マイクを味方に。〜マイクは叩かないで!①

こんにちは。
フリーアナウンサーの三島澄恵です。

TEDxKyotoのスピーチトレーニングについて書いていますが、今日からは少しだけ離れてマイクの使い方についてお伝えします。

今回のTEDxKyotoでは、ヘッドセットタイプのマイクが使われましたが、皆さんが普段使うマイクは、手に持って使うタイプが多いのではないかと思います。
どのタイプのマイクでも、注意点やコツがあります。

私は、ユナイテッドウェーブス合同会社の代表も務めていますが、弊社は、私が担当するアナウンスや講師業務とは別に、音響専門の部署があります。今日は、その音響専門で、長年にわたり、イベントやコンサートを担当している弊社テクニカル事業部の田村の話をご紹介します。
みなさんがマイクを使う時の参考に、ぜひなさってください。

マイクは叩かないで!①
(ユナイテッドウェーブス テクニカル事業部 田村尚)

マイクを使って話す時、そのスイッチが入っているかどうか確かめるためにマイクを叩く人がいます。そういえば以前、マイクで人の頭を叩いた人がいたことを思い出しました。「マイクを叩く(マイクで叩く)」これは私たち音響担当者が最も嫌がる行為です。

そもそも本来叩く道具ではないものを叩くというのはあまりスマートな行為ではないですね。また、叩いた時にマイクのスイッチが入っていれば、スピーカーから「ボンボン!」と音が出ますが、これもあまり気持ちのいい音ではありません。

なぜマイクを叩くことがいけないのか説明する前に、マイクで拡声する仕組みを簡単に説明します。

音とは空気の振動です。その振動がマイクの中の振動板を振動させて電気信号に変換します。電気信号はミキサーなど各種機器を通り音質、音量が調整されアンプに送られます。電気信号はアンプでその後に繋がれたスピーカーを駆動するために増幅され、スピーカーの振動板を振動させ、その振動が空気を振動させて最終的に拡声された音になり聴衆に伝わるのです。

普段人と話す時、声が空気の振動なんて感じることはありませんよね?そんな小さなエネルギーが場合によっては1万人以上の人に届くようなエネルギーに増幅されるのです。

マイクを叩くのがなぜいけないのか?なんとなく想像がつきますか?

次回は、なぜマイクを叩いてはいけないのかをお伝えします。

弊社田村のマイクのお話いかがでしょうか?

弊社に限らず、音響スタッフのみなさんはステージを支えてくれている縁の下の力持ちです。ステージでは視覚要素の強い映像演出に目が行きがちになります。しかし、司会やスピーチも映像も、会場で流れているBGMや演出時のアタックなど、全て音がなければ成立しません。

音は目に見えないので、出ていて当たり前、聞こえて当たり前の要素になっています。そうやって誰もが当たり前に感じ、自然に感じられるというのが、音響のプロのみなさんの仕事のすごさなのだろうと思います。

私は、しゃべり手としてステージで話す立場ですが、現場で安心して話ができるのは、各現場の音響スタッフのみなさんのおかげだと、いつも感謝しています。

では明日もまた、田村のコラムをお届けします。

弊社ユナイテッドウェーブスでは、司会や企業研修・スピーチトレーニングとイベントやコンサートなどの音響業務も請け負っております。
お気軽にご相談ください。

ユナイテッドウェーブス合同会社
https://united-waves.jp
info@united-waves.jp

諸橋寛子さんのTEDxKyotoでの発表の様子。
ご覧になっていない方は、ぜひご覧ください。

TEDxKyoto 2018 スピーカー 諸橋寛子さん

話し方は、経営者やビジネスマン、学校の先生や研修講師、さらには、大学生、高校生、小中学生、未就学児までまで、幅広い方々を対象に行っています。
お問い合わせはお気軽にどうぞ。


ハプニングを楽しもう!!

こんにちは。
フリーアナウンサーの三島澄恵です。

昨日は、練習は本番通り、本番は練習通りというお話を書きましたが、練習では予想もしなかったことが、本番では、多々起こり得ます。

今回のTEDxKyotoにおいても、本番でハプニングがありました。

その一つは、マイクの音。
もう一つは、観客の状態です。

今回のマイクはヘッドセットでした。
ヘッドセットの場合は、通常、話し手が自分でスイッチの入り切りをすることはありません。しゃべり始めに合わせて、音響の人が操作をして音声が入るようになります。

ただごく稀に、話し始めの音が入らないことがあります。
この多くは、音響の人のタイミングが遅れていたり、音声を入れ忘れているときに起きるのですが、話し手にとっては、この最初の音が入っていないと感じた瞬間に、焦りが生じたり、緊張が高まったりするのです。また、「このまま話し続けてもいいのだろうか?」などの不安も起きます。

もともと緊張で張り詰めた中ステージに立っているので、話し始めに不安が生じると、その後に影響することも多々あります。音響に限らずこのような周囲のミスは、私も幾度となく経験してきました。

もし今回のように、話し始めの音が入っていないと感じた場合の対策は、もう一度最初から話すということです。
また、もし、話し始めからしばらく入っていなかったら音響機器のトラブルも予想されるので、「マイクの音が入っていないようですね。どうでしょう?聞こえますか?どうでしょう?」などと繰り返し、自分の声が入ったら「改めて、みなさん、こんにちは。」とハプニングへの軽い一言を加えて、最初から話し始めるという方法もあります。

ちなみに、ハプニング対応のちょっとした一言で、会場の場も和んで観客の聞く意識を高めることもできますし、話し手自身も緊張の糸がほぐれることがあります。

マイクのトラブルは、基本的には音響機器などのトラブルによりますが、まれに話し手がマイク自体のスイッチを切っている場合もありますので、話し手も、自分がどんなマイクを使っているのかを知っておくといいかもしれません。

諸橋さんは、マイクのことは気にならなかったそうですが、観客の様子(聞いている状態)が気になったそうです。本番の諸橋さんを見ていましたが、緊張は感じられるものの堂々と落ち着いて最後まで話されていたので、この話を聞いて驚きました。

確かに客席の様子はリハーサルではわかりません。また、ステージから客席がどう見えていたのかは、話し手本人にしかわかりません。

スピーチを終えた諸橋さんに聞くと、本番では、椅子席の前とステージの間にクッションソファのようなラフな椅子が設けられていて、横たわって聞いている観客もいたということでした。

ステージはスポットが当たっているので、登壇者は観客の姿は意外に見えないものです。しかし、このクッションソファがあったステージの前あたりは、登壇者からも見えやすい明かりと位置だったこともあり、観客の聞いている姿が、より見えたのだと考えます。

この話を聞いた時、私がもし登壇者でも気になっただろうと感じました。
そういう状態で聞く人が座るというのを、話し始める前にわかっていれば、必要以上に意識することは無かったかもしれませんが、無いと思っていたものが急遽現れたり、逆に、あると思っていたものが突然無かったりすると、驚いてしまいます。頭に入れていた話す内容も、一瞬飛んでしまうこともあります。

以前私がとても焦った経験は、リハーサルまで使っていた司会台の手元明かりが、本番が始まって司会台に立つと、全く別物に変わっていたことです。
そのイベントでは、私の話し始めの際はステージも会場全体も暗めの照明の演出でした。司会用のピンスポットが当たるとはいえ、やはり手元に明かりが無ければ、台本を読むのに厳しく、リハーサルの時点で司会台に明かりを用意してもらいました。

手元明かりもいくつか種類があるので、リハーサルでその使い方をシミュレーションしていたのですが、本番で用意されていた明かりは、これまで使ったこともないもので、スイッチがどこにあるのかさえ不明。それでも明かりを点けなければ台本を読めないので、最初の覚えているフレーズを平然と話しつつ、手は明かりのスイッチを探していたこともありました。

今では、笑い話のひとつです。

今回のTEDxKyotoに限らず、イベントなどにおいてハプニングはつきものです。
想定していても想定通りにはいかないもの。
ハプニングが起きた時は、そのハプニングの流れに合わせて対応できるちょっとした心の余裕があると、ハプニングを味方につけてイベントがより面白いものになることもあります。

ハプニングが起きた時こそ、チャンス!
ハプニングを楽しもう!!

そのためには、やはり練習を重ねることです。そしてできれば、経験を重ねることです。
「何が起きても大丈夫!」と思えるくらいの練習と、様々な経験を重ねていけばハプニングはチャンスに変えられます。

そして、本番を楽しめるくらい心の余裕を持って臨めるようになりますよ。



諸橋寛子さんのTEDxKyotoでの発表の様子。
ご覧になっていない方は、ぜひご覧ください。

TEDxKyoto 2018 スピーカー 諸橋寛子さん

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練習は本番通り、本番は練習通り

こんにちは。
フリーアナウンサーの三島澄恵です。

TEDxKyotoで登壇された一般財団法人ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーション諸橋寛子さんのスピーチトレーニングについて、引き続き綴っていきます。

諸橋さんのスピーチトレーニングの日は、本番同様に全部を話していただき、それを撮影して見直して改善するを繰り返しました。

本番をイメージして練習する。

この練習はとても重要です。

なぜなら、本番では練習の時とは違う緊張があったり、様々なハプニングがあったりするからです。どんなに本番をイメージして練習しても、本番では練習と違うことが起きます。練習は上手くできていたのに、本番になると思ったような力を発揮できないという人がほとんどです。


それなら、本番を想定した練習は必要ないじゃないかと思うかもしれませんが、それは逆で、本番で練習通りの力が発揮できるように、練習でこそ本番通りに練習することが欠かせないのです。

私は高校生の頃、放送部でこの練習を毎日行っていました。

高校放送部には、アナウンスと朗読の大会があります。その大会では、出場者一人一人がステージに上がり、アナウンス原稿や朗読原稿を読み審査が行われます。

大会本番は、なんとも言えない緊張した空気の会場の中で、一人マイクの前に座り原稿を読みます。その前には、出場者を含め大会出場校の生徒や先生が30人ほど。審査員は別室で聞いています。読み間違えたり、詰まったりすれば、もちろん減点です。そこに、抑揚、メリハリ、緩急、間やブレスの取り方など表現力も審査基準です。本当に極度の緊張の中臨みます。

そのため、練習では、自分が一番しゃべりやすいマイクの置き位置や座り方、原稿の持ち方なども掴むこともしていました。
何より、本番の緊張感を持ちながら練習することで、本番でどんなことが起きても、動揺することなく最後まで集中して取り組む力が身につきました。

例えば、もし途中で詰まっても、そこで「すみません。」と謝ったり、何度も言い直したりすることはせず、詰まった程度であればそのまま読み進めます。

もし、読み間違えた時は、「失礼しました。」などは言わずに、読み間違えた言葉を言い直して読み進みます。

もし、途中で詰まった時、それが気になってしまうと、また詰まってしまい失敗が失敗を招くので、失敗は気にせずに立て直して読み進めて行きます。

こういった具合に、失敗した時の心構えや立て直しの仕方は練習で身につけて、本番で自然に対応できるように身につけます。

私は高校時代、こういったトレーニングの積み重ねのおかげで、程よい緊張で大会に臨むことができていたように思います。おかげで全国2位を始め数々の賞を受賞することができました。

今思い返せば、この時、体に身につけたどんなハプニングに出会っても話し続けられる対応力は、放送局で仕事を始めた時にも、そして今も役立っていると感じています。

しかし、詰まった時につい「すみません」と謝ってしまう。ちょっとした失敗の後に失敗の連鎖が起きる。これらは、誰もが必ずと言って良いほど通る道です。だからこそ、何度も練習して失敗なく話せるようにするのはもちろん、失敗した時に、どういう対応をするかを瞬時に判断し、動けるように練習を重ねるのです。

以前、フィギュアスケーターの鈴木明子さんにインタビューをしたときに、「途中でミスをした時はどうしているのか?」と聞いたことがあります。
フィギュアスケートは、音楽に合わせて演技をしているので、どこかで転んだりすると音楽と合わなくなるのではないかと、いつも疑問に思っていたからです。

その時に鈴木明子さんは、このようにお話しされました。

「練習の時から転んだ時などにどうするかの練習をしています。振り付けのポイントがあるので、そこに合わせるようにしています。」

加えて、

「止まっていたらダメなんです。演技をしていないのは表現していないので審査にならないんです。 とにかく、1秒でも早く演技に戻れるように練習しています。」と。

その話を聞き、プロであればあるほど、一流であればあるほど、練習の重ね方が違うのだと教わりました。

NHKハート展 鈴木明子さんトークショー

練習は本番通りに、本番は練習通りに。
これができるようになるまで、何度も何度も練習を繰り返すこと。
これが、成功の鍵です。

しかし、練習で本番通りにできていても、本番で練習通りにできることというのは、かなりハードルが高いものです。それは、本番では、練習では想像もしていなかった緊張が訪れたり、思いもよらないことが往々にして起きるからです。

実際、今回の諸橋さんのスピーチでもハプニングがありました。
その辺りは、また次回のブログで。

スピーチやプレゼンテーションの練習をしている人は、ぜひ、本番をイメージして本番通りに練習を重ねてください。
それが、話す力を磨くトレーニングです。


諸橋寛子さんのTEDxKyotoでの発表の様子。
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声は意識で変わる

こんにちは。
フリーアナウンサーの三島澄恵です。

3月に入り、いよいよ春の足音が聞こえていますが、このところお天気が安定しませんね。みなさんくれぐれもご自愛ください。

さて先週から、TEDxKyotoに向けた具体的なトレーニングについて綴っています。私がトレーニングを担当させていただいたのは、一般財団法人ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーションの諸橋寛子代表理のスピーチです。

先週も書きましたが、諸橋さんはトレーニング日以外も自宅で自主トレーニングを積まれていました。例えば、部屋の窓ガラスに映る自分の姿を確認しながらのトレーニング。何度も口に出し、ボディーランゲージをつけながら、自分の姿を確認し、かつ、窓の外の遠くに向かってスピーチをするという、大変効果的なものです。

私も司会の本番前、姿見を前に練習することがよくありますが、自分の姿を見ながら練習することで改善点に気づくことができるのです。

諸橋さんがトレーニングを始めてすぐの原稿をまだ覚えきれていない時は、なかなか聞き手を意識したスピーチは難しい状況でした。しかし、諸橋さんの場合、普段から人前で話す機会も多く聞き手を意識した声の出し方というのは、すぐに身について行きました。

ところで、みなさんは人前で話すとき、どこを意識して話しているでしょうか?

今回のTEDxKyotoのリハーサルで、私はボイストレーニングのサポートにつきましたが、その時点では、私が見た人全員、聞き手を意識した話し方にはなっていませんでした。
原稿は手に持っていなくても頭の中にあって、一言一句を追いかけている感じでした。そして、マイクがついているので、声の大きさや張りはあまり気にせず、普段の自分の声で話している感じを受けました。

多くの人が勘違いをしているように感じるのですが、マイクがあれば、どんな声でも聞こえると思っているのではないでしょうか?
それは違います。

マイクはあくまでも拡声器です。
小さい声を大きくするのは限界があります。張りの無い声は張りの無いまま聞こえます。無駄に息を強く吐き出せば、余計な音が入ります。ぼそぼそしゃべればぼそぼそ聞こえます。悪い音は悪いまま大きくなります。

マイクを使っていたとしても、スピーカーの声が一定の大きさであったり、張りがあったり、はっきりした話し方でなければ、聞き手の心に届くスピーチはできないのです。
マイクを使っていても、観客に向かって声を出す意識を持っていなければ、声も言葉も聞き手には届かないのです。

私がスピーチや発声のトレーニングを行う時は、どこに向かって声を出すかというイメージを持ってもらうようにしています。
どの位置に人がいるのか?どこに向かって声を出すのか?
それを意識するだけで、声はしっかりと届くようになります。

みなさんが人前で話す時は、その会場の一番後ろにいる人に届けるつもりで話してみてください。そうするだけで、聞き手に届く声は出るようになります。

自宅などで練習する時も、会場にいる聞き手をイメージしながら行ってみてください。もし、一緒に練習に立ち会ってくれる人がいれば、その人に少し遠い位置に座ってもらい、そこに向かって話す意識で練習をしてみてください。そういうことをを繰り返すうちに、声の出し方も自然に身につきます。

しっかりと声を出せるようになれば、マイクも効果的に使えます。
マイクの効果的な使い方については、また改めてお話しします。


諸橋寛子さんのTEDxKyotoでの発表の様子。
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シャドーイング

こんにちは。
フリーアナウンサーの三島澄恵です。

引き続き、TEDxKyoto本番に向けた具体的なトレーニングについてお伝えしていきます。

今回は「シャドーイング」です。

昨日は、お手本と合わせて練習するコーラスリーディングをご紹介しました。今回のシャドーイングもお手本を聞いて話すと言うのは似ていますが、シャドーイングは、お手本を聞いてその後に続けて話すというものです。

諸橋さんのトレーニングでは、この方法を行いませんでしたが、TEDxKyotoの前日のリハーサルの時に、他の登壇者のトレーニングサポートで行いました。

シャドーイングは、英語の勉強ではよく使われているので、「英語ではやったことがあるけれど」という人がほとんどだと思います。実際、TEDxKyotoの登壇者のみなさんもそうでした。日本語をシャドーイングするというのは、新鮮な感じだったのではないでしょうか。

シャドーイングのポイントは、お手本を聞いた通りに声にすることです。お手本を聞いて頭で考えず、その通りにすぐに声にすること。ここがポイントです。

言われたことを頭で考えてしまうと、口に出すまでに時間がかかります。結果、お手本通りではない自分の話し方のままになってしまいます。
また、できるだけ短く区切って練習をした方が効果が高まります。

TEDxKyotoには、スピーチトレーニングされる専属のスタッフの方がいらっしゃいます。今回は、その方と共にお手伝いをさせて頂きました。リハーサル前の発声練習と、リハーサルの登壇者の映像を確認しながら練習といった具合に、詰めの練習での立ち会いです。

その際、TEDxKyotoの専属スタッフさんから、「シャドーイングをお願いします。」と言われ、トレーニングをさせていただきましが、私の区切り方が少し長目だったようで、「もう少し短く、単語ぐらいで区切って行ってください。」とアドバイスをいただきました。

そこからは、短い言葉でのシャドーイング。
短い言葉で区切ったことで、それまで不自然だったイントネーションが、短時間で自然なイントネーションに変わって行きました。

シャドーイングは私も普段のトレーニングで行っていますが、できるだけ短く区切る点は、これ以降注意して行っています。

話し方に磨きをかけたいと言う人は自分で練習することも大切ですが、お手本となる人と一緒に練習することをおすすめします。それが上達への近道かもしれませんよ。

諸橋寛子さんのTEDxKyotoでの発表の様子。
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コーラスリーディング

こんにちは。

フリーアナウンサーの三島澄恵です。

先日から、綴っているTEDxKyotoで登壇された一般財団法人ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーションの代表理事 諸橋寛子さんのスピーチトレーニングで、私自身が改めて気づいた点をブログにまとめています。

今日からは具体的なトレーニング法や本番前の準備、本番当日の裏話などを綴っていきます。

今日はトレーニングの一つ、コーラスリーディングについてです。

「コーラスリーディング」

コーラスは合唱。合唱のようにお手本と声を合わせてトレーニングする方法です。この方法は、短期間で話し方が身につきます。

諸橋さんのトレーニングは実際に対面で行ったのは3回です。国内外の出張も多く、財団の運営など日々忙しい中で、1ヶ月の間に3回のトレーニングも、かなり大変だったと思います。しかし、その3回では、どうしても十分な成果を得るには難しいです。トレーニングの日以外も、自主トレーニングをする事で完成度が上がります。

諸橋さんのすごいところは、忙しい中でも自主トレーニングをされるところです。その自主トレーニングに、コーラスリーディングを取り入れて頂きました。私が読んだ原稿を録音し、そのデータを聞きながら声を合わせて練習。そして、トレーニングの日は、本番を意識して全文を繰り返し練習。

さて、コーラスリーディングですが、皆さんが取り組まれる際は次の点を意識するとより効果が高くなります。

それは、とにかくお手本通りにやってみる事。そして、お手本と自分はどこが違うかを感じる事です。

お手本と合わせようとすると、ちょっとした間の長さの違い、イントネーションやアクセントの違い、抑揚や言葉の強弱など、様々な面で違いを感じると思います。例えば、自分ではゆっくり話していたつもりでも、お手本と一緒だと、さらにゆっくりに感じられたり、間も長く感じられたりなど、最初は戸惑ったり、上手く合わせられないかと思います。それでもまずは、お手本通りに練習してください。そうすると、次第にその通りに話せるようになります。

コーラスリーディングをすると個性が失われる。というような事を言う人もいます。しかし私は、そうは思いません。

どんなにお手本通り真似しても、その人自身の個性は滲み出ます。声の質、ちょっとした間の取り方や息づかいの違い、言葉への思い入れなど、その人が持っているものが必ず出てきます。

狂言師の野村萬斎さんが、あるインタビューに答えられている中で、

「わたしの父や先輩方を見ていますと、意図的にではなく型から個性が滲み出ていますし、さらに言えば型を感じさせなくなる。」とありました。

話し方にも基本はあり、決まった型のようなものがあります。皆さんも話し方の本やセミナーを受けたりすると、基本的なことはどこもほぼ同じはずです。これは話し方に限らず、スポーツや芸術、仕事など全てに言えると思います。

その基本を押さえないまま自己流で上手くなる人も稀にいますが、そういう人もまた、ある一定のところで基本を学び直す人が多いです。

中には、奇をてらうことが個性と思っている人もいますが、それは自己満足であることが多いものです。

少し話が逸れてしまいましたね。

話す力を磨きたい人こそ、まずは上手な人や目標とする人の話し方を真似してみてください。それが徐々に自分の話し方に変わっていきます。

諸橋寛子さんのTEDxKyotoでの発表の様子。
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ブレスと間の関係

こんにちは。
フリーアナウンサーの三島澄恵です。

先日から、綴っているTEDxKyotoで登壇された一般財団法人ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーションの代表理事 諸橋寛子さんのスピーチトレーニングで、私自身が改めて気づいた点をブログにまとめています。

今回のスピーチのように決まった原稿を覚えて話すというときに、誰もがほぼぶつかる壁は、不自然なイントネーションです。昨日は音の上がり下がりについて書きました。

今日は、ブレス(息)と間の取り方についてです。
ブレスと間の取り方もまた、文章のつながり方と関係しています。

ここでもまた昨日、例に出した文で説明しましょう。

「私は、フリーアナウンサーの三島澄恵です。」

この一文であれば、通常話しているときは途中でブレスを取らずに一息で話しますが、これが原稿になっていると、次のように話す人がほとんどです。

「私は、(ブレスを取る)フリーアナウンサーの(ブレスを取る)三島澄恵です。」という具合です。

「私は」の後でブレスを取ると、「は」の音が下がり、「フリーアナウンサー」の出だしの音が高くなります。「フリーアナウンサーの」の後でブレスを取ると、同じように「の」で音が低くなり、「三島」で音が上がるため、不自然なイントネーションがつきます。

また、ブレスを取ると、その分、間が必要になります。ほんのコンマ何秒のことですが、そのわずかな間が文章の意味と関係しています。

例文ですが、「私は」の後の間の長さと「フリーアナウンサーの」の後の間の長さは、若干ですが、前者の方が長くなります。それは、「私は」よりも「フリーアナウンサーの」の方が、三島澄恵とのつながりが強くなっているからです。

ブレスや間の取り方、昨日お伝えした音の高低については、文章でお伝えするのはなかなか難しく、分かりづらかったかと思いますが、1文が長くなると伝わりづらくなることはお分かりいただけたでしょうか?

今回の諸橋さんの原稿は、長い文章でも1文80文字少しです。他の文章は概ね60〜70文字で、短いものであれば20〜30文字です。ニュース原稿などでは120文字近いものもありますが、それは長い文章で、多くは70〜80文字前後です。

文章が長ければ長いほど、主語と述語の関係性や、説明する語の関係性が分かりづらくなるので、スピーチ原稿やプレゼンの話す内容をまとめている人は、もう一度、1文の長さを見直してみてください。

そして準備ができたら、必ず声に出して練習してみてください。そうすると、話しやすさや伝わりやすさを確認することができます。

次回は、実際にどのような練習をすればいいのかをお伝えします。

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日本語の特徴を話し方に生かす

こんにちは。
フリーアナウンサーの三島澄恵です。

先日から、綴っているTEDxKyotoで登壇された一般財団法人ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーションの代表理事 諸橋寛子さんのスピーチトレーニングで、私自身が改めて気づいた点をブログにまとめています。

昨日は、原稿を話すように読むという話でした。

今日は、日本語の特徴を話し方に生かすという点でお伝えします。

日本語の基本的な構造は、主語があり、その間に言葉が入り、通常最後に述語がきます。述語は、主語が何をした、どうしたなどの部分になります。

昨日例に出した「私は、フリーアナウンサーの三島澄恵です。」という文章であれば、「私は」という主語は、三島澄恵という部分に繋がらないと意味が成立しません。「私は」が「フリーアナウンサーの」の部分にかかってしまうと意味が違ってきます。

「私は」が「三島澄恵です」に繋がるには、私はの「は」の部分の音の高さが上がりすぎても下がりすぎても、意味が成り立たなくなります。

実際に、声に出して言ってみるとわかりやすいでしょう。できれば、録音をして聞き直してみてください

私はの「は」の音を上げて、「私は、三島澄恵です。」

私はの「は」の音を下げて「私は、三島澄恵です。」

どうでしょうか?なんだか不自然に聞こえ、意味のつながりがわかりくいのではないでしょうか?

さて例題は、「私は」と「三島澄恵です。」の間に、三島澄恵を説明する「フリーアナウンサーの」が入っています。フリーアナウンサーという言葉は、三島澄恵につながっていく必要があるわけです。そのため、「フリーアナウンサーの」の「の」の部分の音もまた、高が上がりすぎても下がりすぎても、意味が成立しなくなります。

最初にお伝えしたように、日本語は、主語と述語の間に、様々な説明が入ります。主語と述語の間に言葉が入れば入るほど、主語と述語が離れてしまい意味がわかりづらくなります。さらには、不自然なイントネーションがついたり、不自然な間を取りやすくなる原因になります。スピーチや挨拶、プレゼンテーションなど、人前で話す時はできるだけ1文を短くした方が、主語と述語の関係性が分かりやすくなります。それにより、聞いている人は理解しやすくなりますし、話し手自身も話しやすくなるわけです。

今、話す内容を考えている人は、この点を踏まえて文章を作ってみてください。文章を作ったら実際に声に出してみて、話しやすいかや聞き手がわかりやすいかを確認し、もう一度練り直してみてください。

昨日のブログに書きましたが、この不自然な音の上がり下がりは、原稿を見ながら話したり、または、覚えて話す場合に、誰もが一度は必ずと言っていいほどぶつかる壁です。
諸橋さんだけでなく、今回、TEDxKyotoで日本語で登壇された人ほぼ全員がこの壁にぶつかっていました。それを自然な話し方にするためのアドバイスやトレーニングについては、改めてお伝えします。

音の高低は、ブレスを取る(息を吸う)場所や間の取り方とも関係していますので、次回は、その点をお伝えしていきます。


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原稿を話すように読むには?

こんにちは。
フリーアナウンサーの三島澄恵です。

先日から、TEDxKyotoで登壇された一般財団法人ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーションの代表理事 諸橋寛子さんのスピーチトレーニングを担当させていただいたときのことを綴っています。

原稿ができあがり、前回のブログからは声に出してのトレーニングについてお伝えしていますが、原稿の文章を話すように自然に読むというのは、実はとてもハードルが高いのです。
アナウンサーがニュース原稿を読んでいる様子は、皆さん誰しも見聞きしていると思います。原稿を読むだけなら誰もでもできると思うかもしれませんが、原稿を単に読むことができても、それを自然なイントネーションやアクセントで読むにはトレーニングが必要です。

みなさんも試しに一度、新聞などの文章を声に出してアナウンサーのように読んでみてください。そうすると、自然に読むという難しさを感じていただけるのではないかと思います。

その難しさのひとつがイントネーションです。これもまた、母音と同じく日本語の特徴から来るものかもしれません。

日本語は音の高低が鍵を握っています。それは、アクセント(アクセントについては、後日改めて綴ります。)もですが、1文の中でも言えます。

日本語は、話し始めの音が一番高く、途中上げ下げをしながら、文末は音が低くなっていきます。

例えば、「私は、フリーアナウンサーの三島澄恵です。」という1文。私はの「わ」、フリーの「ふ」、三島の「み」で音は高くなりますが、最後の「です」は、「私は」よりも低い音になります。実際に声に出してみるとわかりますが、「です」が「私は」よりも音が高くなると、とても不自然に聞こえます。

加えて、「私は」の「は」の部分。
この「は」(助詞)の音を必要以上に高くしたり、低くすると自然な口調ではなくなります。そして私たちは、原稿を読むと不自然な音の上げ下げを行ってしまうのです。普段の会話では、そんな不自然なイントネーションになることはないのに、原稿になるとそうなってしまうという不思議です。

そしてこれは、トレーニングを始めて、誰もが必ず通る道でもあります。

今回、諸橋さんのトレーニング以外に、TEDxKyotoの前日のリハーサルで、登壇者の方々のボイストレーニングも担当させていただきましたが、みなさん不自然なイントネーションがついていました。TEDxKyotoのトレーニング担当の方も、その点を何度も注意されていましたが、なかなかすぐには直らない難しいポイントだと、改めて実感しました。

諸橋さんは、練習を何度も録音し、音の違いを聞いて直していきました。

自分では不自然な話し方をしていないと思っていても、実際に聞いてみると不自然だと気づくことができます。もし今、トレーニングをしている人は、練習を録音して聞き直して、繰り返しトレーニングをすることをおすすめします。


文章は間違えずに読んでいるだけでは伝わりません。原稿をいかに自然に話すように読み、かつそこに説得力のある表現をつけられるかがスピーチには求められます。

次回は、日本語の文法が関係している音の高低についてお話しします。

諸橋寛子さんのTEDxKyotoでの発表の様子。
ご覧になっていない方は、ぜひご覧ください。

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滑舌を良くするのは母音

こんにちは。
フリーアナウンサーの三島澄恵です。



TEDxKyotoの登壇者の諸橋寛子さんのスピーチトレーニングをさせて頂き、私自身が改めて感じた話す力についてや、話す時のコツについて綴っています。

前回までは、話す内容についてお伝えしてきましたが、今日からは日本語の特徴からわかる発音やイントネーションのお話をして行きます。

今回は母音についてです。

日本語の母音は「アイウエオ」の5つです。これに子音がついて音をなし、連なって行くことで言葉になります。

ちなみに英語の母音はかなり多く、アに近いエやオに近いウなど、さらには、単母音・長母音・二重母音など様々です。中学校の英語の先生に、英語の母音の数を聞くと「30個近い」と教えてくださいました。

日本語は、「アイウエオ」のたった5つですが、この5つの母音の口の形と舌の位置が全ての言葉の元になります。劇団四季のトレーニングでは、セリフを全て母音に置き換えて行っています。
例えば私の名前「みしますみえ」であれば、「いいあういえ」と置き換えて練習をするということです。そうやって母音に置き換えることでセリフがはっきりと発音でき、観客のみなさんが聞きやすくなるのです。それほど、日本語の母音は、言葉を明瞭に話すために重要なのです。

前回のブログで、諸橋さんの苦手だった「父(ちち)」という発音の話をしました。諸橋さんの話し方のクセの一つは、舌先が前歯にあたる点と母音のイとエの発音で口角が下がり気味になるということです。このクセで話している人は少なくありません。

イやエの発音の際の口の形は、口角の上がり下がりによって変わります。そして、イ段(キ・シ・チ・ニなど)とエ段(ケ・セ・テ・ネなど)の音全ての発音に影響します。実際にみなさんも鏡を見ながら、口角を上げたときと、下げた時に「イ」と「エ」の発音をして、イ段とエ段の音を聞き比べてみるとよくわかります。
また、口の形が正しく無いと舌の位置も正しくなりませんので、さらに発音に影響してしまいます。

滑舌が悪いと言われる人は、もしかしたら母音の口の形に課題があるかもしれませんので、まずは母音の口の形と舌の位置を鏡を見て練習することをおすすめします。
特に、プレゼンテーションやスピーチで、言葉が聞き取りづらいと言われる人や自分で気になっている人は、まずは母音を意識してみてはいかがでしょうか。

余談ですが、母音のトレーニングや発音トレーニングは、表情筋や喉の筋肉のトレーニングにもつながりますので、顔と声のアンチエイジングにもなりますよ。

次回以降も、発音やイントネーションについてお伝えして行きます。

諸橋寛子さんのTEDxKyotoでの発表の様子。
ご覧になっていない方は、ぜひご覧ください。

TEDxKyoto 2018 スピーカー 諸橋寛子さん

話し方は、経営者やビジネスマン、学校の先生や研修講師、さらには、大学生、高校生、小中学生、未就学児までまで、幅広い方々を対象に行っています。
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