アクセントにはやっぱり悪戦苦闘

こんにちは。

フリーアナウンサーの三島澄恵です。

先日、久々にアクセントに悪戦苦闘したナレーションの収録がありました。

普段は、映像を見ながら、その映像に合わせた表現でナレーションを収録します。専門用語は少なく、自然な感じの言葉でのコメントの場合がほとんどです。

けれど今回は、専門用語や単語と単語が組み合わさりひとつの単語になっていたり、アクセント辞典に載っていない言葉もちらほら。巻末の解説・資料編で確認しながら、アクセントを調べて準備しましたが、それでも収録中に、依頼者の希望に添って変更の連続。
なかなか難しいと感じた収録でした。

ところでみなさんは、日本語のアクセントのことご存知ですか?
日本語のアクセントは、音の高低で決まる高低アクセントです。
英語は、単語のある部分を強く発する強勢アクセントです。

英語のアクセントは学校の授業で教わるので馴染みがあるかもしれませんが、日本語は国語の授業などでもアクセントなんて教わりません。そもそも、アクセント辞典の存在さえ知らない人の方が多いと思います。

日本人として母国語のアクセントを知らない人が多いというのは、正直私としては残念な気持ちですが、私も、高校時代に放送部に入らなければ、アクセント辞典の存在を知らずにいたと思います。

日本語のアクセントの基本の型は4つです。

頭高、中高、尾高、平板です。

例えば、「はし」
アクセントによって、3つの意味を表す言葉になります。

それは、端・橋・箸

箸は、「は」の部分の音が高くなる頭高と言われる型。

端と橋はそれだけを言えば、「し」の部分の音が高くなり同じように思いますが、助詞の音の違いで変わります。
どういうことかというと、例えば、「端に行く」「橋に行く」だとすると、端・橋の後にきている助詞の「に」の音にポイントがあります。

端の場合は、「し」の音と助詞の「に」の音が同じになる平板型です。
橋の場合は、「し」の音より助詞の「に」の音が下がる尾高型です。

アクセント辞典では、このように表記されています。

もう一つ中高型のアクセントは、単語の間にアクセントがあるものです。
例えば、「たまご」は「ま」の音が「た」と「ご」よりも高くなります。

この基本の4つの型が日本語のどの単語にもありますが、単語と単語が組み合わさる複合名詞になると、その単語単体のアクセントでは無く、複合名詞としてのアクセントに変化するものがあります。

たまござけになると、「ま」で音が上がり「ご」まで音は同じ高さで、「ざ」で音が下がります。たまごどーふだと、「ま」で音が上がり「ど」まで同じ音の高さで、長音の「ー」で音が下がります。

アクセントは、地域独特なものもあれば、特定の組織など特有なものもあります。

例えば、収益という単語は、アクセント辞典では平板型が第1アクセントですが、ある企業では、第2アクセントの頭型で発音してほしいという希望もありました。

第1アクセントは最も推奨されるアクセントで、第2アクセントはそのアクセントでも許容されているアクセントです。

そういう場合、その場所で使われているアクセントを優先します。もしそれが、アクセント辞典に載っていなかったり、推奨されていないアクセントでも、大切なのはその場で使っている人たちの言葉が大切だと思うからです。

言葉は生き物なので、アクセントも時代と共に変化しています。
2016年に18年ぶりに改訂されたNHKの日本語アクセント辞典でも、それを感じることができます。

ちなみに「ドラマ」という言葉は、「ド」の音が高い頭高のアクセントですが最近では平板型で話している人が増えています。今回のアクセント辞典でも頭型のみの記載でしたが、もしかしたら次回改訂の時は平板型が許容されているか、それが第1アクセントになっているかもしれません。

私は職業柄、普段から意識しているものの、やっぱり福岡育ち。
時々、いえいえかなり頻繁に、アクセントの違いを感じたり指摘を受けることがあります。自分では正しいと思っていたアクセントが違っていて驚いたりもします。

なので、アクセント辞典は欠かせない存在です。

日本語のアクセント。
みなさん生まれた時から気にしたこともなく話す母国語で、当たり前のように身についていると思います。

方言やみなさん自身の特有のアクセントは尊重しつつも、一度、自分の国の言葉のアクセント辞典に触れてほしいなと思います。

最後まで読んでくださりありがとうございます。ご質問やご感想はお気軽にお寄せください。

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