こんにちは。
フリーアナウンサーの三島澄恵です。
昨日のブログで、高校生の頃に指導をしてくれていた亡き恩師の添削音源について書きました。その中に、耳の痛いアドバイスがあったことをお伝えしていましたが、今日はそのお話です。
そのアドバイスを今の歳になって改めて聞き、私は苦笑いをするしかありませんでした。天国の恩師に、「先生、その通りです。まだまだ頑固さが残っていますが、それでも少しは丸くなりましたよ。」と空を仰いで言ってしまいました。
当時、高校3年生だった私は、恩師の言葉をどう受け止めたのかあまり覚えていませんが。。。
では、なんと言われたのか、話し方をさらに磨きたい方や、これからさらに表現を磨いて行きたい方には参考になる点もあるかもしれません。
「何かこう、必要以上に頑固さがある。その頑固さがやっぱり足を引っ張るんじゃないかなという気がします。そこをですね、アナウンスだけを変えようとするんではなくて、自分のそういうところを変えないことには、なかなか変わらないということにもなるんじゃないかなと思います。ちょっときついですけど。なかなか性格は変わりませんけど、でも、自分が変えようと思わないと変えられません。その辺りを、もう一回、根底を見てください。」
話し方はその人そのもの。
話し方、ここでは特に音声表現というのは、その人の性格やその時の感情などが表現のかけらとなって作られて行きます。表現を磨いていこうとするときには、自分と向き合うことが欠かせないのです。
今となってはそのことをひしひしと感じ、恩師に言われた言葉も素直に受け止められます。どんなに隠そうとしても滲み出てくるのが私です。頑固な一面を持っていた私ですが、その頑固さが表現の固さや聞き手に押し付けているような印象を与えるアナウンスになっていたのだと思います。
しかし残念なことに、その当時、自分が頑固だなんて思ってもいなかったと思います。「『頑固な自分?』そんなことは無い。私は素直に先生の言われたことを受け入れているし、普段から人の話を聞いて受け入れいてるもの。」と思っていたかもしれません。
そして、もう一つこんなアドバイスもご紹介します。
「ある程度のところまででくると、それより上のところを考えていきます。そうしたときに、表現の緻密さというか、きめ細やかなところまで、ちゃんと理解して、それをなおかつ音声表現としてできているかというところを、どうしても見てしまうわけです。」
「表現の緻密さ、きめ細やかなところまでちゃんと理解しているか。」
音声表現をするときに、これはとても重要です。
言葉を言葉として追うのではなく、言葉の周りにあるたくさんの意味や理由や想いなどを理解して音声として表現すること。ここに向き合って表現するかしないかで、伝わり方は変わってきます。
高校3年生、18歳の頃に、音声表現をすることを通して、自分のあり方や物事への取り組み方の姿勢までを恩師は教えてくれていました。そしてこれらは全て、私の考え方の基礎を築いてくれています。私の原点です。
もしみなさんが、自分の考えや想いが伝わってほしいと思うのであれば、自分と向き合い、言葉と向き合ってみてください。そうすることで、言葉は本当の意味で生きてきます。言葉に命が吹き込まれますよ。
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