こんにちは。
フリーアナウンサーの三島澄恵です。
先日から、TEDxKyotoで登壇された一般財団法人ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーションの代表理事 諸橋寛子さんのスピーチトレーニングを担当させていただいたときのことを綴っています。
原稿ができあがり、前回のブログからは声に出してのトレーニングについてお伝えしていますが、原稿の文章を話すように自然に読むというのは、実はとてもハードルが高いのです。
アナウンサーがニュース原稿を読んでいる様子は、皆さん誰しも見聞きしていると思います。原稿を読むだけなら誰もでもできると思うかもしれませんが、原稿を単に読むことができても、それを自然なイントネーションやアクセントで読むにはトレーニングが必要です。
みなさんも試しに一度、新聞などの文章を声に出してアナウンサーのように読んでみてください。そうすると、自然に読むという難しさを感じていただけるのではないかと思います。
その難しさのひとつがイントネーションです。これもまた、母音と同じく日本語の特徴から来るものかもしれません。
日本語は音の高低が鍵を握っています。それは、アクセント(アクセントについては、後日改めて綴ります。)もですが、1文の中でも言えます。
日本語は、話し始めの音が一番高く、途中上げ下げをしながら、文末は音が低くなっていきます。
例えば、「私は、フリーアナウンサーの三島澄恵です。」という1文。私はの「わ」、フリーの「ふ」、三島の「み」で音は高くなりますが、最後の「です」は、「私は」よりも低い音になります。実際に声に出してみるとわかりますが、「です」が「私は」よりも音が高くなると、とても不自然に聞こえます。
加えて、「私は」の「は」の部分。
この「は」(助詞)の音を必要以上に高くしたり、低くすると自然な口調ではなくなります。そして私たちは、原稿を読むと不自然な音の上げ下げを行ってしまうのです。普段の会話では、そんな不自然なイントネーションになることはないのに、原稿になるとそうなってしまうという不思議です。
そしてこれは、トレーニングを始めて、誰もが必ず通る道でもあります。
今回、諸橋さんのトレーニング以外に、TEDxKyotoの前日のリハーサルで、登壇者の方々のボイストレーニングも担当させていただきましたが、みなさん不自然なイントネーションがついていました。TEDxKyotoのトレーニング担当の方も、その点を何度も注意されていましたが、なかなかすぐには直らない難しいポイントだと、改めて実感しました。
諸橋さんは、練習を何度も録音し、音の違いを聞いて直していきました。
自分では不自然な話し方をしていないと思っていても、実際に聞いてみると不自然だと気づくことができます。もし今、トレーニングをしている人は、練習を録音して聞き直して、繰り返しトレーニングをすることをおすすめします。
文章は間違えずに読んでいるだけでは伝わりません。原稿をいかに自然に話すように読み、かつそこに説得力のある表現をつけられるかがスピーチには求められます。
次回は、日本語の文法が関係している音の高低についてお話しします。
諸橋寛子さんのTEDxKyotoでの発表の様子。
ご覧になっていない方は、ぜひご覧ください。
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