マイクはニギらないで!②

こんにちは。
フリーアナウンサーの三島澄恵です。

TEDxKyotoのスピーチトレーニングについて書いていますが、少しだけ離れてマイクの使い方についてお伝えしています。

弊社のテクニカル事業部で音響専門の田村の話を元に、マイクの特性や使い方をお届けしていますので、みなさんがマイクを使って話をされる際の参考になさってください。

マイクはニギらないで!
(ユナイテッドウェーブス合同会社 テクニカル事業部 田村尚)

テクニカル事業部の田村です。
今回お送りしているテーマは「マイクはニギらないで」ですが、本題に入る前に前回は「ハウリング」についてお伝えしました。今回はもうひとつの予備知識「マイクの指向性」についてです。

マイクには、特定の方向から来る音だけをよく収音できるように設計されているものがあります。こうした性質が指向性で、音が到来する方向に対する感度の変化を指します。指向性は周波数によっても変化しますが、大きく以下のように分類できます。(下図参照) 

【無指向性(全指向性)】

どの方向からも同じ感度で収音するもの。置かれた場所に集まった音のすべてが、振動板に届いて電気出力となります。言い方を換えれば、マイク本体(振動板)の向きや角度に関係なく、音の大きさだけに反応する性格を持ちます。振動板の前方だけが音場に対して拡げられている構造を持ちます。

【単一指向性】

一つの方向からの感度が特に高いもの。カーディオイド、スーパーカーディオイド、ハイパーカーディオイドに大きく分けることができます。無指向性と構造が違うのは、振動板の後ろ側にも音の通り道として穴や溝が設けられている点。後方で鳴った音は、まずこの穴や溝から入って振動板の裏側に届きます(間接音)。同じ音は回り込み、少し遅れて振動板の表側にも届きます(直接音)。そこで、穴や溝から振動板の裏側までに障害物などを置いて間接音の速度を遅らせ、直接音と同時に到達するようにすると、この音は振動板の表と裏で同時に生じた同量のエネルギーとして相殺され、電気出力になりません。

前方で鳴った音は、まず先に振動板の表側に伝わります。その後の裏側への回り込みは、例の障害物によって到達がさらに遅くなります。この時間差によってエネルギーは相殺されずに電気出力されます。そのためこのマイクは、前方への単一な指向性を持つ事になります。後ろ側の穴や溝は前方の音を大きく捉えるためにあります。そして後方で鳴った音を、振動板の表と裏に同時に到達させるための障害物の設計が、マイクメーカーの工夫の見せどころとなります。

【双指向性】

正面と背面、二方向からの感度が特に高いもの。このマイクについての詳しい説明は今回は省きます。

次回は「マイクをニギる」の謎が解き明かされます。お楽しみに。

弊社テクニカル事業部の田村のコラム。いかがだったでしょうか?
専門的な話になり、少し難しいと感じたかもしれませんが、これがマイクの持ち方に深く関わっています。

ただ、みなさんが普段使っているマイクの多くは単一指向性(中でもカーディオイド)です。どの角度からの音が入りやすく、どの角度からの音が入りにくいのかを知ると持ち方を考えるきっかけになります。

具体的な持ち方に関しては、次回に。

TEDxKyotoでは、登壇者の諸橋寛子さんのスピーチトレーニングを行いました。TEDxKyotoでの発表の様子。
ご覧になっていない方は、ぜひご覧ください。

TEDxKyoto 2018 スピーカー 諸橋寛子さん

話し方は、経営者やビジネスマン、学校の先生や研修講師、さらには、大学生、高校生、小中学生、未就学児までまで、幅広い方々を対象に行っています。
お問い合わせはお気軽にどうぞ。


マイクは話し手の大切な道具〜マイクは叩かないで!②

こんにちは。
フリーアナウンサーの三島澄恵です。

TEDxKyotoのスピーチトレーニングについて書いていますが、昨日からは少しだけ離れてマイクの使い方についてお伝えしています。

弊社のテクニカル事業部で音響専門の田村の話を元に、マイクの特性や使い方をお届けしていますので、みなさんがマイクを使って話をされる際の参考になさってください。

マイクは叩かないで!②
(ユナイテッドウェーブス合同会社 テクニカル事業部 田村尚)

前回、マイクで拡声する仕組みをご紹介しました。今回はいよいよ本題の「なぜ、マイクを叩いてはいけないか?」ということをお話しします。

前回、拡声のシステムは非常に小さなエネルギーを、電気によって大きなエネルギーに増幅すると説明しました。では、マイクを叩くのがなぜいけないのか?なんとなく想像がつきますか?

例えば、普通の声の大きさ程度の空気の振動で、私たちは痛みを感じることはありません。しかし、誰かに手で叩かれれば痛みを感じますよね。そのくらいエネルギーに差があり、それがマイクにも起きているということです。

本来非常に小さなエネルギーを拾うためにあるシステムに、必要以上の大きなエネルギーを与えれば、色々なところに過大な負荷がかかります。それはつまり、機材を予期しないところで傷める危険があることを意味します。
機材を傷めるということは機材トラブルに繋がり、それがイベント全体に影響する危険があるため、私たち音響は嫌がるのです。

マイクのスイッチが入っているかどうかが気になり、マイクを叩く人をよく見かけますが、マイクの仕組みを理解いただき、マイクは叩かないようにお願いしたいのです。

 では、マイクを叩かずにスイッチが入っていることを確認するにはどうすればよいでしょうか?それはは次回。

マイクを叩いてはいけない理由、お分りいただけだでしょうか?

私も、司会などの本番で、出演者の人がマイクを叩いている姿をよく見かけます。しかも本番中に。

「ばんっ、ばんっ」さらにもう一度、「がんっ、がんっ」と何度も。
それを見るたびに、マイクは大丈夫だろうかとヒヤヒヤしてしまいます。

1回、2回で壊れるほどの作りはしていないと思いますし、音響の人たちも細心の注意を払って準備をしていますから、本番中に壊れたところは見たことがありません。しかし、マイクは様々なところで使っていますから、積み重なれば、どこかの現場で、何かしらの不具合の症状が出ることもあるのではと思います。

マイクは、話し手にとって大切な道具です。
その道具を大切に扱うというのは、話し手として当然のことだと私は考えています。カラオケボックスや宴会場・会議室などで、頭がへこんでいるマイクをよく見ると心が痛くなります。

テーブルに置く時はそっと置いたり、持つ時も優しく丁寧にしたり、置く時も転がらないようにタオルやハンカチの上に置くなど、マイクを大切に扱ってほしいなと思います。

明日もまた、田村のコラムをお届けします。

弊社ユナイテッドウェーブスでは、司会や企業研修・スピーチトレーニングとイベントやコンサートなどの音響業務も請け負っております。
お気軽にご相談ください。

ユナイテッドウェーブス合同会社
https://united-waves.jp
info@united-waves.jp

諸橋寛子さんのTEDxKyotoでの発表の様子。
ご覧になっていない方は、ぜひご覧ください。

TEDxKyoto 2018 スピーカー 諸橋寛子さん

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マイクを味方に。〜マイクは叩かないで!①

こんにちは。
フリーアナウンサーの三島澄恵です。

TEDxKyotoのスピーチトレーニングについて書いていますが、今日からは少しだけ離れてマイクの使い方についてお伝えします。

今回のTEDxKyotoでは、ヘッドセットタイプのマイクが使われましたが、皆さんが普段使うマイクは、手に持って使うタイプが多いのではないかと思います。
どのタイプのマイクでも、注意点やコツがあります。

私は、ユナイテッドウェーブス合同会社の代表も務めていますが、弊社は、私が担当するアナウンスや講師業務とは別に、音響専門の部署があります。今日は、その音響専門で、長年にわたり、イベントやコンサートを担当している弊社テクニカル事業部の田村の話をご紹介します。
みなさんがマイクを使う時の参考に、ぜひなさってください。

マイクは叩かないで!①
(ユナイテッドウェーブス テクニカル事業部 田村尚)

マイクを使って話す時、そのスイッチが入っているかどうか確かめるためにマイクを叩く人がいます。そういえば以前、マイクで人の頭を叩いた人がいたことを思い出しました。「マイクを叩く(マイクで叩く)」これは私たち音響担当者が最も嫌がる行為です。

そもそも本来叩く道具ではないものを叩くというのはあまりスマートな行為ではないですね。また、叩いた時にマイクのスイッチが入っていれば、スピーカーから「ボンボン!」と音が出ますが、これもあまり気持ちのいい音ではありません。

なぜマイクを叩くことがいけないのか説明する前に、マイクで拡声する仕組みを簡単に説明します。

音とは空気の振動です。その振動がマイクの中の振動板を振動させて電気信号に変換します。電気信号はミキサーなど各種機器を通り音質、音量が調整されアンプに送られます。電気信号はアンプでその後に繋がれたスピーカーを駆動するために増幅され、スピーカーの振動板を振動させ、その振動が空気を振動させて最終的に拡声された音になり聴衆に伝わるのです。

普段人と話す時、声が空気の振動なんて感じることはありませんよね?そんな小さなエネルギーが場合によっては1万人以上の人に届くようなエネルギーに増幅されるのです。

マイクを叩くのがなぜいけないのか?なんとなく想像がつきますか?

次回は、なぜマイクを叩いてはいけないのかをお伝えします。

弊社田村のマイクのお話いかがでしょうか?

弊社に限らず、音響スタッフのみなさんはステージを支えてくれている縁の下の力持ちです。ステージでは視覚要素の強い映像演出に目が行きがちになります。しかし、司会やスピーチも映像も、会場で流れているBGMや演出時のアタックなど、全て音がなければ成立しません。

音は目に見えないので、出ていて当たり前、聞こえて当たり前の要素になっています。そうやって誰もが当たり前に感じ、自然に感じられるというのが、音響のプロのみなさんの仕事のすごさなのだろうと思います。

私は、しゃべり手としてステージで話す立場ですが、現場で安心して話ができるのは、各現場の音響スタッフのみなさんのおかげだと、いつも感謝しています。

では明日もまた、田村のコラムをお届けします。

弊社ユナイテッドウェーブスでは、司会や企業研修・スピーチトレーニングとイベントやコンサートなどの音響業務も請け負っております。
お気軽にご相談ください。

ユナイテッドウェーブス合同会社
https://united-waves.jp
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諸橋寛子さんのTEDxKyotoでの発表の様子。
ご覧になっていない方は、ぜひご覧ください。

TEDxKyoto 2018 スピーカー 諸橋寛子さん

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