こんにちは。
フリーアナウンサーの三島澄恵です。
TEDxKyotoで登壇された一般財団法人ユナイテッド・スポーツ・ファウンデーション諸橋寛子さんのスピーチトレーニングについて、引き続き綴っていきます。
諸橋さんのスピーチトレーニングの日は、本番同様に全部を話していただき、それを撮影して見直して改善するを繰り返しました。
本番をイメージして練習する。
この練習はとても重要です。
なぜなら、本番では練習の時とは違う緊張があったり、様々なハプニングがあったりするからです。どんなに本番をイメージして練習しても、本番では練習と違うことが起きます。練習は上手くできていたのに、本番になると思ったような力を発揮できないという人がほとんどです。
それなら、本番を想定した練習は必要ないじゃないかと思うかもしれませんが、それは逆で、本番で練習通りの力が発揮できるように、練習でこそ本番通りに練習することが欠かせないのです。
私は高校生の頃、放送部でこの練習を毎日行っていました。
高校放送部には、アナウンスと朗読の大会があります。その大会では、出場者一人一人がステージに上がり、アナウンス原稿や朗読原稿を読み審査が行われます。
大会本番は、なんとも言えない緊張した空気の会場の中で、一人マイクの前に座り原稿を読みます。その前には、出場者を含め大会出場校の生徒や先生が30人ほど。審査員は別室で聞いています。読み間違えたり、詰まったりすれば、もちろん減点です。そこに、抑揚、メリハリ、緩急、間やブレスの取り方など表現力も審査基準です。本当に極度の緊張の中臨みます。
そのため、練習では、自分が一番しゃべりやすいマイクの置き位置や座り方、原稿の持ち方なども掴むこともしていました。
何より、本番の緊張感を持ちながら練習することで、本番でどんなことが起きても、動揺することなく最後まで集中して取り組む力が身につきました。
例えば、もし途中で詰まっても、そこで「すみません。」と謝ったり、何度も言い直したりすることはせず、詰まった程度であればそのまま読み進めます。
もし、読み間違えた時は、「失礼しました。」などは言わずに、読み間違えた言葉を言い直して読み進みます。
もし、途中で詰まった時、それが気になってしまうと、また詰まってしまい失敗が失敗を招くので、失敗は気にせずに立て直して読み進めて行きます。
こういった具合に、失敗した時の心構えや立て直しの仕方は練習で身につけて、本番で自然に対応できるように身につけます。
私は高校時代、こういったトレーニングの積み重ねのおかげで、程よい緊張で大会に臨むことができていたように思います。おかげで全国2位を始め数々の賞を受賞することができました。
今思い返せば、この時、体に身につけたどんなハプニングに出会っても話し続けられる対応力は、放送局で仕事を始めた時にも、そして今も役立っていると感じています。
しかし、詰まった時につい「すみません」と謝ってしまう。ちょっとした失敗の後に失敗の連鎖が起きる。これらは、誰もが必ずと言って良いほど通る道です。だからこそ、何度も練習して失敗なく話せるようにするのはもちろん、失敗した時に、どういう対応をするかを瞬時に判断し、動けるように練習を重ねるのです。
以前、フィギュアスケーターの鈴木明子さんにインタビューをしたときに、「途中でミスをした時はどうしているのか?」と聞いたことがあります。
フィギュアスケートは、音楽に合わせて演技をしているので、どこかで転んだりすると音楽と合わなくなるのではないかと、いつも疑問に思っていたからです。
その時に鈴木明子さんは、このようにお話しされました。
「練習の時から転んだ時などにどうするかの練習をしています。振り付けのポイントがあるので、そこに合わせるようにしています。」
加えて、
「止まっていたらダメなんです。演技をしていないのは表現していないので審査にならないんです。 とにかく、1秒でも早く演技に戻れるように練習しています。」と。
その話を聞き、プロであればあるほど、一流であればあるほど、練習の重ね方が違うのだと教わりました。
練習は本番通りに、本番は練習通りに。
これができるようになるまで、何度も何度も練習を繰り返すこと。
これが、成功の鍵です。
しかし、練習で本番通りにできていても、本番で練習通りにできることというのは、かなりハードルが高いものです。それは、本番では、練習では想像もしていなかった緊張が訪れたり、思いもよらないことが往々にして起きるからです。
実際、今回の諸橋さんのスピーチでもハプニングがありました。
その辺りは、また次回のブログで。
スピーチやプレゼンテーションの練習をしている人は、ぜひ、本番をイメージして本番通りに練習を重ねてください。
それが、話す力を磨くトレーニングです。
諸橋寛子さんのTEDxKyotoでの発表の様子。
ご覧になっていない方は、ぜひご覧ください。
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