答えること、質問すること

「会話が成立していない」
昨日の緊急事態宣言の記者会見、菅首相と記者の方々の質問のやりとりを悶々としながら聞いていました。

例えば、フリーの記者の江川紹子さんの質問です。
文章は、首相官邸のホームページに全文が掲載されているので、そちらから引用しています。
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/statement/2021/0730kaiken.html

江川紹子記者
「フリーランスの江川紹子です。よろしくお願いします。
 ワクチンについてはですね、菅首相、常に具体的な目標を明確にしてですね、進めてこられていると思います。ただ、当面はワクチンが行き渡るまでは人の接触や移動の機会を減らしていくしかないわけで、先ほど更に人流を減らすようにということもおっしゃいましたが、それに関しては具体的な目標と、それから、それを実現するための方法というものが示されていません。具体的には、どれぐらいの人を減らす、あるいは人と人との接触の機会を減らすということが目標としてあるのか、そして、そのためには具体的に何をしていくのかということです。先ほどテレビ観戦を勧められましたけれども、それだけでその目標が到達できるのかということをお伺いしたいと思います。
 尾身先生にも同じことをお聞きしたいと思います。お願いします。」

菅首相
「これ、東京大会の開催が決定してから、東京都内における、これは東京都内が圧倒的にオリンピックの会場もありますから、そういう中で東京に集中する人流を防ぐための対策というのは当時から考えて行ってきています。それが車の乗り入れ3割減だとか、あるいはテレワークによってたしか6割ぐらいだったと思いますけれども減をするとか、それは東京都と連携して、そうしたことを対応してきているということも、これは事実であります。
 そして、無観客でなく一定数観客を入れてのときでも30万は首都圏の人流を少なくする、そうした対策を練っていましたので、そうしたものに基づいて今、行っているということであります。」

江川紹子記者
「具体的な目標は、今の目標は。」

菅首相
「ですから、大会に集中する人のそれよりも少なくするということです。ですから、そこはできていると思っています。」

いかがでしょう?
このやりとりをどのように思われますか?

江川さんは、今後の感染者数の具体的な数値目標と、それを実現するための具体的な対策について聞いているのですが、菅首相の答えは、オリンピックの話、東京都(関東圏)の話での答えになっています。しかも、江川さんが質問している「今後の具体的数値目標と具体的対策」については語られていません。
もしかしたら、江川さんの質問の最後の「先ほど、テレビ観戦を勧められましたけれども、それだけでその目標が到達できるのかということをお伺いしたい。」この言葉に引っ張られ、それを元に答えられたのかもしれません。百歩譲ってそうだったとしても、「今後」というところの答えにはなっていません。

答えるのが難しい時などに、あえて質問に答えているようにして話をはぐらかすということは、政治家の方だけでなく、日常の会話でも見られます。今回も、そういうことなのか、それとも、そもそも質問の意図が伝わらなかったのか、それはわかりませんが、国のトップの発言というのは、国の先行きを決める重いものだと考えると、悲しさを通り越し、言葉も出ないあきらめに近い気持ちになりました。

と同時に、いつも記者の方の質問を聞きながら思うこともあります。
それは「質問が長い」ということです。

質問に至るまでに経緯を話す人もいれば、国民の不安(だと思っていること)を代弁する人、自ら(もしくは自身が所属する会社)の意見を話す人など様々な人がいます。それを聞きながら、私は質問の意図が薄れているような気がする時もあります。
もっと短く、ストレートに聞けないものだろうか?その方が、より伝わるのではないかと思うことが多々あります。

私がNHK時代にインタビューをするときに、アナウンスの統括部長に教わったのは「質問を短くする」ということでした。これは、簡単なようでなかなか難しいことなのです。
なぜ、難しいかというと、それは多分、相手の言葉に対して「何か(例えば、気の利くようなこと)を言わなければいけない」という思いや、「自分の意見や感情を言いたくなる」また、質問の内容によっては「質問を柔らかく聞こうとしてエクスキューズが多くなる」「視聴者や観客がわかりやすいように」というような意識が強くなるからではないかと推察しています。


話すこともとても大切なことですが、的確に質問をする(相手の話を聞く)というのもまた難しく、大切なことだと思います。
こうやって色々と思うことを思うままに綴っていますが、「自分ができるか?」と自問自答すると「できる!」と、答えられないのも確かです。それほど、難しいことだと思うからです。ただだからこそ、日々、できていない自分と向き合いながら、少しでもできるように意識してトレーニングしようと思います。

なぜ、今の仕事をしているのだろう?

 

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フリーアナウンサー

キャリアコンサルタント の三島澄恵です。

組織を強くする質の高いコミュニケーションをテーマに

様々な視点からお伝えしています。

 

今日は、最近の私の気づきをひとつ。

私はなぜ今の仕事をしているのだろう?

そして、仕事をするというのはどういうことだったか、

それを思い出すことができた出来事を綴ります。

 

私は、話すことをベースにした仕事を続けています。

途中、迷い道もありましたが起業するにまで至りました。

 

実は、話すことを本格的に学び始めたのは高校1年生からなので、

かれこれもう30年が経とうとしています。

しかも、小学校・中学校時代も放送委員会ということを考えれば、

私がどれだけ、話し伝えることが好きだったのか自分でも驚きです。

 

さて、そんな私も、このところ仕事に対して少々気重に感じていました。

絶対に失敗は許されない。

クライアントの期待に応えなければ。

独立してからのここ10年はそういう想いばかりが強くなり、

最近は、仕事が負担に感じるようになっていました。

 

誤解の無いように言いますが、私は今の仕事は好きです。

本番が終わった時の達成感や

何より、お客様の笑顔やクライアントの笑顔、

共に関わったスタッフの充実感からの笑顔、

私自身の笑顔に出会える素晴らしい仕事だと感じています。

 

けれど、そこに向かうまでの労力や失敗への不安感が募るため、

事前準備をするときに、

とてもエネルギーを使ってぐったりしてしまうことが続いていました。

結果、好きな仕事が好きと思えなくなっていました。

 

これは昨日、私のメンターである先生のセミナーを受け気づいたことです。

そしてそこで、

私はなぜ、今の仕事をしているのかを思い出すことができ、

自分の仕事への向き合い方をクリアにイメージできたことで、

清々しい気持ちで、いま、このブログを書いています。

 

このブログを書いている場所は、あるドーナツ店。

ここの店員さんの仕事姿を見て、私の気づきはより深まりました。

 

お店に入り、コーヒーとチーズトーストを注文しました。

 

コーヒーはおかわり自由。

しばらくすると、店員さんがテーブルを回り声をかけてくださいました。

私のテーブルに、まだ手をつけていないチーズトーストを見て、

店員さんは

「もう一度、温めましょうか?」とさりげない一言を添えてくださいました。

 

私は「じゃ、後でお願いしても良いですか?

お気遣いありがとうございます。」と伝えると、

 

店員さんは「もちろんです。

せっかくですから温かく美味しく召し上がってほしいので。」と、

とても素敵な笑顔で返してくださいました。

 

その笑顔と心配りは、仕事だからそうしているというより、

その店員さんからの自然な姿のように見えました。

仕事だから、接客の決まりだからというより、

その店員さんが楽しく取り組んでいるように見えました。

 

 

昨日、私が思い出した仕事への私の想い。

それを、今店員さんの姿でさらに深く刻むことができました。

 

 

なぜ、今の仕事をしているのか?

それは、関わる人が笑顔になる姿を見て、

私自身が幸せを感じることができるからです。

 

関わる人が笑顔になるためには、まず自分が笑顔でいること、

仕事を楽しいと感じられていることが大切なんだと、

そんなことに気づけた出来事でした。

 

明日はその気づきを、担当する仕事で形にできると予感している日。

良い日になりそうです。

 

 

 

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伝わらないと感じたら・・・

 

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当たり前のように使われているビジネス用語や専門用語、

その会社独自の言い回しがあります。

キャリアが長くなると、なんの疑問も無く使う人が多いようで、

研修先企業では、

「上司が部下に説明するときに専門用語を使っている人がいるので、

その辺りも改善していけるように研修に取り入れて欲しい」

そんなご要望もあります。

 

難しい言葉や専門用語を誰にでもわかるように話すというのは、

実はとても難しいことなんです。

そして、分かったつもりで話していると、

いざ、相手にわかるように話そうとしても言葉に詰まるようなことが生じます。

 

甥っ子が5歳の頃、わからない言葉が出るたびに

「◯◯って何?」と聞かれていました。

見たことの無いもの、初めて聞く言葉、

とにかく意味がわからない言葉が出るたびに質問・質問・また質問です。

その度に、「どうやったらわかるかな?」と様々な表現を考えました。

特に小さな子どもに伝えるには、こちらの語彙力が問われます。

本当に大変でしが、とてもいい勉強をさせてもらったと感じています。

 

放送局では、小学校5年生がわかるように話すことを教わります。

カタカナ語はできるだけ避けること、

耳で聞いてわかりやすい言葉で話すこと、

誰にでもわかりやすい言葉で話すことなど、

私が放送の仕事を始めた頃に教わったことです。

そして今も言葉選びは、日々、意識して過ごしています。

 

もちろん、専門分野の人が集まっている場で誰もがわかる言葉を使う必要はありません。

大切なのは、相手がどういう人かを理解した上で言葉を選ぶということです。

 

会社内には、様々な人がいます。

新入社員、

中途採用、

外国人、

アルバイトやパートの人など、

キャリアも違えば、それまでに過ごした環境も違い、教育も違います。

 

「同じ職場にいるんだから、このくらいの言葉知っていて当たり前。」

「勉強が足りないんじゃないか。」そう思う人もいるでしょう。

 

けれど、みなさん自身も誰かに教わったり、

時には、言葉を知らないことを知らないと

言いづらかった経験があるのではないでしょうか?

そういう自分の経験を思い出してみると、

どう伝えたらいいかのヒントが見つかります。

 

伝わらないと感じたとき。

相手の立場に立って、

一度、自分が使っている言葉を見直してみるというのも一つの方法です。

お試しください。

 

 

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ほんのちょっとの心遣い

 

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先日、ある雑貨店で買い物をしたときのことです。

領収書をお願いしました。

いつも通り、宛名を書いて、印を押して渡してもらったのですが、

担当してくれた店員さんが、

印鑑を押した後に、一度、紙で抑えたのですが

「まだ乾いていないので付箋を貼っておきますね。」と

その印鑑の部分が隠れるように小さな付箋を貼って

領収書を渡してくれました。

 

ちょっとしたことですが、こういう気遣いはうれしいものです。

 

この「ちょっとした」ことというのは、

行動だけでなく声をかける様々な場面で心がけるだけでも、

コミュニケーションを深められます。

 

例えば、みなさんが誰かに仕事をお願いされるとき、

いつも当たり前のように仕事を頼まれると

なんだか腹立たしい気持ちになりませんか?

 

もし、

「忙しいところ申し訳ないのですが」

「いつもありがとうございます。」

「いま、大丈夫ですか?」など、

ほんのちょっとの感謝や気遣いの言葉を挟まれているだけで

受け取り方は随分と違ってこないでしょうか?

 

ほんのちょっとのことですが、

このほんのちょっとのことが、

コミュニケーションには欠かせません。

 

ただこの気遣いの言葉。

形式的に言えば良いというものではありません。

ここに、ちゃんと伝え手の心が入っていることが何より大切です。

 

私たちの心の中は、相手には見えません。

どんなに感謝していても、

どんなに気遣っていても、

言葉や行動などの何かしらの形にしなければ

相手には伝わらないのです。

 

組織のチームワークを高めて行くためにも

想いを形にして伝えてみてはどうでしょう?

 

 

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細かな動作は要注意!

 

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昨日のブログにも書きましたが、

スピーチトレーニングでは必ず録画を行います。

 

話している内容や口調なども観察しますが、

それ以外にも、体や手足の動きなどもチェックします。

特に体の揺れ、手や指が細かに動く人が結構いらっしゃいます。

 

こういう落ち着きのない動きは、説得力を失わせる原因の一つです。

 

ボディランゲージを使ったり、

動き回ったりすることは説得力を深めるために欠かせないのですが、

それを小さな動きでせわしなくしてしまうと逆効果になります。

 

極端な話をすると、

貧乏ゆすりをしている人がそばにいると落ち着きませんよね?

貧乏ゆすりとまでは言いませんが、

細かな動きというのはそのような印象を与えてしまいます。

しかも、その動作を本人が気づいていないことが多いのですが、

録画をすることで、そのことに気づくことができます。

 

では、どんな動きならいいのでしょうか?

それは、大きく、ゆっくり動く(動かす)ということです。

また、話している間は動き、

間をとっている時は止めるということを意識することもおすすめします。

ただし、長い間(聞き手に問いかけるような場合)の時、

心の中で「あなたはどう思いますか?」という声かけをしているときは

目線を送ったり、歩いたりなどの動きが必要になります。

 

 

これは何も、話している時だけではありません。

人の話を聞いている時も気をつける必要があります。

 

あなたが話している時に、

聞き手が指をトントン鳴らしたり、

手に持っているペンを回したり、

頷きが多かったり、

細かに体を揺らしていたりしたらどうでしょうか?

話しやすいですか?

相手を信頼して話ができるでしょうか?

 

あなた自身が話し手の時でも、聞き手の時でも、

相手にどのような接し方をしているかというのは、

信頼関係づくりに欠かせない要素です。

 

しかし、口調と同じように、動作も自分では気づきにくいものです。

 

私は、できるだけ自分の仕事姿を撮影したり、

録音してチェックするようにしています。

自分の姿を見るというのは、恥ずかしくてたまりません。

それでも、自分で見て向き合って改善点に気づくことが、

何よりのトレーニングだと感じています。

 

さてあなたは、話している時にどんな動きをしていますか?

一度、チェックしてみてはどうでしょう。

 

 

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リーダーの感情は伝染する!?

 

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研修では、役員や管理職、店長のみなさんなどの

トップリーダーやリーダー研修も多くご依頼をいただいています。

その中で、リーダーの感情が周りに伝染するというお話をしています。

 

感情が伝染するということ。

みなさんも経験があるのではないでしょう?

 

何かのグループやチームの中で、

リーダー的存在の人の機嫌が悪い時、

周りにいるあなたもなんだか不機嫌な気持ちになったり、

なんとなく、心地悪いそんな気持ちになったりしたことはありませんか?

 

アメリカで感情の伝わり方を測定する実験が行われました。

数百人の参加者を集め前向きなリーダーの講演を見た場合と、

前向きな感情のスコアが低いリーダーの講演を見た場合で

どのような気分の変化が生まれたかを調べたものです。

 

結果は、前向きなリーダーの講演を見た人の方が

前向きな感情スコアが低いリーダの講演を見た人よりも

前向きな気分になりました。

(ここでいう前向きな感情というのは、情熱、熱意、興奮、楽観性など)

 

これは心理学の実験ですが、

もう一つ私たちの脳に備わっている神経細胞も影響していると言われています。

その神経細胞は、ミラーニューロンと言われるものです。

 

私たちは、相手の表情などを真似することで

相手の心を知ろうとするミラーニューロンという脳の神経細胞を持っています。

相手が悲しい顔をしていれば悲しい顔に、

喜んでいてれば喜んだ顔に、

怒っているときは怒っている顔に、

相手の表情を真似してしまいます。

これは私たちが意識する前に起こっていることです。

 

このミラーニューロンの働きを考えると、

影響力の強い人の表情や行動を

周囲の人は気づかないうちに真似をして

同じ感情を味わっている可能性が高いのです。

 

私自身、司会や講師を務める時に前向きな感情を心がけています。

時々あるのは、私に観客や受講者の緊張感が伝染してしまうのか、

なんとなく自分に元気が無いなと感じることです。

そういう日は、終わった後に、いまひとつ手応えが感じられないというか、

滞りなく終わってはいるものの、熱量の違いを感じることがあるのです。

 

それゆえ、司会や講師を務める時は、

いつも以上に、自分の前向きな感情を表現し、保つようにしています。

私が発するもので、目の前にいる人たちに影響を与えることを実感しているかです。

 

 

もしあなたが、会社や部署のリーダーであるなら、

あなたの感情は周囲へどのような影響を与えているでしょうか?

コミュニケーション豊かなより良い会社づくり、チームづくりを目指すには、

リーダーであるあなた自身がどのようにいるかが鍵なのかもしれませんよ。

 

 

 

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売ろう売ろうとすると・・・

 

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ここのところ「聞く」をテーマにブログを書いていますが、

部下と上司の関係などの社内に限らず、

接客においてのコミュニケーションでも「聞く」ことが鍵を握っています。

 

 

以前、こんなことがありました。

ケーキを買って帰ろうとショーケースを見ていた時、

店員さんが声をかけてきました。

そして、いきなり話し始めたのは

「いまのおすすめは、旬のフルーツを使ったこちらのケーキです。

他にも、こちらがおすすめのケーキです。

こちらは、・・・・」と、おすすめのケーキについて。

 

最初は、話を聞いていたのですが、

私が買いたいなと思っていたのは別のケーキだったので、

しばらく続く店員さんのおすすめトークに少々イライラ。

店員さんの話を途中で止めて、その場を去りました。

 

 

 

私のケーキの話。

こういう接客はまだまだ多くあります。

 

例えば、気になった商品を見ていたら

「そちらの商品は・・・」と即座に話しかけてこられたり、

店内を見ていると後をついてこられて、

商品の前に止まった瞬間に

「そちら、きっとお似合いになりますよ。」や「試着できますので。」など、

とにかく売ろう売ろうとする様子が窺えて、げんなりしてしまうことがあります。

 

それとは逆に、とても気になった商品があって店員さんに尋ねたい時に限って

全く気づかずに声をかけてこないこともあります。

 

 

さて、先にお話ししたケーキの場合ですが、

どうすれば良かったのでしょうか?

私はその時、買おうと考えていたケーキの方に視線を送っていました。

もしそれを観察できていたら例えばこんな聞き方だとどうでしょう。

 

 

「あちらのケーキをご覧になっていたように見えましたが・・・?」

 

「気になったケーキがおありですか?」

 

 

客からすれば興味のない商品をひたすら勧められるより、

何を買いたいと思っているかを先に聞かれた方が考えやすいものです。

まずは、客が買いたいと思っているケーキの話をきちんと聞いて、

かつ、そのケーキの説明を伝えること。

そして客が他のことも考えられる余裕ができたところで、

今の時期のお勧めケーキの情報をプラスしてみてはどうでしょう。

 

そもそも興味のない商品についていきなり説明をされても

買いたいと思うどころか、面倒くさいな〜と思ってしまい、

最悪の場合は、そのお店に行きたくないとさえ思われてしまいます。

 

興味を持った商品であっても、

あまりに押し付けがましかったり、見張られているようであれば、

なんだか居心地が悪く感じて購買意欲が薄れてしまいます。

 

 

消費者は様々な人がいるので、

接客する側の店員さんたちも、日々試行錯誤かと思います。

 

ゆっくりと商品を見て自分で考えたい客。

店員さんのアドバイスが欲しい客。

買う気も無く見ているだけの客。

買うと決めて来ている客。

などなど、それぞれに合った接客をするのは至難の技でしょう。

 

けれどそんな時こそ、

売ろう売ろうとして話すことを意識せず、

相手を観察して、話を聞くために声をかけることを意識してみてはどうでしょう?

 

これは何も接客に限ったことではありません。

相手が何を考え、何を求めているのかを聞くことで、

あなたの伝え方が変わるということです。

伝え方が変われば、相手の反応も違って来ます。

 

伝えたいことがあればあるほど、

相手の話をじっくりと聞いてみてください。

 

 

 

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相手の問題は相手のもの

 

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前回のブログでは、聞き役のはずなのに、

いつの間にか話し役になっているというお話を書かせていただきました。

その中で、聞き役の時は、自分の経験や解決策はタイミングを見て話す方が

効果があるとお伝えしました。

聞き役が自分のことを話すことで

相手との信頼関係を深めたり、

相手の考えをより深めらたりすることがあるのです。

 

例えば、相手と同じような経験や境遇を持っている場合、

それを伝えることで、相手はあなたが理解してくれるかもしれないと感じ、

より親密度や信頼関係が深まります。

 

例えば、相手が全く知らない情報や解決策があれば、

それをヒントや提案として伝えれば、

相手はそれを元に、新たな考え方をできるようになります。

 

ただ注意が必要なのは、

どんなに似ている経験や境遇があったとしても、

相手とあなたは違うということ。

相手が知らない知識や解決策を伝えたとしても、

決めるのは相手だということ。

何より、相手の問題は相手のものであること。

私たちは相手の人生を生きることはできないということ。

これをいつも心に留めておくことです。

 

そして話すタイミングは相手の話を聞いてからです。

しかも、相手が話したいことを話し終えるまで、

話の腰を折らずに、じっくりとゆっくりと聞いてからです。

 

その上で必要であれば、

あなたの経験や知識を話すことで相手の考えはより深まります。

しかし私が研修先の企業でよく見るのは、

打合せの際などに現場の人が話す以前や話している途中に

上司が全てを話そうとしている姿です。

 

部下は上司に気を遣い言いたいことが言えなかったり、

上司が先に結論を話すことで、

部下はそれ以上考えなかったり、

結果、自ら考え行動することを望んでいるはずの上司が、

自分自身でそれを阻んでいることに繋がっています。

 

私が働く人の相談に乗っている時に感じるのは、

こちらの経験や知識というのは、ほぼ必要ないことが多いです。

なぜなら、ちゃんと話を聞き、質問することで、

相手は自分の心の中で考え(内省し)答えを出すからです。

 

そして答えを出した後に行動へ移した時の部下との関わり方。

ここにもまたコツがあります。

 

今ではこのようなことをお伝えしている私も

30代半ばまでは、自分が全て正しいと思っている傲慢さがありました。

相手の話は聞いていましたが、

聞きながら自分の中で答えを出して、それを伝えていました。

しかもそれが全てであるかのように。

けれどそれでは、人は徐々に離れて行ってしまうんですよね。

 

上司から見れば、

部下は自分よりも経験が少なく知らないことが多いのではないか?

自分の方が経験が多いのだから正しい答えを教えなければなど

会社や部下のことを想い伝えることがほとんどでしょうが、

実はそれらが、部下がじっくりと考えるという過程を奪ってしまいます。

結果、部下の成長を阻むことにもなります。

 

相手が自分で考え、気づき、

そして、何をすべきかを自分で選び行動できるよう聞くこと。

そのために、本当に必要な時にだけ、

あなたの経験や知識をヒントや提案として伝えてみてください。

 

 

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聞き役なのに話し役になっている

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私は放送局やイベントの仕事を通じて

初めての人への取材やインタビューを始め、

本番の際のスタッフとのコミュニケーションを続けています。

 

フリーアナウンサーというと話すことが仕事と思われがちですが、

それ以上に「聞くこと」を心がけています。

特に私の場合は、

アナウンス業務だけでなく制作にも携わっていたので

聞くことはより重要性が高いと感じています。

 

何を話すかは、

相手の話を聞いた上でないと

的確な情報提供も

的確な質問もできないのですが、

私たちはつい、

自分の言いたいことや言わなければならないことを

何とか伝えようと必死になります。

 

しかも聞き役である時でさえ、

「次は何を聞こうか?」

「どんな返答を返そうか?」

さらには、

「自分も同じ経験があるから役立ててもらおう。」

「解決策はどうしよう?」など、

自分が話すことに意識が行っている場合が多いのです。

 

かくいう私も取材やインタビューでそういうことは多々あり、

心の中で勝手に焦っている自分に気づきます。

「聞こう聞こう」とするゆえに聞けない。

それは聞き役から話し役に回っている証拠なんですよね。

 

皆さんも私と似たような経験はないでしょうか?

 

研修では、聞くワークというのを行います。

そのワークを終えた後に、

「つい、自分のことを話そうとしている自分に気づきました。」と

話してくれる人がいます。

 

自分のことを話すことは、何も悪いことではありません。

それによって信頼関係を深めることもできるのですが・・・

このことについては、また次回お話します。

 

まずは、自分が聞きたいことや話したいことに意識が行って

人の話を聞いていないかどうかに気づくこと。

ここに気づくことができれば、

相手との信頼関係を深め、

相手の気づきを促す聞き役になれる第一歩を踏み出せます。

 

 

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人が育つ聞き方

ブログをご覧くださりありがとうございます。 フリーアナウンサーの三島澄恵です。 組織を強くする質の高いコミュニケーションをテーマに 様々な視点からお伝えしています。   7年ほど前から、 「聞き方」についての研修を行うことが多くなり、 「人が育つ聞き方」をベースにプログラムを提供しています。   聞くことがなぜ必要か?   経営者の方にお話を伺うと、 「自ら考えて行動する人材を育てたい」とおっしゃることが多いです。 しかし私が知る限りは 「自分で考える」ここをおろそかにしている企業が多いように思います。 自分で考えるには、 それを行うための時間と 的確な質問と寄り添って聞くことができる そんなリーダーが必要です。   トップリーダーである経営者の方を含め、 管理職や店長などの企業内のリーダーの人たちは、 「伝えることで相手を変えよう。」と考えている人が多いようです。 しかし残念ながら、伝えることだけでは人は成長できないものです。     私は20代半ばの頃からカウンセリングを受け始めました。 過度なダイエットや仕事のストレスで心が疲弊し、 普通に食事を摂ることが難しくなっていたからです。 最初は大学病院に行きましたが、なんとなくしっくりこず、 その後、民間のセラピストの先生に出会い十数年通いました。   セラピストの先生は、一切、私に指示することはありません。 私が感じている課題、 私がそれに対してどうして行きたいのか? それらをじっくりと聞いてくれます。   不思議なもので、セラピストの先生に質問され、 自分の内側で考え、言葉にして行くと、 自分の中でもやもやしていたものが整理され、 さらには、前向きな気持ちがコンコンと湧き上がってくるのです。 わずか1時間半程のセラピーでしたが、 私は少しずつ変わって行きました。   人に話を聞いてもらう。 単に聞いてもらうのではなく、 自分の中で考える時間をもらい、 答えを出せるように導いてもらいながら聞いてもらうことで、 人は大きく変化をして行きます。   しかし残念なことに私たちの多くは、 そのような聞き方をしてもらうことが少ないものです、   まずは、誰かに自分の話を聞いてもらい、 本当の意味で聞くということが、 どういうことかを体感することをおすすめします。 それだけでも、今までの聞き方が変わると思いますよ。   最後まで読んでくださりありがとうございます。 コミュニケーションについての質問などありましたら お気軽にコメントください。     三島澄恵プロフィールはこちらをご覧ください。 http://united-waves.jp/about.html