【動画採択】東京都芸術文化活動支援「アートにエールを!」



東京都の文化芸術支援「アートにエールを!」プロジェクト。
最初の募集の時はあっという間に定員になって、再募集が行われました。私は再募集で応募したのですが、応募総数は約1万2千人。その中から抽選が行われ4千人が参加資格を得られる運びです。

その後も、企画を提出し審査があり、審査を通過すれば動画作成に進めます。そして、動画を作成し提出後の最終審査を経て、ようやく採用となります。私が応募したのは、6月23日ですから、それから約2ヶ月半で動画がアップされたことになります。

参考までにですが、途中経過はこのような感じです。

6月23日 アートにエールを!東京プロジェクト(個人型) 再募集に応募

7月7日 抽選結果(手続き上は「個人登録」)のお知らせ通知

7月12日 企画応募

7月28日 企画採択の通知
*この通知から1ヶ月以内に動画を完成させ提出することになっていました。

8月26日 完成した動画を提出

9月10日 動画採用
*東京都の「アートにエールを!」の専用ホームページにアップされています。



さて、今回、私が作成した動画は紙芝居風の物語です。

この物語は、保護司として30年もの長きにわたり、社会や地域に貢献なさっている永井輝信さんが、趣味で書きためていらした作品のひとつです。数年前に、永井さんが、私に送ってくださったのですが、私はこの物語を読んで、とても感動しました。そしてその時、「いつか朗読して形にしたいな。」と思っていたのです。

なぜ私が、この物語に感動したかというと、それは、誰もが助け合って、笑顔でいる物語だったからです。

私が知っているこういう昔話のようなお話は、だいたい、悪いことをした人をこらしめたり、切ないエンディングを迎えるようなものが多いです。例えば、桃太郎、一寸法師、カチカチ山、花咲か爺さんなどなど、今読み返すとびっくりするほど残酷だなと思うものもあります。

けれど、この永井輝信さんが書かれた「ねずみとおもちと殿さまと」は、そういうことが一切無く、誰もが許し合い、助け合い、笑顔で過ごして行くというお話です。これは、作者の永井さんのお人柄そのものです。
実は、この作品を使用させていただくお話をした後に、永井さんから、物語の内容についてご連絡をいただきました。



実はこの作品、ネコが登場しますが、当初、永井さんの作品では「白いねずみ」だったのです。私はさして気にしていなかったのですが、永井さんは、このようなことを気にかけていらっしゃいました。


「私がこれを書いた時は、別に白いねずみが良いという意味ではなく、白いお餅を食べたからということで白いねずみを登場させたんだけれど・・・今は、人種の問題もあるからね。もしかしたら、この物語だと「白が良い」と捉えてしまう人もいるかもしれないなと思うんですよ。」


この作品を作ろうとしていた頃、アメリカで黒人の方が白人の警察官に殺されたという報道があり、人種差別に対して社会が問題意識を高めている時でした。永井さん自身にそういうつもりが無くても、「白が良い」そう受け止められる可能性があるのなら表現を変えた方がいいのではというご連絡でした。



私は、そのお話を聞いて、これほどまでに人を想い、社会を想い、世の中を想う方の心の素晴らしさに、改めて感銘を受け、かつ、私自身も大きな学びをいただきました。私自身、差別的表現や身体表現などは、これまでも細かに気をつけてきましたが、今回のことで、もっと細やかな視点で物事を考えることが大切だということを心に刻みました。

そこで私は、白ねずみを何に変えたら、この物語の意図を壊すことなく表現できるかを考えて「ねこ」にしました。多くの場合「ねずみとねこは仲が悪い」というイメージです。けれど、だからこそ、ねこが登場したら・・・そう思って、この部分は私が脚色を加えたのですが、永井さんも納得してくださいました。


永井さんは、保護司として30年もの長きにわたり社会貢献活動をなさっています。保護司というのは、犯罪をした人の改善・更生を助けるとともに、犯罪の予防のための啓発に努める方々です。法務大臣(国)から委嘱を受けた非常勤の国家公務員ですが、実質的には民間のボランティアの方々です。
また、永井さんは青少年の薬物使用防止に関する取り組みも積極的に行われています。こうやって、長きにわたり人や社会を想って生きてこられた永井さんが書かれた物語は、単に温かさや優しさだけでなく、私たちがどうやって、これからの社会を生きて行ったら良いのかを教えてくれているように思っています。

お話自体は子ども向けに感じると思いますが、できれば私は、大人の皆さんにも観ていただけたらと思っています。


次回は、この物語の作画とキャラクターを描いてくれた小学5年生の野村おとさんのエピソードです。小学5年生に限らず大人でも、わずか1〜2週間という短い期間で、15枚もの絵を描くというのは本当に大変なことです。さらには、キャラクターも考えて。

その野村おとさんが、どうやって絵を描き上げたか。そんなお話を次回は綴ります。

紙芝居風物語「ねずみとおもちと殿さまと」
下記からご覧いただけます。ぜひ、ご覧ください✨

アートにエールを!.001

https://cheerforart.jp/detail/5723

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