こう話すと力強く聞こえます

数日前にも、菅首相の話し方について書きましたが・・・
昨日、新型コロナウイルスの急速な感染拡大によって緊急事態宣言の対象地域が広がりました。その発表を行なった菅首相ですが、緊急性や重大性が伝わりにくいと、改めて感じた会見でした。

どうすれば、緊急性や重大性が伝わる力強い話し方になるのか?
今日は、昨日の会見の冒頭の文章を使ってちょっとしたコツをお伝えします。

まずは、そのコツですが、それは、「言葉の始まりをはっきりと言う」ということです。この「はっきり」というのは、主に、声の大きさや張り、強さ、音の高さ、発音の明瞭さがあります。


それでは、実際に「言葉の始まりをはっきりと言う」点を意識して言ってみます。
あえて少し大袈裟な表現をします。
*音声はRadiotalkでお聞きください
Radiotalk→ https://radiotalk.jp/talk/457583


「先の1都3県に続き、他の地域においても厳しい状況が続いています。みなさんも不安に感じておられることと思います。
しかし、この厳しい状況を好転させるためには欠かせない措置であることを、ご理解賜りたいと思います。
必要なことは、あらゆる手段を尽くして取り組んでまいります。制約の多い生活で、ご苦労をおかけいたしますが、何としても、乗り越えていかなければなりません。国民の皆さんのご協力をお願い申し上げます。」



いかがでしょうか?
力強く聞こえましたか?
「言葉の始まりをはっきりと言う」に加えて、声のトーンや間の取り方、抑揚なども関係しています。

例えば、優しい感じで言うと「国民の皆さんのご協力をお願い申し上げます。」となり、先ほどの力強い感じとは、全く印象が変わります。
話す内容や伝えたい気持ちに合わせた表現ができると、さらに思いが伝わるようになります。


しかし、今回の会見のように原稿を読むというのは、トレーニングをしていなければ不自然な話し方になり、どうしても気持ちが伝わりづらくなります。そのため、菅首相も、不自然な話し方になっています。
例えば、助詞(てにをは)や文末の音伸ばしや音の高さです。菅首相はこのようになっています。
「制約の多い生活で⤵️ ご苦労をおかけいたしますが⤴️ 何としても、乗り越えていかなければなりませ⤵️ん。国民の皆さんの⤴️ご協力を⤴️お願い申し上げます。」という具合です。


他にも菅首相は、「サ行」「タ行」「ラ行」など、舌を使って出す音が不明瞭です。先の文章の中でも「なんとしても」というところを「なんとちても」と言っています。
発音不明瞭というのは、単に聞こえづらさだけでなく、印象にも直結します。サ行が不明瞭だと、どうしても幼い印象を与えがちになります。
幼いことどもが、「おかあさん」というのを「おかあたん」と言うような感じです。


ここでは、菅首相を例に上げましたが、リーダーの方がスピーチや挨拶される時に、このような話し方は多々見受けられます。
原稿を読むことが悪いわけではありません。原稿を読むときも話し手の想いや考えが、聞いている人に伝わるように、ぜひ、トレーニングをなさってみてください。



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日本のリーダーの話し方にがっかり



首都圏では2回目の緊急事態宣言が発出され、ステイホームという人も多いんでしょうか?

こんにちは。
フリーアナウンサーの三島澄恵です。

私はコロナ禍になった去年から、仕事がほぼキャンセルになりステイホームをせざるを得ない状況です。けれど、ステイホームだからこそスタートできたオンラインの企業研修や話し方トレーニング。今は、より活用していただけるようにとプログラムを考えています。


ところで、今回の緊急事態宣言は前回のような徹底した自粛にはならないようですね。。。
その原因は、日本人の多くがコロナ慣れし始めていたり、「自分はかからない」という正常性バイアスが働いていたりするのかなと思っています。そしてもうひとつは、政府からの危機感が国民に伝わっていないと言うことがあるように思います。
菅首相の会見を見ましたが、全く心に響いてこないですし、どこか他人事として話している感じさえ受けてしまいました。


それはどこにあるのか?


菅首相はというと、官房長官時代の印象が強く残っているというのもありますが、書かれている原稿を下を向いて、ひたすら「読んでいる」と言う点が大きいと思っています。抑揚が少なく、表情も変化無く話し続けています。言葉に心がこもっていないように感じられます。これは、菅首相の話し方のスタイルなのかもしれませんし、ポーカーフェイスと言えば聞こえがいいのですが、緊急事態を呼びかけるリーダーの話し方としては、やはり弱いです。

他にも、テレビ出演時にキャスターとの質疑応答のやり取りを見ていても、歯切れの悪さや自信の無さばかりが伝わってきて、見ているこちらとしては、「これからの日本は大丈夫なのだろうか?」という不安が大きくなってしまいます。


菅首相の話し方で、リーダーとしては弱いと私が気づいた点をいくつかピックアップしました。


1.姿勢が前屈みになっていることで、弱々しい印象を作っている

2.手や目線が細かに動いていて落ち着かない
(手元の原稿が気になっている様子も見受けられました)

3.声に張りがなく、語尾にしたがって弱々しかったり、息で話している

4.言葉を選びながら話しているものの具体的な数値や目標が示されず、言葉が曖昧になる

5.肝心な言葉がスムーズに出てこない


原稿があるときは、言葉が用意されているのでそれを読めばいいのですが、対話になると、菅首相の話し方にはご本人の自信のなさが全て表れているように私には見えました。実際、話し方には、その人の心の内が全て表れます。自信のない時は自信のない話し方になり、逆もまたしかりです。
菅首相の場合、これまでご自身が作ってきた政策で上手く行っていると思われているものは、声にも張りがあり、言葉もはっきりしています。しかし、そうでない部分を話す時は、先に書いたように声に張りがなくなり、言葉を濁したり、曖昧な表現で話しているように聞こえています。

そういえば、茂木外務大臣の韓国への抗議の会談映像を見ましたが、これもまた、原稿を読んでいて、何も伝わってこない・・・
日本人のリーダーが、こんな話し方でしか伝えられないことが、とても恥ずかしいと思ってしまいました。

私は政府を批判したいわけではなく、きちんとした意思表示をリーダーとし伝えて欲しいと心から思うのです。


ちなみに、「自分の顔を聞き手に向ける」「原稿を読む時は自然に話せる練習をする」この2つは、皆さんもプレゼンテーションやスピーチの時に役立ちますよ!



目線を相手に向けるというのは、とても重要な意味があります。それは、「私はあなたの存在を認めていますよ。大切にしていますよ。」というサインでもあるからです。

「原稿を読む」というのは、講演会や何かの挨拶の時にもよく見受けられますが、原稿を読むと、抑揚がつかなかったり、変な抑揚がついてしまって聞きづらかったりします。とはいえ、大切なことを伝える際は原稿があった方がいい場合もあります。原稿を自然に話すには、トレーニングが欠かせません。原稿をみているけれど、まるで見ていないように自然に話すスキルは、練習すれば誰もが身に付けられます。


伝える言葉はとても大事です。
そして、その言葉に命を吹き込み、聞いている人の心に響くように表現するということもとても大事です。
あなたの想いが相手に届くためには、ぜひ、トレーニングをしてみてください。


トレーニングのコツは、また次回!


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人の心を動かす話し方とは?安倍首相の会見を見て

今日は、1分で話す文字数にとらわれず、思っていることをそのまま綴っていきます。

新型コロナウイルス感染拡大により、緊急事態宣言が発出されました。それにともない安倍首相が会見を開き、私たち国民に訴えかけてくれました。内容は練られているでしょうし、安倍首相も熱意を込めて話しているはずなのに、心には刺さらなかったというのが私の正直な感想です。

では、今回のように不安が大きい時の人の心を動かすほどの話し方とは?

 聞いている人の不安を言葉にすること

 感謝や労いを言葉にすること

 事実やエビデンスに基づいた話をすること

 具体的な対策で方向性を示した上でお願いすること

 その結果何が得られるかを伝えること

 そして何より、覚悟を伝えること

この中でも大切な部分は最初の「聞いている人の不安を言葉にすること」です。不安を言葉にするというのは、本当の意味で聞いている人のことをわかっている必要があります。どのような人がどんな不安を抱えているのか?それを理解するには、相手を慮る想像力が話す側に求められますが、ここにズレがあると、話し始めから聞いている人の心には届きません。

そして、最も重要だと思うのは、覚悟を伝えられるかどうかです。今回の場合だと、国のトップである人が国民の生命と生活を必ず守るという覚悟が伝わるかどうかです。

安倍首相もきっと、その想いを持って話をされていたと思うのです。しかし、それが伝わってこないのはなぜだろう?そう思い、何度か映像を見返してみました。その理由の一つは「口調」にありました。

安倍首相の話し方は政治家の方特有の話し方です。助詞(てにをは)で言葉を切り、文末も間を取り一つ一つの言葉を立てながら話しています。けれど、その助詞や文末の音が跳ね上がる(音の高さが少し上がる)傾向が強いのです。

冒頭で医療従事者の方々への感謝を伝えられましたが、その口調は次のような感じでした。

「日本国民を代表して⤴️ 心より⤴️ 感謝いたしま⤴️す。」

このように音が跳ね上がると、話している言葉がとても軽く聞こえてきてしまいます。文章で説明するのは難しいのですが、音をきちんと置くということが重要です。そうすることで、言葉に重みが生まれてきます。

本当にわずかなことなのですが、そのわずかな音声表現が言葉の重みを変えてしまいます。そして、この重みが、覚悟を表現する上でも必要です。

口調は話し手のクセでもあるのですが、その人の心の中を表現することもあります。逆に、話し手の思っていることとは違うメッセージを聞き手に発信する可能性もあります。

新型コロナウイルスの影響は今後もまだまだ先行き不透明です。組織のトップの方々は、リーダーとして導いていく力が強く求められます。その想いが届くように、メッセージを発信する前に、自分の話し方を見直してみてください。

スピーチやプレゼンテーションのトレーニングを行っています。
経営者や講師の方など人前で話す機会が多い方にはおすすめです。

放送・イベント・企業研修などのご相談は、
ユナイテッドウェーブス合同会社までお気軽にどうぞ。

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