【アートにエールを!に参加して】見えないサポートが大きな力



先日から、東京都の芸術文化支援「アートにエールを!」の制作裏話を綴っています。今日は、その制作の陰で支えてくれた人たちのことを書きます。


まずは、何はなくても、作画を担当した野村おとさんのご両親です。お母さんは、私の高校時代からの親友です。気のおけない友ではありますが、今回の作画のお願いはかなり悩んで連絡をしました。


それは、制作スケジュールもかなりタイトで、描く枚数も少なくとも10枚には至るだろうと想像し、学校、習い事などある中で取り組むことを考えると、小学生にはかなり大きな負担だと思っていたからです。正直なところ、断られる可能性が高いと思いながら一か八かで尋ねました。
プロジェクトの主旨と私の考えを伝えて、それから、本人であるおとさんに意志を聞いてもらいました。しかし、返事は思いもよらぬほどの快諾でした。
「いい経験になるし、本人もやるって言ってるから。」と、親友から連絡をもらったのです。

それからの制作に関しては、「いつまでにどうしたらいい?」「キャラクターはどうしよう?」「絵コンテは?」といった具合に、逆に親友から連絡をもらう始末。というのも、私は番組で映像制作はしたことがありましたが、紙芝居のようなものを作るというのは初めての経験だったからです。とはいえ、お願いしたのは私なのに、恥ずかしさと申し訳なさでいっぱいでした。

今回のお話の舞台は、時代で考えると江戸時代のような感じです。小学5年生のおとさんの頭の中にはぼんやりとイメージがあっても、キャラクターを考え、実際に絵を描くにはかなりハードルの高いものだったと思います。けれど、そこは親友と親友のご主人が色々と調べてくれたようです。
私は、おとさんとご両親のやりとりをそばで見たわけではありませんが、ご両親は、おとさんのサポートはしても、基本的には、おとさん本人が考えて、決めるように導いていらしたと感じています。


それは、WEBミーティングをしたときに強く感じましたし、その後のやりとりを通しても感じたことです。私は基本的に、親友とやりとりをしていましたが、親友の口から何度も出てきた言葉は、「本人(おと)が、これが良いって言ってるんだよね。」でした。
例えば、私が好きなシーンの一つに、庄屋さまが、ねずみに耳を近づけているシーンがあります。私にはそういう構図は全く浮かばなかったので、
「こういう描き方があるんだね!すごい!」と話したところ、親友は、「おとが、これが良いって。」という答えが返ってきました。
逆に、私が「ここはもう少しこうなるかな?」という希望を伝えると、親友は「おとに聞いてみる。」と、必ず、おとさんを優先していました。

きっと、制作している間、色々とあったと思います。おとさんが、思うように描けなかった日もあるのでしょうが、上手にやる気を引き出しながら、おとさん自身が自分の力で完成できるようにサポートしていたんだと思います。



話は少しそれますが、私は企業研修などで、管理職の方に向けて部下育成のプログラムも行っています。その時に伝えるのは、「自己決定感」「自己有能感」「承認欲求」「成長欲求」をサポートする関わり方です。こうすることで、本人のモチベーションをアップさせ、かつ、自分で考えて行動する力がつきます。しかしこの関わり方は、簡単なようでなかなか難しいものです。しかも、それが関係性が近ければ近いほど難しくなります。

皆さんも経験ないでしょうか?相談を受けると、相手のためにと思いながら、自分がやり過ぎてしまったり、アドバイスをし過ぎてしまうこと。こうしてしまうと、相手の考えや気持ちが置き去りになって、結果、相手のためと思って行ったことが、相手のためにはならないことが多くあります。
例えば、親御さんが子どものことを思うあまりに、レールを敷きすぎたり、かまい過ぎたりすると、子どもは自分で決める自己決定感や自分はできるんだという自己有能感が育まれないことにつながります。
ちなみに私の場合は、両親にレールを敷かれようとして反発した口です(笑)小さい頃から、「お姉ちゃんは、看護婦(当時はこの表現でした)さんが向いているよ。」や「将来、薬剤師になるといいよ」などと父や母から言われてきました。小学生くらいまでは、その言葉をさして深く受け止めていませんでしたが、中学生くらいになって、「私に何が向いているか、勝手に決めないで!」と心の中で反抗していました。おかげで、こんあ風になりましたが・・・(笑)


今回の「アートにエールを!」で、素晴らしい作画を担当してくれた野村おとさん。その力を最大限引き出してくれたのは、ご両親だと思います。そして、おとさん自身が、自分の力でやりきった感覚を持てるようなサポートをなさったご両親の力に、私は改めて大きな学びを得ることができました。事実、おとさん自身の力でやりきったのですが。


そして、見えないサポートをしてくれた人は、もう一人います。手前味噌で恐縮ですが、それは、弊社のサウンドエンジニアです。朗読の収録はもちろんですが、編集途中で映像を見てもらいながら、BGMの良し悪しやタイミングなどのアドバイスを受けました。
私が心の中で「このBGMは、あまり良くないな〜。でも、選択肢も少ないし・・・」と思い、そのBGMを使っていると、やはりその点を指摘されました。そして、「もし、このBGMをつけるなら、無い方が良い。」という厳しいアドバイスもありました。他にも、最初の幕が開くところも、私はBGMのタイミングをあまり気にせず編集をしていると、「音をワンフレーズくらい聞かせてから幕が開き始めた方がいい」など、音響のプロとしての視点で、色々なアドバイスがありました。正直、耳が痛いアドバイスもありましたが、いいものをつくるためには、そのアドバイスをどう取り入れるかというのは欠かせないことですね。


今回は、テレビ制作のように多くの人を巻き込んで作ったものではなく、少人数で作り上げましたが、「ものをつくる」というのは、共同作業なんだということを、改めて強く感じました。何より、一人一人が「良いものをつくろう」と、前向きに取り組んでくれたことが、素晴らしい完成に導いてくれました。
表向きには出ていない人たちの大きな力、見えないサポートがあってこそ生まれた今回の作品。関わってくれた全ての人に、心から感謝するばかりです。

ぜひ、みなさんに見ていただけると嬉しい限りです。


追記
絵が完成し、郵送で送られてきた絵と同封されていた、野村おとさんからもらった小さな手紙にこう記されていました。
「いろんな人が見て、笑顔になってくれたうれしいなー😄」

この「ねずみとおもちと殿さまと」は、きっとみなさんが笑顔になっていただける作品です。お子さん向けではありますが、私はできれば、大人のみなさんに見ていただけたらと思っています。

https://cheerforart.jp/detail/5723

【アートにエールを!】小学5年生が描き上げた15枚もの絵



東京都の芸術文化活動支援事業「アートにエールを!」では、数多くの動画がアップされています。みなさんは、ご覧になりましたか?

その「アートにエールを!」プロジェクト、私が企画制作した動画もアップされています。その流れにつきましては、前回の投稿で記しましたので、よろしければご覧ください。

https://united-waves.jp/wp/2020/09/11/【動画採択】東京都芸術文化活動支援「アートに/



前回は、この物語の作者である永井輝信さんのお話を綴りましたが、今回は、この物語の絵を描いてくれた小学5年生の野村おとさんのお話です。
この物語では、15枚の絵を使っています。その絵は、全て、野村おとさんが描いてくれました。しかも、キャラクターづくりまで行ってくれました。キャラクター作りから始めた絵は2週間かけて完成に至っています。


まず、なぜ、おとさんに絵をお願いしたかと言うと・・・


私は、永井さんの物語を読んで、最初は声だけ(朗読)で形にしようと思っていました。本当は視覚的にも表現できたらいいんだけど・・・そう思ったまま月日が過ぎました。というのも、私は「絵を描く」ことが、大の大の大の苦手なんです!絵心が無いというのか、想像したものを絵にすることができないんですよね。

そうこうしているうちに「アートにエールを!」のプロジェクトの募集を知りました。「せっかくなら、永井さんの物語を大勢の方に届けたい。けれど、プロジェクトは動画だから絵か写真が必要。どうしたものか?」
そんなことを考えていたら第1回の募集には間に合わず、2回目の募集で参加することになりました。

「絵は誰にお願いしよう?」


様々な人を思い描いた中で、私の高校時代からの親友の子どもが、絵が好きで絵画教室に通っていることを思い出しました。それが、今回物語を描いてくれた野村おとさんです。小さい頃から絵が好きで、今も絵が好きで描いていると、親友から聞いていました。
私がおとさんにお願いしたのは、いくつか理由があるのですが、その大きな理由は、「大人には無い発想」です。小学生がこの物語を読み聞きして、どんな絵を思い浮かべるのだろう?どんな表現をするのだろう?大人には無い発想があるのではないか?そう思ったからです。その考えは的中しました。絵コンテ、下書きの時点で、「こんな発想は、私には無いな〜。そして、おとちゃんが描くキャラクターは、どの登場人物もとても優しい。」と思っていました。

おとさんは、今回、夏休みを使って絵を描き上げてくれました。今年の夏休みは、コロナの影響で2週間ほどしかありませんでした。短いお休みの中で、おとさんも色々と遊びたかったと思いますが、1日のほとんどを絵に費やして完成してくれました。


【下写真】野村おとさんの制作風景





おとさんの絵の制作過程を私が文章にするより、本人のコメントの方がより思いが伝わると思いましたので、おとさんが、夏休みの宿題で学校に提出したノートの一部ご紹介します。

「しょうやさまやとのさまや、昔の人の資料が少なくて大変だったけれど、お父さんとお母さんが調べてくれたので、なんとかキャラクターをつくることができました。ねずみは、1枚1枚、表情や動きをかえるのが、むずしかったです。下書きに苦戦して、ボロボロになった紙もありました。キャラクター作りから下書き15枚が終わるまで8日間ほどかかりました。それから、ぼくじゅうでふちどりをしました。細かいところはぺんでしました。わりばしやたけぐしを使いました。そこから着色です。着色〜完成までは5日かかりました。着色は、お母さんやお父さんも手伝ってくれました。
私の1番のお気に入りは、ねずみがひっくりかえってねているシーンです。光のあたり方と、しょうやさまの顔が好きです。
より多くの人に見てもらいたいと思っています。先生も、ぜひ見てください。」



いかがでしょうか?
これを読んでいただき、動画を見ていただくと、また違った視点で楽しんでいただけると思います。



今回の紙芝居風動画は、70代の永井さんの物語に、孫くらい年の離れた小学5年生の野村おとさんが絵を描いてくれました。ちなみに、永井さんには、小学4年生のお孫さんがいらっしゃいますから、おとさんとも、本当に孫と祖父という年齢差です。そこに、40代の私が加わり、三世代で作品が完成しました。


さらには、私と永井さんは都内在住。おとさんは福岡在住で、お互いに距離が離れています。おとさんとはもちろんですが、永井さんとも一度もお会いすることなく動画は完成しました。おとさんとは、WEBミーティングと電話、LINEを使って打ち合わせをし、完成品は郵送してもらいました。永井さんとは電話とメールでやりとりをしました。
実は今回の「アートにエールを!」は三密を回避して作成することもひとつの条件です。あえて同じ場所に集まらなくても、距離をつなぐことができるツールが、今の時代には数多く存在します。使う上での課題はまだまだありますが、それでも、それらを有効活用すれば、世代、場所を問わずに動画を完成させることができるんだと、私にとってもとても大きな学びになりました。


永井さんの想い、おとさんの一生懸命な想い、私の想いが詰まったこの動画。
最後は、見てくださるみなさんとつながって完成だと思っています。
ぜひ、多くの方に見ていただけたらと思います。

https://cheerforart.jp/detail/5723

https://cheerforart.jp/detail/5723

【動画採択】東京都芸術文化活動支援「アートにエールを!」



東京都の文化芸術支援「アートにエールを!」プロジェクト。
最初の募集の時はあっという間に定員になって、再募集が行われました。私は再募集で応募したのですが、応募総数は約1万2千人。その中から抽選が行われ4千人が参加資格を得られる運びです。

その後も、企画を提出し審査があり、審査を通過すれば動画作成に進めます。そして、動画を作成し提出後の最終審査を経て、ようやく採用となります。私が応募したのは、6月23日ですから、それから約2ヶ月半で動画がアップされたことになります。

参考までにですが、途中経過はこのような感じです。

6月23日 アートにエールを!東京プロジェクト(個人型) 再募集に応募

7月7日 抽選結果(手続き上は「個人登録」)のお知らせ通知

7月12日 企画応募

7月28日 企画採択の通知
*この通知から1ヶ月以内に動画を完成させ提出することになっていました。

8月26日 完成した動画を提出

9月10日 動画採用
*東京都の「アートにエールを!」の専用ホームページにアップされています。



さて、今回、私が作成した動画は紙芝居風の物語です。

この物語は、保護司として30年もの長きにわたり、社会や地域に貢献なさっている永井輝信さんが、趣味で書きためていらした作品のひとつです。数年前に、永井さんが、私に送ってくださったのですが、私はこの物語を読んで、とても感動しました。そしてその時、「いつか朗読して形にしたいな。」と思っていたのです。

なぜ私が、この物語に感動したかというと、それは、誰もが助け合って、笑顔でいる物語だったからです。

私が知っているこういう昔話のようなお話は、だいたい、悪いことをした人をこらしめたり、切ないエンディングを迎えるようなものが多いです。例えば、桃太郎、一寸法師、カチカチ山、花咲か爺さんなどなど、今読み返すとびっくりするほど残酷だなと思うものもあります。

けれど、この永井輝信さんが書かれた「ねずみとおもちと殿さまと」は、そういうことが一切無く、誰もが許し合い、助け合い、笑顔で過ごして行くというお話です。これは、作者の永井さんのお人柄そのものです。
実は、この作品を使用させていただくお話をした後に、永井さんから、物語の内容についてご連絡をいただきました。



実はこの作品、ネコが登場しますが、当初、永井さんの作品では「白いねずみ」だったのです。私はさして気にしていなかったのですが、永井さんは、このようなことを気にかけていらっしゃいました。


「私がこれを書いた時は、別に白いねずみが良いという意味ではなく、白いお餅を食べたからということで白いねずみを登場させたんだけれど・・・今は、人種の問題もあるからね。もしかしたら、この物語だと「白が良い」と捉えてしまう人もいるかもしれないなと思うんですよ。」


この作品を作ろうとしていた頃、アメリカで黒人の方が白人の警察官に殺されたという報道があり、人種差別に対して社会が問題意識を高めている時でした。永井さん自身にそういうつもりが無くても、「白が良い」そう受け止められる可能性があるのなら表現を変えた方がいいのではというご連絡でした。



私は、そのお話を聞いて、これほどまでに人を想い、社会を想い、世の中を想う方の心の素晴らしさに、改めて感銘を受け、かつ、私自身も大きな学びをいただきました。私自身、差別的表現や身体表現などは、これまでも細かに気をつけてきましたが、今回のことで、もっと細やかな視点で物事を考えることが大切だということを心に刻みました。

そこで私は、白ねずみを何に変えたら、この物語の意図を壊すことなく表現できるかを考えて「ねこ」にしました。多くの場合「ねずみとねこは仲が悪い」というイメージです。けれど、だからこそ、ねこが登場したら・・・そう思って、この部分は私が脚色を加えたのですが、永井さんも納得してくださいました。


永井さんは、保護司として30年もの長きにわたり社会貢献活動をなさっています。保護司というのは、犯罪をした人の改善・更生を助けるとともに、犯罪の予防のための啓発に努める方々です。法務大臣(国)から委嘱を受けた非常勤の国家公務員ですが、実質的には民間のボランティアの方々です。
また、永井さんは青少年の薬物使用防止に関する取り組みも積極的に行われています。こうやって、長きにわたり人や社会を想って生きてこられた永井さんが書かれた物語は、単に温かさや優しさだけでなく、私たちがどうやって、これからの社会を生きて行ったら良いのかを教えてくれているように思っています。

お話自体は子ども向けに感じると思いますが、できれば私は、大人の皆さんにも観ていただけたらと思っています。


次回は、この物語の作画とキャラクターを描いてくれた小学5年生の野村おとさんのエピソードです。小学5年生に限らず大人でも、わずか1〜2週間という短い期間で、15枚もの絵を描くというのは本当に大変なことです。さらには、キャラクターも考えて。

その野村おとさんが、どうやって絵を描き上げたか。そんなお話を次回は綴ります。

紙芝居風物語「ねずみとおもちと殿さまと」
下記からご覧いただけます。ぜひ、ご覧ください✨

アートにエールを!.001

https://cheerforart.jp/detail/5723

【話す力を磨く】話し方はマインド



自民党の総裁選で、3名の方の演説をじっくりと聞きました。
そうして改めて思ったのは、「話す時には、その人のマインドが全て出る」ということです。


今回、演説をなさった菅さん、石破さん、岸田さんは、選挙はもちろん、国会での発言、テレビなど、人前でお話しになることは、私たちの何倍も何十倍も何百倍も多く、様々な状況で話しをされていますので、自分の心に惑わされずに話せるのだろうと思っていました。けれど演説を見ていると、そのようなお三方でも、マインドが話し方に表れているのではないかと思う点が見て取れました。

例えば、同じような箇所で言葉に詰まったり、身振り手振りが必要以上に多くなったり、声の張りが弱々しい箇所があったり。それらは、話している内容やタイミングなどに関係していて、非常に興味深いものでした。


みなさんも、人前で話す際に、どんなに練習していても本番では緊張すると思います。時には、話している最中に、聞いている人の咳払いや、ちょっとした音が聞こえたりすると、一瞬気持ちがそれて言い間違ったり、その後の話す内容を忘れてしまったりすることは無いでしょうか?

先日、ある士業の方の話し方トレーニングを行いました。その際、話す内容に不安がある時には、「やっぱり」という言葉を連発されていました。数えてみると、30秒程度の中に10回もの「やっぱり」が出ていました。その映像を、改めてご本人に見ていただくと、「もういいです。」と、苦笑いしながらおっしゃっていました。ご本人も、なぜ、そうなったかは痛くお分かりのようでしたが、ここまで「やっぱり」を連発されているとは、思いもよらなかったようです。


これは何も、この士業の方だけではありません。誰しも、心に不安がある時に何かしらのサインが出ます。もちろん、私もです。
ただ、私のように話すことを仕事としている人は、人前で話している際に、途中何かハプニングが起きても、知らぬ存ぜぬのように平然とした顔をして話すようにトレーニングをしている人がほとんどです。



例えば、私がラジオやテレビに出ていた時の話です。出演時は、片側の耳にイヤホンをつけて、音声の送り返しを聞いています。時には本番中に、そのイヤホンを通して、プロデューサーやディレクターからの急な指示が入ることがあります。放送上では平然と話してながら、耳では指示を聞いている状態です。イヤホンから呼びかけられると、ついつい返事をしたくなったり、うなづいたりしたくなりますが、そういうことは一切しません。

イベントの司会の時も同じです。イベントの時は、放送の際よりももっと多くの音が聞こえてきます。お客様の声はもちろん、スタッフの声や指示、物が落ちたり、場所にもよりますが車が通ったりなどなど、本当に、様々な音があふれています。
これは笑い話ですが、あるイベントで影アナ(表には出ずにステージ袖でアナウンスすること)をしていた時に、スタッフの方が私の横で変顔をしたことがあります。私は笑いたい気持ちを抑えて、最後まで読み上げると「さすがだよね〜!」と感心されたことがあります。


そんな私が、最も集中力を必要とするアナウンスがあります。それは、声が遅れて聞こえてくるような会場(例えばアリーナやスタジアムなど)です。通常は、自分が話すとリアルタイムで声を聞いていますが、声が遅れて聞こえる会場は、自分が話した後に、わずかに遅れて声が聞こえます。
人間は、自分の声が遅れて聞こえると、実はとても話しにくいんです。わかりやすい例だと、電話をしている時に、自分の声が少し遅れて聞こえて、話しづらいという経験がありませんか?

声が遅れて聞こえる会場は、その状況で間違えずにアナウンスをする必要があるので、わずか3分程度のアナウンスでも、私はいつも手に汗をかいてしまいます。しかも、会場にはお客様が大勢いるので、その声も聞こえる中でアナウンスをするので、ほんの一瞬でも集中力が途切れたり、気持ちがそれると言い間違える可能性が高くなります。


私はどんなに緊張していても、周りで見ている人からは「緊張しているように見えない」と言われます。けれど、心の中ではバタバタもがいている状態なんです。そう見えない(そう見せない)ようにしているだけです。そしてこれは、トレーニングさえすれば、誰もができるようになります。
今回は、私が気をつけている主なポイント3つをお伝えします。


1つめは、話す内容を理解し、自信を持っていること。
当たり前かもしれませんが、自分が話す内容をきちんと理解して、自信を持っていないと、声に張りがなくなったり、文末まで言葉をはっきり話せないなどが起きてしまいます。他にも、声にならずに息だけで話してしまったり、自信があるように見せようとして無駄な力が入って言い間違いを起こしたりします。
まずは、自分が話す内容に自信が持てるように準備をしてください。

2つめは、自信を持って話せるように練習をすること。
自信を持って話せるように練習するというのは、内容の自信にプラスして、その内容を間違えずに、説得力を持って表現できるようにするということです。この時に、言いにくい言葉があったり、練習で言い間違った箇所があると、本番で自信が揺らいで、練習でつまずいたところで間違うことが生じます。
「完璧に話せる」と思えるところまで練習することで、自信を持って本番に臨めます。

最後は、「練習こそ本番」と思って取り組むこと。
練習中は、心のどこかに「これは練習だ」という意識があり、何か音が聞こえたりすると、途中で話すのをやめたりしてしまいがちです。けれど、練習こそ本番と思って、何が起きても話し続けることを意識することです。
私は高校生の頃、アナウンスの大会に出る練習の際、先輩からこんなことを言われました。「もし、鼻水が出そうになっても鼻をすすってはいけない。絶対に、他の音は入れたらダメ。」と。アナウンスの大会は声だけを審査するので、見た目は関係ないんです。今思えばすごいアドバイスだなと思いますが、これ以来、私は、人前で話す際は、何が起きても話し続けることを意識できたのだと思います。


とはいえ、こうやって練習して本番に臨んでも、やはり心のブレが生じる時があります。他にも、リハーサルでは上手く行ったのに、本番で間違えたりということもあります。これはまさに、私のマインドが関係しています。

自民党総裁選でお話になったお三方も、きっと、こういうことをわかった上で、かつ、日々、練習もして臨まれたのだと思います。それでもやはり、「自分の心には嘘をつけない。」「話し方には心が出る。」ということを、改めて強く感じました。そして何より、話し方はテクニックではなく、その人自身であり、その人のマインドなんだと、改めて胸に刻んでいます。


企業研修や音声波形診断を用いたエグゼクティブ向け話し方トレーニングなどを行っています。
お問い合わせは、弊社ホームページのお問い合わせからお気軽にどうぞ。

https://united-waves.jp





【一人で思考整理をする方法】セルフディスカッション

セルフディスカッションは、私が勝手にそうつけている言葉です。本当は、誰かに話を聞いてもらいながら思考を整理し深めることが望ましいのですが、それができない時や、逆に、まずは自分だけで考えたいと思うときに役立つ方法です。

私は、自分のメンタルケアのために、20年ほど前からアメリカのストレスケアプログラムを学び始め、今でも心理学や脳科学を学び続けています。
日本では、いまもまだカウンセリングを気軽に受けるという社会ではありませんが、カウンセリングやコーチングも、基本的には「聞く」ということが主軸です。そして、相談に訪れた人の心の中にある答えを、その人自身が導き出す手助けをするものです。そして、今回のセルフディスカッションは、それを1人で行える簡単な方法です。もちろん、最も良いのは、誰かに話を聞いてもらうということですが、新型コロナウイルスによって、人と会うことがはばかれるいま、1人で行える方法ですのでご参考ください。

ちなみに、私がこのセルフディスカッションを行うのは、例えば、嫌なことがあったとき、仕事のアイディアを形にしたいとき、不安があるときなど様々です。


やり方はいたって簡単です。

1.ペンとノートを用意する
●ペンは、自分が書いていて心地が良いものをおすすめします。
高級なペンの方がモチベーションが上がるという方は、そういうペンをお使いください。私は、100円程度の黒のボールペンです。スラスラ書けて書いているの楽しいので、そのペンを使っています。

●ノートは罫線のないものがおすすめです。
ノートに罫線がない方が、自由度が増すと感じています。単に文字を書くだけでなく、絵や図など、自分が思うところに、思うままに書けると感じるノートをお使いください。


2.心の中に残っていることを書く
●書く内容は、どんなことでも構いません。
その時の、自分の心の中に残っていることを書きます。

●最初の1行を書いたら、その文章の中にある言葉を手がかりに深掘りします。
例えば、つい先日、私はこんなことを最初に書きました。
「新しいサービスを始めるときにマイナスやリスクが気になって、ついついそこに目を向けてしまう。以前までは、もっと勢いがあったように思うのに。」
この文章の後に、「なぜ、リスクを回避したいのか?」と書きました。
そして次に「リスクとはどういうこと?」→「私の思っているリスクは、より良いサービスを提供するために足りないと思うこと。」→「より良いサービスとは?」→「より良いサービスは、相手が喜んでくれること。わかりやすさ、成果、評価など」→「現時点で、それはできていないのか?」→「充分に相手は喜んでくれているし、成果も出ていて、評価ももらっている」→「ではなぜ、リスクを回避したいのか?」→「新しいサービスであるということの不安」→「不安とは?」→「人が集まらなかったらどうしよう?とか、準備が大変だと感じてしまうとか」→「それらが解決すれば不安はなくなるのか?」→「・・・・・・そうじゃない、自分ができるかどうかが不安」→「自分ができるかどうかは、どうすれば克服できる?」→「今までどうやって克服してきただろうか?・・・思い返すと、やりながら修正してきた。」→「やりながら修正は可能なのか?」といった具合に、書き出していきます。


3.深堀りする際の主なポイント
①「なぜ?」という問いかけをすること。
②「抽象的な言葉」について具体的な答えを考えること。
③これまでの「自分の成功体験」や「強み」を思い返してみること。



こうすることで、何だかわらかない不安が明確になって、自分の中で答えを見つけることができるようになります。



新型コロナウイルスの感染拡大で人に会う機会がめっきり減り、ちょっとした雑談や悩みを話すこともできずに、自分の中に溜めてしまっている人は少なく無いと思います。最初のうちは、大して気にらずに生活していても、時が経つにつれて、多くの人が「誰かと話したい」「日々のちょっとしたことを友達と仲間と話したい」「子育てや家事の不満を言い合いたい」「仕事の愚痴や不満を聞いてほしい」などと思っているのではないでしょうか。

「話す」は「放す」とも言われます。
心の中に溜まっていることを「話して手放す」ことで、心に余裕が生まれます。
だから、一番良いのは、誰かに連絡を取って話をすることです。
けれど、それが叶わない時は、セルフディスカッションを試してみてください。最初はほんの5分程度、思うままに書いてみるだけでも良いですよ。そして可能な限り、毎日、続けてみることをおすすめします。


私は毎日、夜寝る前に、10分程度書いています。
その日に行う予定にしていたタスクをチェックして、次の日のタスクを書いて、それからその日のセルフディスカッションを行っています。それだけで、ずいぶんと頭がスッキリして安心して眠りにつくことができます。

セルフディスカッション。自分の中にある答えに出会えると思いますよ。



企業研修や音声波形診断を用いたエグゼクティブ向け話し方トレーニングなどを行っています。
お問い合わせは、弊社ホームページのお問い合わせからお気軽にどうぞ。



https://united-waves.jp



あなたの声はどんな声?



(このブログは1分で話せる300〜350文字を目安に綴っています。)



みなさんは自分の声を録音して聞いたことがありますか?

多くの人は自分の声を聞いて、「こんな声なの!?」と驚かれます。



自分の声は自分で聞こえているものと、人が聞いているものとは違います。自分の声を聞いているときは骨に響いているので少し柔らかい感じがします。しかし、周りの人が聞いている声はその響きはありませんし、自分が思うよりも高い声です。「こんな声なの!?」と、あなたが思う声を周りの人は聞いているわけです。



ところであなたの声は、人の耳に聞こえやすい声なのでしょうか?それとも、聞きづらさを感じさせてしまう声なのでしょうか?
それがわかる一つの方法が声の波形です。そして波形を見れば、どこをトレーニングすればいいかもわかります。まずは、自分の声の特徴を知ってみませんか?

(333文字)


*弊社では音声波形診断を元に声のトレーニングを行っています。
 お問い合わせなどは、弊社ホームページのお問い合わせ欄からお気軽にどうぞ!

https://united-waves.jp

音の波形の見方についてYouTube Channelでご紹介しています。
ぜひ、ご覧ください。

4月27日は私の独立記念日✨

今日4月27日は、私が1人で歩き始めた独立記念日。
福岡から東京へ仕事の拠点を移して丸11年。会社設立丸4年、5年目に突入の日です。


11年前、世の中はリーマンショックで経済不安の大きな時期でしたが、私は安定していた福岡の生活から、全く何の確約もなく仕事の繋がりもない東京へ移り住みました。しかもそれまでの30数年、一度も福岡から出たことも、実家から出たことも無く、地元でずっと暮らしてきました。そんな私が、まさか11年もの間、東京で生活できているとは当時の私は思いもしていませんでした。

東京に移り住んでからは、全く仕事がなく仕事探しをしていた時期もあれば、東日本大震災で仕事が全てキャンセルになった時期もあったり苦しいこともたくさんありました。それでも周りの人に支えられながら、なんとか今を迎えられていますし、よほどのことがない限りこの道は続いて行くと思っていました。

そんな中での今回のコロナ危機。

私の会社は、イベント・コンサート・研修が主です。その全てが3月以降、予定していた仕事は全て無くなりました。前年比ほぼ100%ダウンという状況です。自粛が最も早い業界であり、かつ再開も最も遅くなる可能性の高い業界です。わずかながらの蓄えも、この先いつ再開されるかわからない状況では心もとなくもあり、すぐに底尽きることもわかっています。正直なところ、日が経つにつれ大きな不安と焦りに押しつぶされそうになります。

それでも11年前の自分を思い出し、そんな不安な時ほど動き続けることが大切だと、自分に言い聞かせています。

福岡から東京へ仕事の拠点を移すことは、私にとって大きな決断でした。30代半ば、安定した職もあり、そのまま福岡で人生を送ることも選べました。両親はもちろんですが、相談した人たちの多くは私を心配し、東京行きへは肯定的ではありませんでした。私自身も半年以上悩みました。ギリギリまで悩み、それでも東京に行くことを決断しました。
「なぜ、そこまでして?」と思う人もいると思いますが、私自身も明確に答えられないんです。本当に、なぜなんでしょうか?

リーマンショックで停滞すると言われていた経済。「無理に動くことはマイナスにしかならないのではないか。」そう考えながら迷っていた時期。動きを止めることもできたはずでした。

けれど、そこで東京行きを選んだからこそ、今の私がいます。
東京に出てこなければ出会うはずのなかった人たち。その人たちに出会ったことで、私自身のスキルも磨かれ、何より私の世界は広がりました。今のコロナ危機は、リーマンショック以上のものです。これまでに経験の無い経済の停滞・生活の変化が、日本だけで無く世界に巻き起こっています。しかしだからこそ、新しい出会いと新しい世界が広がるのではないかと、不安と共に期待と希望を大きく感じています。

そのためには、立ち止まらず、様々なことにチャレンジすることではないかと思っています。そうする中で、いえ、そうするからこそ、新しい出会いや経験が生まれ、それらを重ねて行くことが未来へ繋がって行くのだと信じています。チャレンジしても成果が上がらないことも多いでしょうし、結果が出ないこともたくさんあると思っています。それでもチャレンジしながら進んで行くこと。良いも悪いも、チャレンジして行動してみないと結果は出ませんからね。

先日、お世話になっている飲食店の経営者の方がこんなメールを寄せてくださいました。

「『大変』な時とは『大きく変わる』時。
やりきれば、このときこそ大きな財産になる。」

50年以上も飲食業界で経営を続けていらっしゃるトップの方の言葉に、私はとても励まされました。私は会社を設立して5年目。この経営者の方の10分の1に及んでいません。50年の中で、私の想像も及ばない危機に面してこられたからこその言葉だと思うのです。

私の独立記念日。4月27日。
今年は今までにない思いを胸に、またここから明日へ向かっていきます。

*このブログは、普段は1分で話せる文字数300〜350文字を目安にしていますが、今回は文字数にとらわれず綴りました。
 YouTube Channel では、私が思考を整理する際に行なっている2つの方法をご紹介していますのでご参考ください。(マインドマップ・感情解放メモをご紹介)

オンライン講義やオンライン会議でのお困りごとにお答えしています。
また、レッスンやトレーニングも行っていますので、お気軽にお問い合わせください。

放送・イベント・企業研修などのご相談は、
ユナイテッドウェーブス合同会社までお気軽にどうぞ。

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笑顔は笑顔を生む。マスクをつけていても笑顔を。

マスクをつける機会が増えました。顔の下半分を隠してしまうマスクは、表情が乏しくなったり、言葉がこもったりするので、コミュニケーションに影響が出ることがあります。

マスクをつけていてもコミュニケーションを深めるには、目の表情が豊かであることが求められます。目の表情が変わるとメッセージに差がでます。

感情と表情の研究をしている心理学者ポール・エクマン博士の7つの微表情をもとにするとそれがよくわかります。怒り、恐怖、驚き、悲しみ、喜び。そのどれもが目元に変化が生まれます。

今、私たちの生活が保たれているのは、感染リスクのある中ライフラインを守って働いてくださる大勢の方がいらっしゃるからです。

笑顔は笑顔を生みます。
感謝の気持ちを笑顔で伝えて行きませんか?

(326文字)

*このブログは、普段は1分で話せる文字数300〜350文字を目安にしています。
 YouTube Channel では、目元を笑顔にする方法をご紹介していますのでご参考ください。

オンライン会議のお困りある!ある!

オンラインミーティングが増えています。

1対1や1対複数人など様々だと思いますが、いずれも話しにくさを感じるシチュエーションがあるようですね。先日、ある士業の先生にオンラインミーティングでのお困りについて伺いました。その中で言われたのが次の2つです。

1,音がずれていてい話しにくい
2.相手の反応がわかりにくくて話しにくい

音のズレ。これは双方のインタネット環境にもよるのですが、どうしても生じてしまいます。テレビでもスタジオと中継先のやりとりがうまくいかないことがありますが、何が必要かというと「間」です。対面以上に間の取り方がポイントです。

相手の反応がわかりにくいときは、相手への問いかけを挟みながら話を進めていくことをおすすめします。そうすることで一方通行にならずに、スムーズに進められます。

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*このブログは、1分で話せる文字数300〜350文字を目安にしています。
 YouTube Channel では、オンライン会議のお困りごとの具体的な改善策をご紹介していますので、ご参考ください。

運動嫌いでも継続できる!?【声を保つための筋トレ】ベスト3!

4月7日に発出された緊急事態宣言から明日で10日。

外出自粛は、よほど意識をして体を動かさないと、今までの生活と同じ程度の運動は難しいものですね。

私はできるだけウオーキングを心がけたり、ヨガや簡単な筋肉トレーニングを行なっています。
特に、私の本業であるアナウンス業務は、実は体力勝負!そしてさらに表情筋や腹筋を鍛えることで、良い声を作る下地になったり、発音を明瞭にしたりすることができます。今はイベントや研修も行える状況ではありませんが、世の中が戻った時にいつでも話せるようにしておくためにも、在宅ワークの今も筋トレは欠かせません。

けれど、キツイ筋トレは苦手で続かないので、継続できるように工夫しています。あなたはどんな工夫をしていますか?

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*このブログは、普段は1分で話せる文字数300〜350文字を目安にしています。
 YouTube Channel では、運動嫌いな私が行っている筋トレをご紹介。

スピーチやプレゼンテーションのトレーニングを行っています。
経営者や講師の方など人前で話す機会が多い方にはおすすめです。

放送・イベント・企業研修などのご相談は、
ユナイテッドウェーブス合同会社までお気軽にどうぞ。

https://united-waves.jp