話すよりも聞く力を磨いた方がいい理由



「それは、違うよ。」
「そうだね。よくわかるよ。私もね・・・(延々と続く経験談)」
「その時は、こんな風にしたらいいんじゃない。(アドバイスが続く)」
「はい、はい。そうそう。はい、はい。」
「ちゃんと、考えているの?」

などなど、今あげた返答は、上司と部下の間や相談者と相談を受ける側でよくある会話の一例ですが、身に覚えはありませんでしょうか?


企業研修で「聞き方」に関する研修を5年ほど前から行っていますが、この事例を出すと、受講者のほとんどの人が自分の経験を思い浮かべて、同意の表情がうかがえます。自分自身が言われた経験を思い出している人と、逆に、自分が言った経験を思い出している人と、それぞれですが、後者の人の場合は、ちょっと苦笑いされていることが多いです。
というのも、研修では、最初にご紹介した返答は、極力、避けるようにお伝えしているからです。


否定や経験談、アドバイス、同意や質問が全てダメということではありません。どれも相手との信頼関係度によってタイミングがあり、言い方(口調など)にもポイントがあるのです。ただ多くの場合、上司(相談を受けている側)は、部下(相手)の相談を、なんとかしたいという思いが働いて、ついつい経験談やアドバイスなどをすぐに話してしまいがちです。そして、会話が終わる頃には、部下はほとんど話さず、上司の話で終わってしまうなんてことも少なくないと思います。
(これは、上司・部下に限らず人間関係全てに言えます。)


実は、私はとても話が長くなりがちなタイプです。今は、状況や相手に合わせて、話す内容をまとめているので長くなることは少なくなりましたが、自分の得意分野や好きなことを話し始めると、うっかり・・・なんてこともあります。

なので私は、人の話を聞くときは、「聞くスイッチ」を入れています。

本当はこんなスイッチを入れずに、自然に聞くモードになれると良いのですが、前回のブログの最後に余談を書いた通り、人は自分の話をしている時は、脳に快楽物質が出ることがわかっています。それ故、多くの人は、聞くよりも、自分が話すことの方にスイッチが入りがちなのです。


それでは、相手から相談を受けて、相手に自分の経験談やアドバイスを伝えるタイミングは、いつが良いかと言うと・・・
それは、相手と信頼関係ができている状態。心理学の言葉で言うと「ラポール」が形成されている状態です。
この「ラポール形成」がされないままに話そうとすると、相手は、あなたの話に共感を示すことは難しい状態です。もしかしたら、聞いてくれているように見えるかもしれませんが、相手の心には届いていない可能性が高いと考えられます。


アメリカFBIの交渉術では、5つのステップを踏んで難しい交渉を成立させています。そのステップは、傾聴→共感→ラポール形成→影響→行動変容の順番です。
交渉と言うと、相手を説得するために「話す」イメージが強いかもしれませんが、実は、まずは相手の話を聞く、しかも共感を持って聞くということが最初のステップなのです。


みなさんも自分のこととして置き換えてみてください。

例えば、あなたが何か新しい提案を上司にしたとしましょう。その時に、最初から否定されたり、「それよりも、こっちの方が良いんじゃないか」など、上司の考えを聞かされたとしたらどうでしょうか?

例えば、あなたが誰かに、「AかBどちらがいいか迷っている」といったような相談をした時に、すぐに「Aの方がいいに決まっている」や「AもBもやめた方がいい」など言われたら、どうでしょうか?

どちらの場合もそうなのですが、提案や相談をしてきた自分の話を聞いてもらえずに、相手から一方的な意見を言われると、人は素直には相手の話を聞くことが難しいのです。けれど、その前に、なぜ、この提案をしたのかやAかBで迷っている理由などを、きちんと聞いてもらえれば、相手の話にも耳を傾けられる心理になります。
これは、好意の返報性とも言われますが、私たちは相手から何か好意を示されると、相手に好意をお返ししたくなるという心理です。
ここでは、自分の聞いてもらえたという心理が、相手の話も聞こうという心理になりやすいということです。


それでは、「話を聞けばいいんだ」「ひと通り聞けば話していいんだ」と思うと思いますが、この「聞く」の聞き方が、なにより重要です。単に「聞きました」ではなく、「何を聞くか」「どう聞くか」がラポール形成には欠かせません。この点については、また次回以降お伝えします。


聞く力がつくと人間関係は大きく変わります。
特に、会社で部下との関係や指導に悩みを持つ方には、話すよりも聞くことを意識されることをおすすめします。そして、私が知る限り「できるリーダーは話を聞くことができる」と感じています。



企業研修に関してのご相談をお受けしています。
お気軽にお問い合わせください。

三島澄恵
ユナイテッドウェーブス合同会社代表。 
元NHK-FMラジオパーソナリティでTVのナレーター・リポーターなどを経て、学校教育にも関る。
これまでインタビューした著名人は2000人を超える。 その経験や知識をブログに綴っています。
詳しいプロフィールは下記まで。
https://united-waves.jp

【話すは放す】聞くには人を変える力がある

「話すのが苦手なんです。」
「人前で、うまく話せるようになりたいです。」
「どうやったら、相手に伝わるんですか?」
など、話し方が上手になりたいという相談をよく受けます。
実際、私も経営者や講師の方のスピーチや話し方のトレーニングを行っています。

けれど、人の話の聞き方が上手くなりたいと言って相談してこられる人は、ほとんどいません。皆無と言ってもいいかもしれません。
ということは、多くの人は、「自分の話を聞いてもらいたい」「自分のことを理解して欲しい」と思っているという裏返しなのだろうと思います。



私は企業研修に携わって10年近く経ちますが、4〜5年ほど前から、管理職の方を対象にした「聞き方」についての研修を行うことが増えました。ある大手通信会社様では、受講された80名近い方々が全員、活用度100パーセントとお答えになりました。この結果に、私はとても驚きましたが、それ以上に、受講を依頼された会社のご担当者様が驚かれていました。ありがたいことに、今年もご依頼を受けています。


どんな研修をしたか・・・


その話をする前に、「聞く」ことがどれどほど大きな力があり、相手に大きな影響を与えるのか?を、お伝えしたいと思います。それは、私自身の経験に基づいたことです。
私自身が、人の話を本当の意味で聴けるようになったのは、30代半ばを過ぎてからです。それまでは、人の話を聞いていたとしても、根底には「自分が正しい」という考えが、べったりと心に張り付いていたので、人の話を聞いているようで、実は聞いていなかったと、今は思います。

けれど、そんな私が変わったのは、実際に自分が話を聞いてもらって、たくさんの気づきと勇気づけをもらい、人にどう話を聞いてもらえれば前に進めるかを分かったからです。人に話を聞いてもらえるということは、どれほど人を変えることができることかを身をもって知りました。その経験から、カウンセリングやコーチング、心理学や脳科学を学び、今に至ります。

私は、20代前半の過度なダイエットが引き金になり、摂食障害に陥りました。今から二十数年前の当時は、今ほど、摂食障害という言葉は一般的ではありませんでした。カウンセリングも気軽に受けられるような状況でもありませんでした。なので、どう対処して良いのかもわからず、誰にも相談できずにいました。
それでも自分なりに色々と調べていると「摂食障害」というものがあることを知りました。それは、精神的なことが深く関わっているということもあり、調べた資料をみる限り、受診をするなら精神科ということだったので、恐る恐る大学病院の精神科を受診しました。

精神科という響き。
当時、20代前半の私には、とても重たいものでした。それでもなんとかしたいと思って行ったのですが・・・そこで初めてお会いしたお医者様から、子どもの頃からの親との関係などを根掘り葉掘り聞かれたことを、今でも覚えています。私は、その時、担当のお医者様に心を開けませんでした。話を聞いてくれているというより、尋問されているという感覚に陥ったのだと思います。その後は一度も行くことはなく、そのままの状態が数年続きました。


そして数年後に出会った、民間のカウンセラーの先生のおかげで、私を少しずつ変わることができました。無理に話を聞き出そうとはしませんでしたし、言いたくないことは一切言わなくて良く、私が話すことを全て受け入れてくれ、前に進むために決めたことも優しく背中を押してくれました。私自身が考え、気づき、行動を選ぶという感覚を、私自身が持てる導きでした。

話を聞いてもらっていて「自分で選んだ」という感覚は、とても重要です。相手に誘導されたや、相手の言葉に影響されて決めたという感覚が心のどこかに残っていると、うまくいかなかった時は、どうしても相手の責任にしがちです。そうではなく、「自分が選んだ」という感覚を持つことで、行動に責任を持てるようになります。それでも私の摂食障害が治るまでは12〜13年ほどかかりましたが、その先生は焦ることなく、ずっと私に寄り添ってくれていました。


研修でもお伝えするのですが、「聞く」を漢字にすると「聞く」「聴く」「訊く」という3つがあります。通常は「聞く」の漢字表記で良いのですが、聞くを深めて考えてもらいために、あえてお伝えしています。「聴く」は耳を傾けて集中して聞くという意味。「訊く」は常用漢字には含まれていないのですが、尋ねて答えを求めるという意味があります。
もちろん「訊く」も大切なことなんですが、まずは「聴く」ことが、相手との信頼関係を築くためにとても必要なことです。けれど、この「聴く」はなかなか奥が深く、私もまだまだ至らないことが多々あります。


私が最初に行った大学病院の精神科は、訊かれることが中心で「聴いてもらっている」という感覚になれなかったのだと思います。もちろん、お医者様との相性もありますし、当時の私の心には大きな壁があり、お医者様に心を開くどころか、頑なに閉じていたのでしょう。

訊くよりも聴くを感じられると、人は心に余裕ができるのだと思います。例えば、溢れかえってしまっているゴミ箱にゴミを入れようとしても、ゴミはこぼれてしまいます。新しい洋服を買ってきても、クローゼットがいっぱいだと新しい洋服を入れることができません。
それと同じで、私たちの心の中も、それまで溢れるほどに溜まっていた考えや気持ちが、そのままの状態であれば、周囲の声は聞こえないのだと思います。自分の中にある溢れるほどの考えや気持ちを誰かに話すことによって隙間が生まれ、他の人の話を聞いたり、客観的な視点を持てる状態になって行くのではないでしょうか。


「話すは放す」とも言われます。

話し上手になることも、とても大切なことです。けれど、それと同じくらい、いえ、それ以上に聞き上手になることは大切だと思います。

今、企業では「心理的安全性」が求められています。心理的安全性が生産性をあげると言われていますが、心理的安全性をつくるには、そのチームの誰もが安心して意見を述べられる環境づくりが必要です。どんな意見であっても、それを自由に話せるチームづくりが欠かせません。そのためには、「聞く」ことこそ、必要なスキルではないかと思います。そのほかにも、ハラスメントの予防やメンタルケア、人材育成などにも「聞くスキル」は関わっています。
特に、組織の管理職やリーダーの方には、今後、さらに求められるスキルだと思います。


余談ですが・・・
人は自分の話をしている時に、脳から快楽物質であるドーパミンが出るんだそうです。それほど、人は、自分の話をするということが好きなんですね。話し出したら止まらなくなる人も少なくないですし、自分ではそんなに話していないと思っていても、意外に長い時間話してしまったなんてこともあります。
ついつい話してしまう長話は、ご注意くださいね。

三島澄恵
ユナイテッドウェーブス合同会社代表。 
元NHK-FMラジオパーソナリティでTVのナレーター・リポーターなどを経て、学校教育にも関る。
これまでインタビューした著名人は2000人を超える。 その経験や知識をブログに綴っています。
詳しいプロフィールは下記まで。
https://united-waves.jp

【アートにエールを!に参加して】見えないサポートが大きな力



先日から、東京都の芸術文化支援「アートにエールを!」の制作裏話を綴っています。今日は、その制作の陰で支えてくれた人たちのことを書きます。


まずは、何はなくても、作画を担当した野村おとさんのご両親です。お母さんは、私の高校時代からの親友です。気のおけない友ではありますが、今回の作画のお願いはかなり悩んで連絡をしました。


それは、制作スケジュールもかなりタイトで、描く枚数も少なくとも10枚には至るだろうと想像し、学校、習い事などある中で取り組むことを考えると、小学生にはかなり大きな負担だと思っていたからです。正直なところ、断られる可能性が高いと思いながら一か八かで尋ねました。
プロジェクトの主旨と私の考えを伝えて、それから、本人であるおとさんに意志を聞いてもらいました。しかし、返事は思いもよらぬほどの快諾でした。
「いい経験になるし、本人もやるって言ってるから。」と、親友から連絡をもらったのです。

それからの制作に関しては、「いつまでにどうしたらいい?」「キャラクターはどうしよう?」「絵コンテは?」といった具合に、逆に親友から連絡をもらう始末。というのも、私は番組で映像制作はしたことがありましたが、紙芝居のようなものを作るというのは初めての経験だったからです。とはいえ、お願いしたのは私なのに、恥ずかしさと申し訳なさでいっぱいでした。

今回のお話の舞台は、時代で考えると江戸時代のような感じです。小学5年生のおとさんの頭の中にはぼんやりとイメージがあっても、キャラクターを考え、実際に絵を描くにはかなりハードルの高いものだったと思います。けれど、そこは親友と親友のご主人が色々と調べてくれたようです。
私は、おとさんとご両親のやりとりをそばで見たわけではありませんが、ご両親は、おとさんのサポートはしても、基本的には、おとさん本人が考えて、決めるように導いていらしたと感じています。


それは、WEBミーティングをしたときに強く感じましたし、その後のやりとりを通しても感じたことです。私は基本的に、親友とやりとりをしていましたが、親友の口から何度も出てきた言葉は、「本人(おと)が、これが良いって言ってるんだよね。」でした。
例えば、私が好きなシーンの一つに、庄屋さまが、ねずみに耳を近づけているシーンがあります。私にはそういう構図は全く浮かばなかったので、
「こういう描き方があるんだね!すごい!」と話したところ、親友は、「おとが、これが良いって。」という答えが返ってきました。
逆に、私が「ここはもう少しこうなるかな?」という希望を伝えると、親友は「おとに聞いてみる。」と、必ず、おとさんを優先していました。

きっと、制作している間、色々とあったと思います。おとさんが、思うように描けなかった日もあるのでしょうが、上手にやる気を引き出しながら、おとさん自身が自分の力で完成できるようにサポートしていたんだと思います。



話は少しそれますが、私は企業研修などで、管理職の方に向けて部下育成のプログラムも行っています。その時に伝えるのは、「自己決定感」「自己有能感」「承認欲求」「成長欲求」をサポートする関わり方です。こうすることで、本人のモチベーションをアップさせ、かつ、自分で考えて行動する力がつきます。しかしこの関わり方は、簡単なようでなかなか難しいものです。しかも、それが関係性が近ければ近いほど難しくなります。

皆さんも経験ないでしょうか?相談を受けると、相手のためにと思いながら、自分がやり過ぎてしまったり、アドバイスをし過ぎてしまうこと。こうしてしまうと、相手の考えや気持ちが置き去りになって、結果、相手のためと思って行ったことが、相手のためにはならないことが多くあります。
例えば、親御さんが子どものことを思うあまりに、レールを敷きすぎたり、かまい過ぎたりすると、子どもは自分で決める自己決定感や自分はできるんだという自己有能感が育まれないことにつながります。
ちなみに私の場合は、両親にレールを敷かれようとして反発した口です(笑)小さい頃から、「お姉ちゃんは、看護婦(当時はこの表現でした)さんが向いているよ。」や「将来、薬剤師になるといいよ」などと父や母から言われてきました。小学生くらいまでは、その言葉をさして深く受け止めていませんでしたが、中学生くらいになって、「私に何が向いているか、勝手に決めないで!」と心の中で反抗していました。おかげで、こんあ風になりましたが・・・(笑)


今回の「アートにエールを!」で、素晴らしい作画を担当してくれた野村おとさん。その力を最大限引き出してくれたのは、ご両親だと思います。そして、おとさん自身が、自分の力でやりきった感覚を持てるようなサポートをなさったご両親の力に、私は改めて大きな学びを得ることができました。事実、おとさん自身の力でやりきったのですが。


そして、見えないサポートをしてくれた人は、もう一人います。手前味噌で恐縮ですが、それは、弊社のサウンドエンジニアです。朗読の収録はもちろんですが、編集途中で映像を見てもらいながら、BGMの良し悪しやタイミングなどのアドバイスを受けました。
私が心の中で「このBGMは、あまり良くないな〜。でも、選択肢も少ないし・・・」と思い、そのBGMを使っていると、やはりその点を指摘されました。そして、「もし、このBGMをつけるなら、無い方が良い。」という厳しいアドバイスもありました。他にも、最初の幕が開くところも、私はBGMのタイミングをあまり気にせず編集をしていると、「音をワンフレーズくらい聞かせてから幕が開き始めた方がいい」など、音響のプロとしての視点で、色々なアドバイスがありました。正直、耳が痛いアドバイスもありましたが、いいものをつくるためには、そのアドバイスをどう取り入れるかというのは欠かせないことですね。


今回は、テレビ制作のように多くの人を巻き込んで作ったものではなく、少人数で作り上げましたが、「ものをつくる」というのは、共同作業なんだということを、改めて強く感じました。何より、一人一人が「良いものをつくろう」と、前向きに取り組んでくれたことが、素晴らしい完成に導いてくれました。
表向きには出ていない人たちの大きな力、見えないサポートがあってこそ生まれた今回の作品。関わってくれた全ての人に、心から感謝するばかりです。

ぜひ、みなさんに見ていただけると嬉しい限りです。


追記
絵が完成し、郵送で送られてきた絵と同封されていた、野村おとさんからもらった小さな手紙にこう記されていました。
「いろんな人が見て、笑顔になってくれたうれしいなー😄」

この「ねずみとおもちと殿さまと」は、きっとみなさんが笑顔になっていただける作品です。お子さん向けではありますが、私はできれば、大人のみなさんに見ていただけたらと思っています。

https://cheerforart.jp/detail/5723

【一人で思考整理をする方法】セルフディスカッション

セルフディスカッションは、私が勝手にそうつけている言葉です。本当は、誰かに話を聞いてもらいながら思考を整理し深めることが望ましいのですが、それができない時や、逆に、まずは自分だけで考えたいと思うときに役立つ方法です。

私は、自分のメンタルケアのために、20年ほど前からアメリカのストレスケアプログラムを学び始め、今でも心理学や脳科学を学び続けています。
日本では、いまもまだカウンセリングを気軽に受けるという社会ではありませんが、カウンセリングやコーチングも、基本的には「聞く」ということが主軸です。そして、相談に訪れた人の心の中にある答えを、その人自身が導き出す手助けをするものです。そして、今回のセルフディスカッションは、それを1人で行える簡単な方法です。もちろん、最も良いのは、誰かに話を聞いてもらうということですが、新型コロナウイルスによって、人と会うことがはばかれるいま、1人で行える方法ですのでご参考ください。

ちなみに、私がこのセルフディスカッションを行うのは、例えば、嫌なことがあったとき、仕事のアイディアを形にしたいとき、不安があるときなど様々です。


やり方はいたって簡単です。

1.ペンとノートを用意する
●ペンは、自分が書いていて心地が良いものをおすすめします。
高級なペンの方がモチベーションが上がるという方は、そういうペンをお使いください。私は、100円程度の黒のボールペンです。スラスラ書けて書いているの楽しいので、そのペンを使っています。

●ノートは罫線のないものがおすすめです。
ノートに罫線がない方が、自由度が増すと感じています。単に文字を書くだけでなく、絵や図など、自分が思うところに、思うままに書けると感じるノートをお使いください。


2.心の中に残っていることを書く
●書く内容は、どんなことでも構いません。
その時の、自分の心の中に残っていることを書きます。

●最初の1行を書いたら、その文章の中にある言葉を手がかりに深掘りします。
例えば、つい先日、私はこんなことを最初に書きました。
「新しいサービスを始めるときにマイナスやリスクが気になって、ついついそこに目を向けてしまう。以前までは、もっと勢いがあったように思うのに。」
この文章の後に、「なぜ、リスクを回避したいのか?」と書きました。
そして次に「リスクとはどういうこと?」→「私の思っているリスクは、より良いサービスを提供するために足りないと思うこと。」→「より良いサービスとは?」→「より良いサービスは、相手が喜んでくれること。わかりやすさ、成果、評価など」→「現時点で、それはできていないのか?」→「充分に相手は喜んでくれているし、成果も出ていて、評価ももらっている」→「ではなぜ、リスクを回避したいのか?」→「新しいサービスであるということの不安」→「不安とは?」→「人が集まらなかったらどうしよう?とか、準備が大変だと感じてしまうとか」→「それらが解決すれば不安はなくなるのか?」→「・・・・・・そうじゃない、自分ができるかどうかが不安」→「自分ができるかどうかは、どうすれば克服できる?」→「今までどうやって克服してきただろうか?・・・思い返すと、やりながら修正してきた。」→「やりながら修正は可能なのか?」といった具合に、書き出していきます。


3.深堀りする際の主なポイント
①「なぜ?」という問いかけをすること。
②「抽象的な言葉」について具体的な答えを考えること。
③これまでの「自分の成功体験」や「強み」を思い返してみること。



こうすることで、何だかわらかない不安が明確になって、自分の中で答えを見つけることができるようになります。



新型コロナウイルスの感染拡大で人に会う機会がめっきり減り、ちょっとした雑談や悩みを話すこともできずに、自分の中に溜めてしまっている人は少なく無いと思います。最初のうちは、大して気にらずに生活していても、時が経つにつれて、多くの人が「誰かと話したい」「日々のちょっとしたことを友達と仲間と話したい」「子育てや家事の不満を言い合いたい」「仕事の愚痴や不満を聞いてほしい」などと思っているのではないでしょうか。

「話す」は「放す」とも言われます。
心の中に溜まっていることを「話して手放す」ことで、心に余裕が生まれます。
だから、一番良いのは、誰かに連絡を取って話をすることです。
けれど、それが叶わない時は、セルフディスカッションを試してみてください。最初はほんの5分程度、思うままに書いてみるだけでも良いですよ。そして可能な限り、毎日、続けてみることをおすすめします。


私は毎日、夜寝る前に、10分程度書いています。
その日に行う予定にしていたタスクをチェックして、次の日のタスクを書いて、それからその日のセルフディスカッションを行っています。それだけで、ずいぶんと頭がスッキリして安心して眠りにつくことができます。

セルフディスカッション。自分の中にある答えに出会えると思いますよ。



企業研修や音声波形診断を用いたエグゼクティブ向け話し方トレーニングなどを行っています。
お問い合わせは、弊社ホームページのお問い合わせからお気軽にどうぞ。



https://united-waves.jp



共感を言葉にすると信頼関係が深まる

前回の「話し上手な人は 話し始めの○○で人の心を掴んでいる」というテーマでユーモアの話をしました。

私は笑いのセンスに自信が無いので、笑いを取ろうとして話すことはありません。たまたま話したことで会場に笑いが起きることがありますが、それは本当に偶然です。

そんな私が話し始めに意識しているのが「共感」です。

なぜ「共感」を意識するかというと、人は、自分の話をきちんと聞いて理解してくれる人に対しては、話を聞こうという心理が働きます。それが信頼関係につながるからです。

「共感」はカウンセリングの際に、傾聴のスキルで学びます。また、FBIの交渉術の中にも取り入れられているほどです。何より、普段のコミュニケーションでも生かせるポイントなので、ぜひお試しください。

(332文字)

*このブログは、1分で話せる文字数300〜350文字を目安に綴っています。

今回の話の詳しい内容は、YouTubeで配信していますので、ぜひご覧ください。

スピーチやプレゼンテーションのトレーニングを行っています。
経営者や講師の方など人前で話す機会が多い方にはおすすめです。

放送・イベント・企業研修などのご相談は、
ユナイテッドウェーブス合同会社までお気軽にどうぞ。

https://united-waves.jp

「できている」という罠

企業研修で、面談トレーニングを行いますが、そのときに注意が必要だなと感じるのは、「自分はちゃんとできている」と思っている人です。

そういう人の様子を見ていると、自分の聞きたいことだけを聞いていたり、自分の思惑通りに面談を進めていたり、うわべだけの話で進めていたりします。話が弾んでいるように見えるため、本人は「自分はできている」と思ってしまうようです。さらに、普段から自信がある人だと、その傾向はより強くなります。

自信があることは悪いことではありませんが、それによって面談の本質が見落とされていることも多いようです。

私たちの脳は不安がある方が、その解決策を見つけようと努力します。

これは面談だけに限りません。できていると思っていることほど、自分自身を客観的に見直すことが必要です。

(336文字)

*このブログでは、1分間で話せる300〜350文字を目安に、様々な話題を綴っています。

企業研修は、御社のご要望に合わせたカスタマイズ研修です。
階層に合わせて必要な研修をご提案させていただいていますので、お気軽にご相談くさい。
・面談研修
・部下のマネジメント研修
・モチベーションアップ研修
・新入社員研修 ほか

放送・イベント・企業研修などのご相談は、
ユナイテッドウェーブス合同会社までお気軽にどうぞ。

https://united-waves.jp

内省を促す一言で人生が変わることもある

私は35歳の時に、東京へ仕事の拠点を移しました。それまで一度も福岡の実家を出た事の無い私にとって、大きな決断でした。

東京に伝手があったわけでも無く、しかも、その時働いていた職場は、一生働け、人間関係も良い場でした。それでも、東京に行きたいという気持ちが強くなり悩んでいた時、ある人からこんな一言をもらいました。

「60歳までそこで働くとして、残り25年どう過ごしているか想像してみたら?」と。

その一言は、私の内省を深めてくれました。

福岡にいれば、一生安心。けれど、私は、想像できる未来に窮屈さを感じていたんです。そして思い出したのは「人が敷いてくれるレールの上を歩けない性格だった」ということ。

アドバイスでは無く内省を促してくれる言葉。

おかげで今の私がいます。

(329文字)

*このブログでは、1分間で話せる300〜350文字を目安に、様々な話題を綴っています。

企業研修は、御社のご要望に合わせたカスタマイズ研修です。
階層に合わせて必要な研修をご提案させていただいていますので、お気軽にご相談くさい。
・面談研修
・部下のマネジメント研修
・モチベーションアップ研修
・新入社員研修 ほか

放送・イベント・企業研修などのご相談は、
ユナイテッドウェーブス合同会社までお気軽にどうぞ。

https://united-waves.jp

悩みの9割は、話を聞いてもらうだけで解決する

「悩みの9割は、話を聞いてもらうだけで解決する」
私は自らの経験とカウセリングを学ぶ中で実感しています。

相談する時、自分の中で答えを持っている人がほとんどではないでしょうか?もしくは、その時は自分で気づいていなくても、話を聞いてもらえるうちに答えが出てくることもあります。

現代カウンセリングの礎を築いたのは、アメリカの心理学者ロジャーズです。その理論は「自己成長論」で、傾聴をベースにしています。

「相談者は、自分でどの問題が重要か、どこに向かえばいいのかを知っている。傾聴ができれば、相談者は自分自身を見つめて、気づき、成長できる。」

そのサポートをするのがカウンセラーというわけです。

これは組織においても重要なことです。アドバイスや解決法を伝える前に、まずはじっくり話を聞くことから始めてみませんか?

(349文字)

*このブログでは、1分間で話せる300〜350文字を目安に、様々な話題を綴っています。

企業研修は、御社のご要望に合わせたカスタマイズ研修です。
階層に合わせて必要な研修をご提案させていただいていますので、お気軽にご相談くさい。
・面談研修
・部下のマネジメント研修
・モチベーションアップ研修
・新入社員研修 ほか

放送・イベント・企業研修などのご相談は、
ユナイテッドウェーブス合同会社までお気軽にどうぞ。

https://united-waves.jp

伝える指導を「聞く指導」へ

*このブログでは、1分間で話せる300〜350文字を目安に、様々な話題を綴っています。

企業研修を10年ほど行なっていますが、ここ数年は上司が部下とどう向き合うかを課題としている企業が多いです。

上司の関わり方で部下は変化しますが、最近では「叱ればパワハラと言われるから・・・」と、教えることを敬遠する人もいます。これでは、部下の成長を促すことは難しくなります。

では、どうすれば良いのでしょう?

私は、「聞く指導」をおすすめしています。

聞く→気づく→選ぶ→行動→聞く(振り返り)→気づく→選ぶ・・・このサイクルです。

上司の経験を伝える指導から、どうすれば改善できるのかを部下自身が答えを見つけられるように、丁寧に聞き、共に考える指導が今の時代には求められています。

「自分たちの時は・・・」と思うこともあるでしょうが、時代は変化しています。相手が変われば、自分の接し方も変える必要があるのです。

(「企業研修を」〜350文字)

企業研修は、御社のご要望に合わせたカスタマイズ研修です。
階層に合わせて必要な研修をご提案させていただいていますので、お気軽にご相談くさい。
・面談研修
・部下のマネジメント研修
・モチベーションアップ研修
・新入社員研修 ほか

放送・イベント・企業研修などのご相談は、
ユナイテッドウェーブス合同会社までお気軽にどうぞ。

https://united-waves.jp

細かな動作は要注意!

 

ブログをご覧くださりありがとうございます。

フリーアナウンサー

キャリアコンサルタント の三島澄恵です。

組織を強くする質の高いコミュニケーションをテーマに

様々な視点からお伝えしています。

 

 

昨日のブログにも書きましたが、

スピーチトレーニングでは必ず録画を行います。

 

話している内容や口調なども観察しますが、

それ以外にも、体や手足の動きなどもチェックします。

特に体の揺れ、手や指が細かに動く人が結構いらっしゃいます。

 

こういう落ち着きのない動きは、説得力を失わせる原因の一つです。

 

ボディランゲージを使ったり、

動き回ったりすることは説得力を深めるために欠かせないのですが、

それを小さな動きでせわしなくしてしまうと逆効果になります。

 

極端な話をすると、

貧乏ゆすりをしている人がそばにいると落ち着きませんよね?

貧乏ゆすりとまでは言いませんが、

細かな動きというのはそのような印象を与えてしまいます。

しかも、その動作を本人が気づいていないことが多いのですが、

録画をすることで、そのことに気づくことができます。

 

では、どんな動きならいいのでしょうか?

それは、大きく、ゆっくり動く(動かす)ということです。

また、話している間は動き、

間をとっている時は止めるということを意識することもおすすめします。

ただし、長い間(聞き手に問いかけるような場合)の時、

心の中で「あなたはどう思いますか?」という声かけをしているときは

目線を送ったり、歩いたりなどの動きが必要になります。

 

 

これは何も、話している時だけではありません。

人の話を聞いている時も気をつける必要があります。

 

あなたが話している時に、

聞き手が指をトントン鳴らしたり、

手に持っているペンを回したり、

頷きが多かったり、

細かに体を揺らしていたりしたらどうでしょうか?

話しやすいですか?

相手を信頼して話ができるでしょうか?

 

あなた自身が話し手の時でも、聞き手の時でも、

相手にどのような接し方をしているかというのは、

信頼関係づくりに欠かせない要素です。

 

しかし、口調と同じように、動作も自分では気づきにくいものです。

 

私は、できるだけ自分の仕事姿を撮影したり、

録音してチェックするようにしています。

自分の姿を見るというのは、恥ずかしくてたまりません。

それでも、自分で見て向き合って改善点に気づくことが、

何よりのトレーニングだと感じています。

 

さてあなたは、話している時にどんな動きをしていますか?

一度、チェックしてみてはどうでしょう。

 

 

最後まで読んでくださりありがとうございます。

コミュニケーションについての質問などありましたら

お気軽にコメントください。

 

 

三島澄恵プロフィールはこちらをご覧ください。

http://united-waves.jp/about.html