こんにちは。 フリーアナウンサーの三島澄恵です。
TEDxKyotoに登壇された一般財団法人ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーション代表理事の諸橋寛子さんのスピーチトレーニングについて綴らせていただいています。
今回は「声に出した時、聞き取りにくい(言いづらい)言葉が無いか?」です。
声に出して練習を始めると、話し手が苦手だと感じる言葉や文脈が出てきます。 なぜかスムーズに言えない言葉、どうしても突っかかる言葉、明瞭に発音しにくい言葉など、黙読しているとスラスラ読めるのに、声に出すとスラスラとは行かないものです。
今回のように自分で原稿を考える時は、苦手な言葉を別の言葉にすることが可能です。また、言葉だけで聞くと聞き間違いを起こしそうな言葉も、できるだけ言い換えることをおすすめします。
例えば、私が放送局で教わった一つは「約」を「およそ」に言い換えることです。 「約」は「100」と聞き間違える可能性があるからです。
ただ苦手でも、どうしても変えられない場合もあります。例えば今回の諸橋さんであれば「父(ちち)」という言葉。自らのお父さんを表現する時の言葉です。
諸橋さんの話し方のクセの一つは、舌先が前歯にあたる点と母音のイとエの発音で口角が下がり気味になるということです。このクセは、諸橋さんに限らず、かなり多くの人に見受けられます。
しかし、諸橋さんは、その苦手な言葉に向き合い懸命にトレーニングを重ねられました。
発音の口の形は、直すのにかなりの労力と時間を要します。なぜなら、呼吸をするかのように当たり前の動きになっているからです。しかも何十年もの間それで過ごしてきたのですから、簡単には行きません。
それは、 姿勢を良くすることに似ているかもしれません。姿勢良くと意識していればその時はできますが、普段の生活に戻ると元の姿勢に戻っているという感じです。
しかし、諸橋さんは違いました。たった1ヶ月ほどの間で、苦手だった「チ」の発音が聞きやすくなりました。それは、ご本人の努力の賜物。
諸橋さんのトレーニングをしながら、私は人が変わることの素晴らしさ、何より人は変われるんだということを教わりました。
苦手な言葉を言いやすく言い換えることもできますが、苦手なことに取り組んで克服すれば、新しい世界を感じることができます。 声に出して練習して、様々な自分と出会ってみてください。
次回からは、日本語の発音のことを綴っていきます。
諸橋寛子さんのTEDxKyotoでの発表の様子。
ご覧になっていない方は、ぜひご覧ください。
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