話し始めに聴衆を惹きつける

こんにちは。フリーアナウンサーの三島澄恵です。

TEDxKyotoに登壇された一般財団法人ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーション代表理事の諸橋寛子さん。
そのトレーニングに関わらせて頂いた本番までの4ヶ月間を綴っています。

前回のブログには「何を伝えるかを明確にする」ということ、そのために自分の振り返りをし、かつ熟考することの大切さを書きました。

「何を伝えるか?」
これが決まったとはいえ、今度は、それを伝えるための実体験や具体的な情報を考えていくことになります。

諸橋さんが伝えようと決めたことは「変化・進化・成長の必要性」です。
「なぜ、『変化・進化・成長』が必要なのか?」

そこには、諸橋さんが生まれて育ってきた家庭環境、お父様との急な永遠の別れ、故郷の福島を襲った未曾有の災害など、とても12分程度で語り尽くすことはできないほどの話が詰まっています。けれど、そのどれひとつも落とすことなく、しかも、伝える核となる「変化・進化・成長」が薄れることなく、しっかりと話の中心になるように入れていくというのは、諸橋さんの熟考の上の熟考、再考の上の再考によって成し得たものです。

諸橋さんは、普段から人前で話す機会も多く、普段から話題を積み重ねて来られていたので、最初の時点で大まかな内容や流れは固まっていたように思います。初稿から話の流れは大きく変わりませんでしたが、それでも最終稿はだいぶ違うものになっていました。

諸橋さんは仕事でも、財団でもスポーツに関わることをなさっています。しかも今では、世界最高峰の障害物レース「スパルタンレース」にも出場するほどです。日課では、10キロのジョギングやジムでの筋力トレーニングなどに取り組まれていて、子供の頃から、スポーツが得意だったんだろうと感じられるほどです。

が、しかし、実は諸橋さんは、子供の頃から大のスポーツ嫌い、大の苦手だったんだそうです。

初稿では、スピーチの最初に「幼少の頃から運動音痴、運動嫌い」とあったものの、スパルタンレースについては盛り込まれていませんでした。

しかし、本番では、最初に世界最高峰の障害物レースに出ている姿がスクリーンに映し出され、その話から始まりました。そして、その画像をバックに、諸橋さんは「大の運動嫌い、運動音痴」を告白されます。
しかも、「初めてのボール投げで、顔面でボールを受けて鼻血を出した」という具体的な話があり、会場は驚きと和やかな雰囲気に包まれました。
そのギャップの大きさに観客は惹きつけられて行きました。

話し始めに、聴衆を惹きつける。

これは、とても重要なことです。
今回のようなギャップの話に限らず、聴衆に「スピーカーの話を聞きたい」「このスピーカーって面白そう。」そう感じてもらえれば、導入部分は大成功です。

世界最高峰障害物レース「スパスパルタンレース」の模様

諸橋さんの場合、世界最高峰の障害物レースに、出場した時の引き締まった身体と満面の笑みで、泥まみれになりながら挑む姿が映し出されつつ、でも実は、スポーツは大嫌いだったと語るギャップに、会場の人は「えっ!?なんで?うそでしょ!?」と引き込まれて行ったのです。

話の先を聞きたくなる工夫もまた、話す力を高める要素です。

諸橋寛子さんのTEDxKyotoでの発表の様子。
ご覧になっていない方は、ぜひご覧ください。

TEDxKyoto 2018 スピーカー 諸橋寛子さん

話し方は、経営者やビジネスマン、学校の先生や研修講師、さらには、大学生、高校生、小中学生、未就学児までまで、幅広い方々を対象に行っています。
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