マイクはニギらないで!③

こんにちは。
フリーアナウンサーの三島澄恵です。

TEDxKyotoのスピーチトレーニングについて書いていますが、少しだけ離れてマイクの使い方についてお伝えしています。

弊社のテクニカル事業部で音響専門の田村の話を元に、マイクの特性や使い方をお届けしていますので、みなさんがマイクを使って話をされる際の参考になさってください。

マイクはニギらないで!
(ユナイテッドウェーブス合同会社 テクニカル事業部 田村尚)

テクニカル事業部の田村です。今回お送りしているテーマは「マイクはニギらないで」です。いよいよ本題です。

今回例に使用している下の写真のマイクですが、前回説明した指向性は単一指向性(カーディオイド)となっています。ちなみにSHURE(シュア)製SM58というマイクで、50年以上前に誕生し現在でも業界標準となっているものです。

SHURE(シュア)製SM58

下の写真が正しい持ち方です。音を拾う振動板の部分(銀色の金網部分)が何にも遮られておらず、設計通りのカーディオイドの性能が発揮されます。写真では上方からの音に対して最も感度が高くなります。

そして下の写真が、マイクを「ニギ」った状態です。

一見すると周りの音を遮って一方向からの音だけが入ってきそうですが、前回説明した通りマイクの指向性は後方からの音も振動板に届くことにより実現しています。この状態では後方からの音が振動板に正しく届かず結果として無指向性になってしまい、周囲の音360°に対して同じ感度となります。
この状態のマイクの音量を上げると、拡声したい音以外の音量も上がり、結果ハウリングが起こりやすくなります。

 

皆さんもカラオケに行ったときに、この持ち方をするとハウリングしやすいと思ったことはありませんか?見た目はかっこいいかもしれませんが、マイク本来の性能を引き出せていないのです。
プロのミュージシャンでもニギっている人がいますが、見た目重視であえてこの持ち方をしていることもあります。ただし、この裏で我々音響はハウリングを起こさないように非常に苦労しています。

我々のような音響がいないシチュエーションで、みなさんがマイクを使って話す機会も多々あると思います。そういう時は、ぜひ、マイクの持ち方に気をつけてみてください。

いかがでしたでしょうか?
6回に渡った弊社テクニカルスタッフ田村のマイクのお話。

講演会やイベント、コンサートなど、人が集まる場所で音は切っても切り離せない大切な要素です。
人間は視覚からの情報が多くを占めるため、ついつい映像や画像を効果的に使うことに意識が行きがちです。しかし、映像や画像が最悪使えない場合も、音がしっかりと聞ける状態であれば伝えることはできます。

その音の基本である声。
その声を効果的に届けるツールであるマイクは、話し手のみなさんの最強の味方です。

最後に、私がマイクを使う時に意識していることをお伝えします。
それは、口とマイクの向きです。

田村の話でお分かりのように、マイクの種類によって音を拾う角度が違います。普段よく使われている単一指向性は、マイク上部から音が入る仕組みで、真横(180°)からは音を拾いません。そのため、マイク上部から垂直に話せば一番音を拾いますが、そうすると、話しているときの息が当たって「ぼん、ぼん」という音が出てしまいます。これは、聞いている人にとって、とても耳障りで、内容に集中できなくなります。

そのため、私は自分の口元から拳一つ分ほど開け、口元から斜め下くらいにマイクが位置するように持っています。(下の写真参考)

時々、マイクに顎をつけて話している人や、マイクに口をつけて話している人を見ます。しかし、マイクは自分だけが使うものでは無く、次に使う人もいます。顎につけたり口につけたりすれば、皮脂や汚れ、唾液、女性であれば口紅やファンデーションをマイクにつけることになり、気持ちのいいものではありません。

また、あまりにマイクに近づいて大きな声で話してしまうと、音が割れてしまってとても聞きにくくなります。
逆に小さいと、マイクの音量を上げてハウリングを起こすことにつながります。

マイクを使うときは、自分の口元からの程度な距離や位置を本番前に確認することをおすすめします。そうやって事前に声を出すことで、緊張緩和にもつながります。

こういう使い方は、手に持って使うマイクも今回のTEDxで使われているヘッドセットタイプのマイクも同じです。

マイクは話し手の味方。
ぜひ、効果的に、かつ、丁寧に使うことを意識してみてください。

TEDxKyotoでは、登壇者の諸橋寛子さんのスピーチトレーニングを行いました。TEDxKyotoでの発表の様子。
ご覧になっていない方は、ぜひご覧ください。

TEDxKyoto 2018 スピーカー 諸橋寛子さん

話し方は、経営者やビジネスマン、学校の先生や研修講師、さらには、大学生、高校生、小中学生、未就学児までまで、幅広い方々を対象に行っています。
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