「チ」の発音が聞きやすくなりました。それは、ご本人の努力の賜物。
諸橋さんのトレーニングをしながら、私は人が変わることの素晴らしさ、何より人は変われるんだということを教わりました。

苦手な言葉を言いやすく言い換えることもできますが、苦手なことに取り組んで克服すれば、新しい世界を感じることができます。 声に出して練習して、様々な自分と出会ってみてください。

次回からは、日本語の発音のことを綴っていきます。


諸橋寛子さんのTEDxKyotoでの発表の様子。
ご覧になっていない方は、ぜひご覧ください。

TEDxKyoto 2018 スピーカー 諸橋寛子さん

話し方は、経営者やビジネスマン、学校の先生や研修講師、さらには、大学生、高校生、小中学生、未就学児までまで、幅広い方々を対象に行っています。
お問い合わせはお気軽にどうぞ。

ユナイテッドウェーブス合同会社
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耳で聞いた時に伝わる内容

2月も中旬を過ぎ、少しずつ春の足音が聞こえてくるようになりました。
先週末は冷え込んだり、暖かくなったりと気温差も激しかったですが、みなさん体調を崩したりしていませんか?
これから三寒四温の時期。くれぐれもご自愛ください。

TEDxKyotoで登壇された一般財団法人ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーション代表理事の諸橋寛子さんのスピーチトレーニングですが、先週からは、スピーチの内容について綴っています。

スピーチの内容は、実際に声に出すトレーニングを始めてからも調整が続きました。本番は11月4日でしたが、最終的に原稿が固まったのは声に出したトレーニングの2日目の10月25日です。
声に出して練習することで様々な気づきが生まれますが、今回は「全体を耳で聞いた時に内容が伝わるか」という点について綴っていきます。

TEDxKyotoでは、発表者一人の持ち時間は約12分です。

12分というのは長いようで短く、短いようで長いものですが、聴衆の集中力が途切れることなく聞ける時間ということも考えられているように思います。

余談ですが、私たちの脳が本当に集中して話が聞けるのは10分〜15分程度だと言われています。そのため、15分程度で、次を聞けるように話題を変えたり、映像や画像を入れたり、他の人が話したりという工夫をすることで、次の15分の集中ができるというのです。
プレゼンテーションやスピーチに限らず、講演会や授業などの構成を作るときにも参考になるのではないでしょうか。

さて話は戻り、「全体を耳で聞いた時に内容が伝わるか」ということです。
プレゼンテーションや研修などは、聞き手に資料が用意されている場合も多いと思います。そのため、話が途中わからくなったり、聞き取れないところがあったりしても資料で確認することができます。しかし今回のように、手元に詳細な資料が無い場合は、耳で聞いて理解できるということがとても重要です。

みなさんも聞いていて経験が無いでしょうか?
一つ聞き漏らしてしまい、話についていけなくなったりしたことや、聞き終えて、なんだか印象が薄かったりしたこと。

今回のように、聴衆が詳細な資料を持たず、基本的には聴覚のみで情報を聞いていると、聞き終えたときに、何の話をしていたのか印象に残りづらいことが起きがちです。
それは、話し手の表現力も関係していますが、それ以前に、言葉選びや構成ということも大きく関係しています。例えば次のようなことです。

◆聴衆が耳で聞いて聞きやすく、理解しやすい言葉を使っていること。
 また、聞き間違いを起こさない言葉を使っていること。

◆伝えたいことを繰り返し伝えられていること。

◆伝えたかったことが印象に残る文脈であり、構成であること。

このような点は、実際に声に出して練習してこそわかります。

声に出して練習するときは、その様子を録画をして自分で見直すことをおすすめします。一番良いのは、私のような専門のトレーナーに細かなアドバイスをもらったり、周囲の人に立ち会って見てもらい感想をもらったりというように、第三者に意見を求めることです。
そうすることで、客観的視点でスピーチの内容を練り直すことができ、聴衆により深く、あなたの伝えたいことが伝わるようになります。

諸橋寛子さんのTEDxKyotoでの発表の様子。
ご覧になっていない方は、ぜひご覧ください。

TEDxKyoto 2018 スピーカー 諸橋寛子さん

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話し手の人間味が伝わる話

こんにちは。フリーアナウンサーの三島澄恵です。

TEDxKyotoに登壇された一般財団法人ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーション代表理事の諸橋寛子さんのトレーニングに関わらせていただいた本番までの4ヶ月間を綴っています。

前回のブログでは、より具体的で実体験の話の方が伝わるということをお伝えしましたが、今回も実体験の話が、話により深みを与えるということを綴ります。

原稿がある程度できた頃に、TEDxKyotoの担当者の方から「きれいにまとまりすぎている」というアドバイスがあったと諸橋さんに聞きました。きれいにまとまっているというのは悪いことではありませんが、聴衆の心に届くには、話し手の人間味や人柄が伝わる工夫が必要です。
その時ふと思い出したのが、以前、諸橋さんから聞いた子供たちの話でした。

それは、子供たちの大脱走の話


諸橋さんが代表を務める財団では、小学生を対象にスポーツキャンプという企画を行っています。2泊3日で、様々なスポーツを体験するんですが、その指導は日本代表などを務めるトップアスリート。
キャンプ運営はボランティアを募集、外国人の参加もあって国際交流も行われます。夜は英語で発表会もあったり、貴重な経験ができる企画です。

けれど、このスポーツキャンプでは、毎回と言って良いほど、子供たちのケンカや誰かが脱走しそうになったり、帰りたいとホームシックになったり、それはもう大変なんだそうです。小学3年生~6年生なので親御さんと離れ、しかも初めて会う友達ばかりで、ふとした瞬間に寂しくなるんでしょうね。

そんな様々なことが起きつつも、子供たちは、2泊3日のスポーツキャンプが終わる頃、大きく成長しているんだそうです。

その話をしている時の諸橋さんは、とても喜びに満ち溢れていて、内側からのエネルギーがほとばしっているような感じを私は感じていました。
スポーツキャンプを通して、子供たちが変化・進化・成長を遂げて行く姿は、まさに諸橋さんが今回のTEDxKyotoで聴衆に伝えたかったことです。

この子供たちの話。
スピーチの後半部分に出てきます。会場はちょっとした笑いに包まれますが、それ以上に、子供たちが成長し、生き生きとしている姿が聴衆にも伝わっていたように思います。それは話し手である諸橋さんの子供たちへの気持ちが伝わったからこそだと感じています。

話し手が喜びに満ち溢れていたり、情熱を込めて話せる話は話し手の気持ちが伝わる話です。
それはまた、話し手の人間味や人柄が伝わることにもつながります。

あなたにもきっと、そんな話題があると思います。
あなたの話す力は、あなたの心の引き出しにたくさんありますよ。

諸橋寛子さんのTEDxKyotoでの発表の様子。
ご覧になっていない方は、ぜひご覧ください。

TEDxKyoto 2018 スピーカー 諸橋寛子さん

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抽象的な話よりも具体的な話

こんにちは。フリーアナウンサーの三島澄恵です。

TEDxKyotoに登壇された一般財団法人ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーション代表理事の諸橋寛子さんのトレーニングに関わらせていただいた本番までの4ヶ月間を綴っています。

前回からの続きです。諸橋さんのトレーニングがスタートしてからも、話す内容の調整はギリギリまで続きました。

その一つが、「より具体的で聴衆の心に届く話題であるか」です。

諸橋さんが財団を設立し、最初に行ったのは、放射能問題で外で遊べなくなった福島の子供達のための無料運動施設の開設でした。

諸橋さんは福島県郡山の出身。ご自身にもお子さんがいて、外で遊べない子供達の姿は、より強く心に残っていたのだと思います。私も諸橋さんから何度となくこの時のお話を伺いましたが、その話をされる時の諸橋さんの姿を見るたびに、故郷福島のために、福島の子供達のためにという想いがひしひしと伝わってきました。

スピーチの中には施設開設の話は入っていますが、しかしまた、非常にデリケートな話題であることも事実です。限られた時間の中で、誤解を与えるような表現があってはいけない。けれど、切実な現実を伝えたい。
そこを踏まえて、ディスカッションを行いながら一緒に調整をして行きました。

諸橋さんの話を聞いていると、震災後、福島の子供達の肥満率は一気に増加したというお話があり、この話を加えることにしました。具体的なデータを加えなくても、これだけでも十分に子供達が外で遊ぶことや体を動かすことがどれほど大切なのかが伝えられると考えたからです。

抽象的な話よりも、具体的な話。
さらには、話し手の実体験は説得力が高まります。

話す内容を考える時、心の奥にしまっていたり、すでに忘れてしまっているような経験を思い返してみることをおすすめします。一人で考えても良いのですが、もし上手な聞き役の人がいれば、その人に話してみてください。
トーク・スルーというテクニックがあります。これは、自分の考えていることを第三者に話すということです。話すことで記憶(脳)が刺激され、思わぬアイディアやヒントが浮かぶきっかけになります。

私がスピーチトレーニングを行う際は、このトークスルーのテクニックを使うようにしています。そうすることで、スピーカーの中にある思考が整理され、クリアになっていきます。

プレゼンやスピーチを控えているあなたも、誰かに話を聞いてもらってはどうでしょう?もしかしたら、話す力をアップさせる話題が湧き出て来るかもしれませんよ。

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タイムリーな話題は無いだろうか?

こんにちは。フリーアナウンサーの三島澄恵です。

TEDxKyotoに登壇された一般財団法人ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーション代表理事の諸橋寛子さん。そのトレーニングに関わらせていただいた本番までの4ヶ月間を綴っています。

話す内容は、トレーニングを始めてからもギリギリまで調整が続きました。

その理由はいくつかありますが、ここでは4つほど紹介しましょう。

・タイムリーな話題を入れるため

・より具体的で聴衆の心に届く話題であるか

・全体を耳で聞いた時に内容が伝わるか

・声に出した時、聞き取りにくい(言いづらい)言葉が無いか

まずは、タイムリーな話題について。
これは、TEDxKyotoの運営団体からのアドバイスで、諸橋さんが、TEDxKyotoの本番直前の10月上旬に、国際オリンピック委員会(IOC)がブエノスアイレスで開いたフォーラムにパネリストとして出席したことを加えるというものでした。

この話題を加えるというのは、再来年(TEDxKyoto当時)に控えている東京オリンピック・パラリンピックのこともあり、IOCでのパネリストの話題は、聴衆の興味を惹きつけるものだということもあったのだと思います。

何より、諸橋さんが日本の代表としてスポーツについて語ることができる人であるということも伝わったのではないかと考えています。

しかし、オリンピックの話題は様々な制約がありパブリックな場でどこまで話せるか、また、その際の写真は使えるのかなどの調整も必要でした。またそれ以上に、ある程度固まっていた原稿のどの位置にこの話を加えるのか?諸橋さんは随分と悩まれました。

TEDxKyoto 諸橋寛子さんのスピーチより IOC主催のフォーラムの様子

私も放送局で番組に携わっていた時、このタイムリーな話題というのは常に考えていました。

例えば、健康情報の話題。
冬なのに夏の話題を取り上げたとしたら、あなたは興味を持ちますか?
インフルエンザが流行している冬の時期に、夏場のプールなどで流行る感染症の話をしてもピンと来ないと思います。もちろんその感染症が冬に流行ったとなれば別の話で、それこそタイムリーな話題になるわけです。
放送局時代、番組を考えていたときは、このタイムリーな話題に加え、重要度や視聴者が今何を知りたいかや、逆に作り手側から視聴者に向けた問題定義や提案など、様々なことを考えていつもネタ探しをしていました。

話が少し外れてしまいましたね。
タイムリーな話題だからといって何でも加えて良いわけではありません。話し手の説得力を高め、かつ聴衆の心も惹きつけるものであれば、ギリギリまで調整する価値があるということです。

この内容で十分だろうか?
タイムリーな話題は無いだろうか?
ぜひ、ギリギリまで考えてみてください。

他の理由については、明日以降綴っていきます。

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表現力と内容のバランス

こんにちは。フリーアナウンサーの三島澄恵です。
3連休いかがお過ごしでしたか?
関東は雪の降る寒い連休となりましたが、私は研修の資料作りに室内にこもっていたのですが、それでも寒いと感じていましたので、外出された方やお仕事だった方は大変だったでしょうね。
この後も寒さは続くようです。ご自愛ください。

さて先週から、TEDxKyotoに登壇された一般財団法人ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーション代表理事の諸橋寛子さんのトレーニングに関わらせて頂いた4ヶ月間を綴っています。

今回のTEDxでは、話す内容に関して幾度となく修正が行われました。
スピーチのトレーニングを始めてからも、手を加えたところはいくつかあります。それほどギリギリまで、内容を詰めて行ったというのは、話す内容がとても重要であるということです。

何年前だったでしょうか?
私も当時読みましたが、「人は見た目が9割」という本が流行りました。その時に、アルバートメラビアン博士の実験が話題になりました。表情やボディーランゲージが55パーセント、声の印象が38パーセント、言葉は7パーセントなので、見た目や声の印象は何より重要だというような間違った認識が広がって行ったように思います。


このメラビアン博士の実験は、言葉が意味どおりに伝わるには、表情やボディーランゲージである見た目の印象と声の印象が、言葉と深く関係しているというもので、言葉が7パーセントだからといって軽んじて良いというものではありません。

例えば、「ありがとう」と笑顔で言われた時と、無表情でそっけなく言われた時は、「ありがとう」の言葉の意味が違ってきます。
だからといって、笑顔で言えばどんな言葉でも許されるかというと、そんなことはありませんよね?
見た目や声の印象が良ければ、どんな内容でも伝わるということはありませんよね?

見た目の印象や声の印象という表現力と伝えたい内容、どちらが重要ということではなく、どちらも話す力をアップさせるには大切です。
せっかくの良い内容も、話し手の表現力が乏しければ伝わりにくくなりますし、表現力が豊かでも、内容が薄ければ聴衆の心に残りません。

表現力と内容。
そのバランスがとても重要なのです。

今回のTEDxKyotoでは、スピーチトレーニングをスタートしてからも、内容の微調整は続きました。そしてそれが、諸橋寛子さんの話す力となって、聴衆を惹きつけることにつながりました。

次回からは、トレーニングをしながらも、どういう点で内容の修正を行ったのかを綴っていきます。
スピーチやプレゼンテーションの準備をしている方には、改めて考えるヒントになれば幸いです。

諸橋寛子さんのTEDxKyotoでの発表の様子。
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話し始めに聴衆を惹きつける

こんにちは。フリーアナウンサーの三島澄恵です。

TEDxKyotoに登壇された一般財団法人ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーション代表理事の諸橋寛子さん。
そのトレーニングに関わらせて頂いた本番までの4ヶ月間を綴っています。

前回のブログには「何を伝えるかを明確にする」ということ、そのために自分の振り返りをし、かつ熟考することの大切さを書きました。

「何を伝えるか?」
これが決まったとはいえ、今度は、それを伝えるための実体験や具体的な情報を考えていくことになります。

諸橋さんが伝えようと決めたことは「変化・進化・成長の必要性」です。
「なぜ、『変化・進化・成長』が必要なのか?」

そこには、諸橋さんが生まれて育ってきた家庭環境、お父様との急な永遠の別れ、故郷の福島を襲った未曾有の災害など、とても12分程度で語り尽くすことはできないほどの話が詰まっています。けれど、そのどれひとつも落とすことなく、しかも、伝える核となる「変化・進化・成長」が薄れることなく、しっかりと話の中心になるように入れていくというのは、諸橋さんの熟考の上の熟考、再考の上の再考によって成し得たものです。

諸橋さんは、普段から人前で話す機会も多く、普段から話題を積み重ねて来られていたので、最初の時点で大まかな内容や流れは固まっていたように思います。初稿から話の流れは大きく変わりませんでしたが、それでも最終稿はだいぶ違うものになっていました。

諸橋さんは仕事でも、財団でもスポーツに関わることをなさっています。しかも今では、世界最高峰の障害物レース「スパルタンレース」にも出場するほどです。日課では、10キロのジョギングやジムでの筋力トレーニングなどに取り組まれていて、子供の頃から、スポーツが得意だったんだろうと感じられるほどです。

が、しかし、実は諸橋さんは、子供の頃から大のスポーツ嫌い、大の苦手だったんだそうです。

初稿では、スピーチの最初に「幼少の頃から運動音痴、運動嫌い」とあったものの、スパルタンレースについては盛り込まれていませんでした。

しかし、本番では、最初に世界最高峰の障害物レースに出ている姿がスクリーンに映し出され、その話から始まりました。そして、その画像をバックに、諸橋さんは「大の運動嫌い、運動音痴」を告白されます。
しかも、「初めてのボール投げで、顔面でボールを受けて鼻血を出した」という具体的な話があり、会場は驚きと和やかな雰囲気に包まれました。
そのギャップの大きさに観客は惹きつけられて行きました。

話し始めに、聴衆を惹きつける。

これは、とても重要なことです。
今回のようなギャップの話に限らず、聴衆に「スピーカーの話を聞きたい」「このスピーカーって面白そう。」そう感じてもらえれば、導入部分は大成功です。

世界最高峰障害物レース「スパスパルタンレース」の模様

諸橋さんの場合、世界最高峰の障害物レースに、出場した時の引き締まった身体と満面の笑みで、泥まみれになりながら挑む姿が映し出されつつ、でも実は、スポーツは大嫌いだったと語るギャップに、会場の人は「えっ!?なんで?うそでしょ!?」と引き込まれて行ったのです。

話の先を聞きたくなる工夫もまた、話す力を高める要素です。

諸橋寛子さんのTEDxKyotoでの発表の様子。
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伝えたいことは何か?

こんにちは。フリーアナウンサーの三島澄恵です。

一般財団法人ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーション代表理事の諸橋寛子さん。2018年11月のTEDxKyotoの登壇者のお一人です。
ありがたいことに、その諸橋さんのスピーチトレーニングに、私は関わらせて頂きました。

諸橋さんとのご縁は、これまで3回のブログに綴らせていただきました。
今日からはいよいよTEDxKyotoまでの道のりです。

諸橋さんからトレーニングのご連絡を頂いたのが、2018年7月。初回は、スケジュールの相談だったり、何について話すかという大まかな打ち合わせでした。

TEDxKyotoの運営団体では、話す内容から本番前のスピーチトレーニング、リハーサルや当日のトレーニングまで、担当者の方がバックアップをしてくれます。TEDの精神に基づいたアドバイスが、次々に送られてきます。
私は、その理念や状況を把握しながら、その上でトレーニングに関わらせて頂きました。

スピーチのトレーニング自体は、10月に入ってからでした。
それまでは、話す内容の調整。諸橋さんは、原稿を書いては、運営側からのアドバイスをもらい、さらに書き直すという繰り返しをされていました。話す内容に関しては、私は深く関わりませんでしたが、それでも「伝えたいことは何か?」という点においてお手伝いさせて頂きました。

諸橋さんとの最初の打ち合わせの際、「伝えたいことは何か?」ということを色々とお尋ねしました。その時点では、「あれも、これも」という具合に、伝えたいことがたくさんある状況でした。
しかし、スピーチの時間は12~3分程度。伝えたいことを1つに絞る必要がありました。そこで、自分の振り返りを行う「MY LIFE FLOWERシート」を書いて頂きました。

このMY LIFE FLOWERシートは、自分の人生を花に見立てて、これまでの人生の振り返りや人生で大切にしていること、また、影響を受けている人や思想について書き込むシートです。諸橋さんがTEDxKyotoで話す内容は、諸橋さん自身の人生に基づいていたので、その内容を明確にするためにも、シートに記入をお願いしました。

ちなみに、このシートは私が独自に考えたもので、研修やトレーニングの際に書いて頂くことがあります。

シートを書き終えた諸橋さんからは、
「先代の影響を受けた自分に気づきました。人が変わること(成長、進化)の必要性を聴衆の皆様にプレゼンしようと思います。」と連絡がありました。
先代というのは、諸橋さんのお父様のことです。諸橋さんは、お父様の経営方針や、何より人生観の影響を受けて育って来られました。

スピーチやプレゼンテーションをするとき、何より大切なのは「伝えたいことを明確にする」ことです。これが無ければ、どんなにテクニックがあっても、どんなに長時間話しても伝わりません。

諸橋さんの伝えたいこと、それは「変化・進化・成長」
これは、本番まで揺らぐことなく話の核をなして行きました。

諸橋寛子さんのTEDxKyotoでの発表の様子。
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素直に受け止め、すぐに、練習を重ねる

こんにちは。フリーアナウンサーの三島澄恵です。

TEDxKyotoに登壇された一般財団法人ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーション(以下:USF)代表理事の諸橋寛子さんのスピーチトレーニングを担当させて頂いた貴重な経験を綴っています。

諸橋さんのスピーチトレーニングを初めて担当したのが2015年。
そのトレーニングから3年を経て、今回の依頼となりましたが、諸橋さんのスピーチは、3年前に比べ、格段に上達されていました。
それがわかったのは、今回の依頼をいただく半年ほど前です。

USFでは、3年に1度、「感謝の会」というイベントを開催されています。USFの活動を支えてくれている企業や団体、アスリートを招いて、財団の活動報告を兼ねて感謝を伝えるイベントです。この時、私は司会を務めました。
そして、この時に財団の代表である諸橋さんの挨拶を、再び聞きました。

「え~」や「あの~」という無駄な言葉はほとんど無くなっていました。言葉には強弱がつき、早口で少し聞き取りづらかった言葉は聞き取りやすくなっていました。そして、言葉の持つ力が生かされ、聞き手に言葉が届く感覚が伝わってきました。

懇親会の時に、ある大手銀行の執行役員の方もこんなことをおっしゃいました。

「諸橋さんは、話がうまいね~。話すこともしっかり頭に入っているし、堂々としていて説得力もある。うちのトップも練習しているようだけど、なかなか上達しないようだけど(笑)。」と。

トレーニング後の3年間、諸橋さんが自分なりにスキルを磨いてこられたのだろうということを、私は感じました。

私が、諸橋さんのスピーチトレーニングをして、最も強く感じたのは
「素直に受け止め、すぐに、練習を重ねる」ということです。

話し方は、これまでも様々な方にトレーニングを行ってきました。しかし、多くの場合、すぐに自分の話し方に戻ります。

それは、自分のそれまでの話し方が楽だからだと思います。しかも、それで大きな問題は無く過ごしてきているので、「これまでのままでもいいじゃないか。」や「自分らしく話せないから、前のままで良い」そう考える人が多いように思います。

これは何も話し方だけでなく、何かを身につけていくときも同じだと思うのです。例えば、語学学習、ダイエット、運動など、何か継続することはなかなか難しいものです。自分自身に置き換えて考えても、どれだけできているか・・・(苦笑)

しかし、諸橋さんは、私がアドバイスしたことをすぐに取り組まれていました。しかも、トレーニングの日以外も、分刻みの忙しいスケジュールの中で時間を作って、自主トレーニングをされていました。

私ができることは、上達のサポートです。どんなにアドバイスをしても、どんなに一生懸命に教えても、それを受け止めて、自分のものにするかは、本人次第です。もちろん、やる気が出るようにサポートはしますが、それでも、やはり本人の力が無ければ前進は難しいものです。

素直に受け止め、すぐに、練習を重ねる。

上達するには欠かせない、当たり前のことですが、これができるかできないかが、自分の人生を変えていくのだと、諸橋さんの姿から教わりました。

TEDxKyotoで諸橋さんは、変化・進化・成長について話されました。それは何かを学ぶときの基本精神にもなっているようです。
諸橋寛子さんのTEDxKyotoでの発表の様子。
ご覧になっていない方は、ぜひご覧ください。
きっと、生きるヒントを得られますよ。

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諸橋寛子さんとの出会い

こんにちはフリーアナウンサーの三島澄恵です。

昨日から、TEDxKyotoでの貴重な経験を綴らせて頂いています。
このTEDxKyotに登壇された一般財団法人ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーション(以下:USF)代表理事の諸橋寛子さんのスピーチトレーニングの担当をさせて頂きました。

イベントは11月4日。
諸橋さんからご連絡を頂いたのが7月だったので、約4ヶ月もの間、関わらせて頂いたことになります。

実は諸橋さんは、2015年に一度、スピーチトレーニングのご依頼を頂き、4回に渡るトレーニングをさせて頂いたのが始まりです。

もともと大手スポーツ関連企業(現在はホールディングス)の経営者でもあるので、人前で話す機会は多かったようですが、財団を設立されてからは日本国内のみならず、海外で話すことも多くなったようで、話し方を学びたいと考えていらしたようです。

私が、諸橋さんが人前で話されている姿を初めて見たのは、諸橋さんが代表を務めるUSF主催のチャリティーセミナーでの挨拶でした。

USF設立のきっかけは、2011年3月11日の東日本大震災。
福島では原発事故の影響で子供達が外で遊ぶことができず、その状況をなんとかしたいというところから、諸橋さんの財団の活動がスタートしました。
セミナーに先立って、主催者代表の諸橋さんの挨拶では、財団の設立経緯や福島の現状、子供達の切実な想いが話され、とても心が痛むものでした。

挨拶の内容がとても伝わってきただけに、その分、話し方でもったいないと感じたことがあり、お礼を兼ねて、セミナーの挨拶を聞いた感想を、私は厚かましくもメールでお送りしました。

・言葉の間に「え~」を挟むクセがある
・若干早口に感じられ、間が少ない
・メリハリや緩急が少なく読んでいる印象
・マイクを活用すると声が通る
など、今思い返せば、よくもまあ、こんなメールをお送りしたなと、自分の無謀さに驚くばかりですが。。。

セミナーの前に名刺交換をした際、私の名刺に記していた「話し方講師」という肩書きをご覧になり、諸橋さんは「話し方を学びたいと思っているの!」とおっしゃったので、余計なお世話ならぬ、お節介をしてしまったのです。

普通は初めて会った人間から、いきなりのアドバイスをメールで送られたら、不快感を持つことの方が多いのではないかと思うのですが、諸橋さんは違いました。
私のメールを受け止めて、トレーニングを決められたのです。

メールをお送りしたのが2014年12月5日で、その日にすぐ返信があり、翌月1月8日からトレーニングをするという即断即決の諸橋さんの姿を見て、私は大きな驚きと、それ以上に、人のアドバイスを受け止め、すぐに動くという姿勢を学びました。

TEDxKyotoの時もそうです。
諸橋さんの学ぶ力と身につける驚異のスピードに、私は逆に多くのことを学ぶことになります。

諸橋寛子さんのTEDxKyotoでの発表の様子。
ご覧になっていない方は、ぜひご覧ください。

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